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――人の移動と地域社会の変動日本帝国の崩壊

日本帝国の崩壊 ――人の移動と地域社会の変動

柳沢 遊:編著, 倉沢 愛子:編著
A5判 488ページ 上製
価格:7,040円 (消費税:640円)
ISBN978-4-7664-2430-0 C3021
奥付の初版発行年月:2017年07月 / 発売日:2017年07月上旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

日本帝国勢力圏の形成と崩壊を人々の「生活」に着目しつつ政治史・経済史・社会史の視点から描写。
克明な実証に基づいて敗戦を挟んだ「1940年代史」を再構築する。

著者プロフィール

柳沢 遊(ヤナギサワ アソブ)

慶應義塾大学名誉教授
経済学修士(東京大学)
1976年東京大学経済学部卒業、1978年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、1982年 同大学大学院博士課程単位取得退学。1983年久留米大学商学部専任講師、1986年東京農工大学工学部(一般教育部)助教授、1994年慶應義塾大学経済学部助教授、1998年同教授、2017年より同大学名誉教授。専門は現代日本経済史・近現代日本社会史・日中経済関係史。
主な業績:『日本人の植民地経験――大連日本人商工業者の歴史』(青木書店、1999年)、『戦時下アジアの日本経済団体』(共著、日本経済評論社、2004年)、『日本帝国勢力圏の東アジア都市経済』(共編著、慶應義塾大学出版会、2013年)、『日本帝国崩壊期「引揚げ」の比較研究――国際関係と地域の視点から』(共編著、日本経済評論社、2016年)ほか。

倉沢 愛子(クラサワ アイコ)

慶應義塾大学名誉教授
Ph.D. in History(Cornel University)、博士(学術)東京大学
1970年東京大学教養学部卒業、1978年コーネル大学大学院修士課程修了、1979年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。1993年名古屋大学大学院国際開発研究科教授、1997年慶應義塾大学経済学部教授、2012年より同大学名誉教授。専門はインドネシア社会史。
主な業績:『日本占領下のジャワ農村の変容』(草思社、1992年)、『東南アジア史のなかの日本占領』(編著、早稲田大学出版部、2001年)、『「大東亜」戦争を知っていますか』(講談社、2002年)、『岩波講座 アジア・太平洋戦争(全8巻)』(編著、岩波書店、2005~2006年)」、『戦後日本=インドネシア関係史』(草思社、2011年)、『資源の戦争――「大東亜共栄圏」の人流・物流』(岩波書店、2012年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

※〔 〕内は、担当章。
【編著者】
柳沢 遊(Asobu Yanagisawa)〔はしがき、序章、第9章、あとがき〕
慶應義塾大学名誉教授
経済学修士(東京大学)
1976年東京大学経済学部卒業、1978年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、1982年 同大学大学院博士課程単位取得退学。1983年久留米大学商学部専任講師、1986年東京農工大学工学部(一般教育部)助教授、1994年慶應義塾大学経済学部助教授、1998年同教授、2017年より同大学名誉教授。専門は現代日本経済史・近現代日本社会史・日中経済関係史。

倉沢愛子(Aiko Kurasawa)〔はしがき、第5章、第13章〕
慶應義塾大学名誉教授
Ph.D. in History(Cornel University)、博士(学術)東京大学
1970年東京大学教養学部卒業、1978年コーネル大学大学院修士課程修了、1979年東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。1993年名古屋大学大学院国際開発研究科教授、1997年慶應義塾大学経済学部教授、2012年より同大学名誉教授。専門はインドネシア社会史。

【執筆者】
木村健二(Kenji Kimura)〔第1章〕
下関市立大学名誉教授
博士(経済学)東京国際大学
1973年小樽商科大学商学部卒業、1977年早稲田大学大学院商学研究科修士課程修了、1986年同大学大学院商学研究科博士後期課程満期退学。東京農工大学教授、下関市立大学教授を経て、下関市立大学名誉教授。専門は、近代日本社会経済史。
主な業績:『在朝日本人の社会史』(未來社、1989年)、『近代植民地都市 釜山』(共著、桜井書店、2007年)、『日本帝国勢力圏の東アジア都市経済』(共編著、慶應義塾大学出版会、2013年)、『日本帝国崩壊期「引揚げ」の比較研究』(共編著、日本経済評論社、2016年)ほか。

張 暁紅(Xiaohong Zhang)〔第2章〕
香川大学経済学部准教授
博士(経済学)九州大学
2007年九州大学大学院経済学府博士後期課程修了。2007年九州大学大学院経済学研究院助教、2008年中国大連理工大学管理経済学部専任講師、2015年九州大学附属図書館付設記録資料館助教、2016年より現職。専門は近現代東アジア経済史・経営史。
主な業績:『近代中国東北地域の綿業――奉天市の中国人綿織物業を中心として』(大学教育出版、2017年)、「『満州国』期における奉天の工業化と中国資本――機械器具工業の分析を中心として」(柳沢遊・木村健二・浅田進史編著『日本帝国勢力圏の東アジア都市経済』第7章、慶應義塾大学出版会、2013年)、「『満州国』の綿業統制と土着資本」(政治経済学・経済史学会『歴史と経済』第234号、2017年1月)、「1940年代初頭の奉天市における中国人工場の地域分布」(白木沢旭児編著『北東アジアにおける帝国と地域社会』第5章、北海道大学出版会、2017年)ほか。

細谷 亨(Toru Hosoya)〔第3章〕
立命館大学経済学部准教授
博士(学術)横浜国立大学
2002年東洋大学文学部卒業、2012年横浜国立大学大学院国際社会科学研究科博士課程修了。2012年日本学術振興会特別研究員(PD)、同年慶應義塾大学経済学部訪問研究員、2015年より現職。専門は近現代日本経済史、農業史、植民地研究。
主な業績:「戦時期における日本人『満州開拓民』の経営・生活と意識」(『日本史研究』第566号、2009年)、「戦時期における満州分村移民送出と母村の変容」(『社会経済史学』第80巻第2号、2014年)、「地域から送り出された満州移民」(加藤聖文・田畑光永・松重充浩編『挑戦する満州研究』、東方書店、2015年)ほか。

前田廉孝(Kiyotaka Maeda)〔第4章〕
西南学院大学経済学部准教授
博士(経済学)慶應義塾大学
2008年慶應義塾大学経済学部卒業、2010年同大学大学院経済学研究科前期博士課程修了、2013年同大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得退学。2010年日本学術振興会特別研究員(DC1)、2013年西南学院大学経済学部専任講師、2015年より現職。専門は近代日本経済史・近代日本経営史。
主な業績:『日清戦後経営期の本国・植民地間における経済政策の相克』(『社会経済史学』81巻2号、2015年8月)、『醤油醸造業と地域の工業化』(共著、慶應義塾大学出版会、2016年)、「日露戦後経営期の日本内地における植民地産品輸移入拡大の論理」(『歴史と経済』第233号、2016年10月)、“Market Efficiency and Government Interventions in Prewar Japanese Rice Futures Markets,”(共著、Financial History Review, 23(3), December 2016)ほか。

高柳友彦(Tomohiko Takayanagi)〔第6章〕
一橋大学大学院経済学研究科講師
博士(経済学)東京大学
2002年慶應義塾大学経済学部卒業、2004年東京大学大学院経済学研究科修士課程修了、2009年同大学院博士課程修了。2009年慶應義塾大学経商連携グローバルCOE研究員、2010年より現職。専門は、近現代日本経済史。
主な業績:「「地域」経済史研究の現状と課題――近代日本経済史研究を中心に」(『歴史学研究』929号、2015年)、『歴史を学ぶ人々のために――現在をどう生きるか』(共著、岩波書店、2017年)、『市制施行80周年記念 熱海温泉誌』(共編著、出版文化社、2017年)。

佐々木啓(Kei Sasaki)〔第7章〕
茨城大学人文社会科学部准教授
博士(文学)早稲田大学
2002年早稲田大学第一文学部卒業、2004年同大学大学院文学研究科修士課程修了、2011年同大学院博士後期課程退学。2010年早稲田大学文学学術院助手、2012年日本学術振興会特別研究員(PD)、2014年茨城大学人文学部准教授、2017年より現職。専門は近現代日本の労働史・民衆史。
主な業績:「「産業戦士」の世界――総力戦体制下の労働者文化」(『歴史評論』第737号、2011年)、「敗戦前後の労働者統合」(『人民の歴史学』第197号、2013年)、「総力戦の遂行と日本社会の変容」(大津透ほか編『岩波講座日本歴史』第18巻、岩波書店、2015年)、「民衆の徴用経験」(アジア民衆史研究会・歴史問題研究所編『日韓民衆史研究の最前線――新しい民衆史を求めて』有志舎、2015年)ほか。

金 明洙(Myungsoo Kim)〔第8章〕
啓明大学校人文国際学大学国際地域学部日本学専攻助教授
博士(経済学)慶應義塾大学
1996年延世大学校経済学科卒業、2000年同大学校大学院経済学科碩士課程卒業、2010年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。2007年慶應義塾大学経済学部助教。2012年啓明大学校国際学大学日本学科専任講師、2012年9月より現職。専門は近代経済史。
主な業績:「植民地期における在朝日本人の企業経営――朝鮮勧農株式会社の経営変動と賀田家を中心に」(『経営史学』第44巻3号、2009年、日本語)、「韓末日帝下日本人土木請負業者荒井初太郎の韓国進出と企業活動」(『経営史学』第26巻3号、2011年、韓国語)、「永登浦工場地帯の形成と日系企業の集積」(柳沢遊ほか編著『日本帝国勢力圏の東アジア都市経済』慶應義塾大学出版会、2013年、日本語)、『仁取盛衰記――米穀取引所仁川米豆取引所の興亡盛衰』(仁川大学校仁川学研究院、編訳、2015年、日韓対訳)ほか。

平山 勉(Tsutomu Hirayama)〔第10章〕
湘南工科大学工学部総合文化教育センター准教授
博士(経済学)慶應義塾大学
1995年慶應義塾大学経済学部卒業、1998年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2003年同大学院後期博士課程単位取得退学。1998年慶應義塾大学経済学部研究助手、2002年同大学グローバルセキュリティ・リサーチセンター研究員、2006年映画専門大学院大学映画プロデュース研究科専任講師、2011年同准教授、2015年より現職。専門は、日本植民地史、日本経営史、日本経済史。
主な業績:「満鉄の増資と株主の変動――1933年増資の払込期間を中心として」(『歴史と経済』202号、2009年1月)、「戦時経済統制下の株式市場における競争の変質――満鉄の1940年増資と株主の安定」(『日本植民地研究』22号、2010年7月)、‘Management of the South Manchuria Railway Company’(Marcel Boldorf, Tetsuji Okazaki eds. “Economies under Occupation: The hegemony of Nazi Germany and Imperial Japan in World War Ⅱ”, London: Routledge, 2015)ほか。

山本 裕(Yu Yamamoto)〔第11章〕
香川大学経済学部准教授
修士(経済学)慶應義塾大学
1997年慶應義塾大学経済学部卒業、1999年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2005年同大学院後期博士課程単位取得退学。2003年慶應義塾大学経済学研究科・商学研究科連携21世紀COEプログラム研究員(DC)、2005年同プログラム研究員(PD)、2007年大連理工大学外国語学院外籍文教専家、2009年香川大学経済学部専任講師、2010年より現職。専門は近現代日本経済史・日本植民地研究・満鉄史。
主な業績:「「満州」の石炭業」(原朗・山崎志郎編著『戦時日本の経済再編成』第7章、日本経済評論社、2006年)、「満州」(日本植民地研究会編『日本植民地研究の現状と課題』第7章、アテネ社、2008年)、「事業化された調査――資源・鉱産物調査とオイルシェール事業」(松村高夫・柳沢遊・江田憲治編著『満鉄の調査と研究――その「神話」と実像』第4章、青木書店、2008年)、『二〇世紀満州歴史事典』(編集協力、吉川弘文館、2012年)ほか。

難波ちづる(Chizuru Namba)〔第12章〕
慶應義塾大学経済学部准教授
Docteur en histoire(Université Lumière Lyon 2)
1995年慶應義塾大学経済学部卒業、1997年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2000年同大学院博士課程単位取得退学。2006年日本学術振興会特別研究員(PD)、2008年より現職。専門はフランス植民地史。
主な業績:Français et Japonais en Indochine(1940-1945):Colonisation, propagande et rivalité culturelle(Paris: Karthala, 2012)、“La France face aux procès de Saigon et de Tokyo”(Outre-Mers, Revue d’histoire, no.380-381, 2013)、「「本国」から「祖国」へ――戦後フランスのインドシナ復帰と在仏ベトナム人労働者の送還問題(『三田学会雑誌』108巻2号、2015年)ほか。

目次

 はしがき

序章 1940年代日本帝国崩壊期をどう見るか
   ――研究動向と本書の視角   柳沢 遊
 第1節 地域社会と人的移動から見る1940年代日本帝国
  1 本国と勢力圏の双方から見た日本帝国の動態
  2 「生存の危機」に直面した1940年代「銃後」社会
 第2節 「1940年代」認識の変遷
  1 高度成長期から1970年代までの1940年代史研究
  2 戦争経験の学問的形象化――1990年代以降
  3 日本帝国圏・占領地の地域社会把握
 第3節 戦時日本経済史研究からの接近
  1 「総力戦体制論」の流行と個別実証研究からの反論
  2 戦後変革の画期性と遺産の継承について
  3 戦時から戦後への転換過程の研究動向
 第4節 「アジアのなかの戦争」史研究の展開
 第5節 政治史・民衆史研究からの問題提起
 第6節 本書の企図

  〈第1部 人の移動〉

第1章 戦時下における在日朝鮮人政策と位置づけの変容   木村健二
 はじめに
 第1節 協和会体制確立過程における朝鮮人の位置づけ
  1 朝鮮人労働者の移動・稼働
  2 生活・教育問題等
  3 思想政治動向及び時局認識
 第2節 協和会体制下における朝鮮人対策
  1 協和会体制の構築
  2 協和会の組織
  3 協和会の活動
 第3節 大戦末期の朝鮮人労働者観
 おわりに

第2章 日本中小工場の満洲移植と「満洲国」現地経済
    ――奉天市を事例として   張 暁紅
 はじめに
 第1節 満州の下請工場不足と日本中小工場の満州移植政策の策定
  1 下請工場としての中小工場不足
  2 満州国立地の親工場の要望と満州国の助成方針
  3 日本中小工場満州移植暫行対策の公布
 第2節 1941年度までの移植と奉天経済
  1 一回目(1939年度)の移植
  2 二回目(1940年度)と三回目(1941年度)の移植
  3 奉天市の生産資材不足問題
 第3節 1942年度以降の奉天経済と満州移植
  1 奉天市での資源回収と代用品工業の推進
  2 四回目(1942年度)の移植と五回目(1943年度)の計画
 おわりに

第3章 アジア・太平洋戦争期の満蒙開拓団
    ――母村と現地(1942-45年)  細谷 亨
 はじめに
 第1節 アジア・太平洋戦争期の満州移民政策と府県の対応
 第2節 開拓団送出をめぐる地域の動向
  1 低迷する送出状況
  2 入植地の決定過程
  3 強まる送出圧力
 第3節 アジア・太平洋戦争期の開拓団
  1 入植当初の開拓団
  2 開拓団と食糧増産
  3 開拓団と母村
 おわりに

第4章 戦時期日本の占領地域における「学術調査」
    ――1942年山西学術調査研究団を中心に   前田廉孝
 はじめに
 第1節 山西省の埋蔵資源に対する期待
  1 乙嘱託班と満鉄調査部による調査
  2 大同炭鉱の経営悪化
  3 山西学術調査研究団の派遣依頼
 第2節 山西学術調査研究団による調査の実施
  1 調査計画の立案・決定
  2 調査の実施
 第3節 山西学術調査研究団の調査結果
  1 地質鉱物・地理学班
  2 動物・植物・人類先史学班
  3 調査結果の公表
  4 山西学術調査研究の不十分性と抗日勢力の存在
  おわりに

第5章 戦争に翻弄された南方移民
    ――「帝国」の解体の背後で   倉沢愛子
 はじめに
 第1節 「大東亜」戦争と蘭領東インドの日本移民
  1 蘭印の日本人移民
  2 緊張の高まりと邦人引き揚げ
  3 開戦と邦人のオーストラリア抑留
  4 「復帰邦人」――占領下の経済を支えた人々
 第2節 戦争に翻弄されたあるボルネオ入植者の家族史
  1 西ボルネオ・ガンディス村への入植
  2 ガンディス村での事業展開
  3 開戦・逮捕そしてオーストラリアへ
  4 捕虜交換で再びインドネシアへ
  5 終戦そして強制的な引き揚げ
 おわりに

  〈第2部 地域社会の変動〉

第6章 温泉経営の展開と市町村合併
    ――愛媛県道後温泉を事例に   高柳友彦
 はじめに
 第1節 日中戦争前後の道後温泉
  1 1930年代初頭の温泉経営の展開
  2 温泉経営の模索と県行政による市町村合併の斡旋
 第2節 日中戦争と行財政運営
  1 町村合併の動向と療養所建設
  2 療養所の実態と施設拡張
 第3節 1930年代末期から太平洋戦争期の道後温泉
  1 利用客数の増加と源泉開発
  2 町村合併問題の展開
  3 戦時体制の進展と温泉経営
 おわりに

第7章 敗戦直後の労働運動
    ――東芝第三次闘争の分析から   佐々木啓
 はじめに
 第1節 第三次闘争の前提
  1 東芝労働者の戦争体験
  2 敗戦直後の東芝労働者
 第2節 闘争の開始と運動の論理
  1 戦時補償打ち切りと闘争のはじまり
  2 ウォルター事件
  3 闘争の論理
  4 生活安定本部の活動
 第3節 闘争の転回
  1 中労委斡旋と了海の辞任
  2 交渉の再開
  3 アーバン事件
 第4節 闘争の終結
  1 マダムの家事件から交渉妥結へ
  2 女子労働者の意識動向
 おわりに

第8章 戦時期における朝鮮社会の動向と朝鮮実業倶楽部   金 明洙
 はじめに
 第1節 日中戦争期における朝鮮財界の要求
 第2節 遊休資金の吸収と低調な証券投資
 第3節 物資愛護・消費節約・配給問題
 第4節 アジア・太平洋戦争末期におけるインフレ対策
 おわりに

第9章 戦時体制下の大連工業   柳沢 遊
 はじめに
 第1節 日中戦争期までの大連工業展開史
  1 大連市企業の位置と変化
  2 「満州国」期の大連商工業――工業都市前史
 第2節 日中戦争期の関東州工業――転換点としての1939年
  1 日中戦争と大連産業界――食料品工業の発展
  2 日中戦争期の重化学工業
  3 低迷した産業
  4 大連産業界の自己認識
  5 重点主義に基づく重要産業育成
 第3節 アジア・太平洋戦争期の大連工業
  1 世界大戦勃発後の大連産業界の組織化
  2 大連産業インフラの整備と工業発展の到達点
  3 タイムラグを伴った経済統制
  4 生活必需品工業の発展
  5 重化学工業の現状と生産増強政策
  6 戦力増強政策の展開
  7 関東州の労務動員――その限界の露呈
 おわりに――1944年後半期の経済破綻

第10章 鉄道附属地の「地域化」と満鉄日本人社員の「外部効果」
平山 勉
 はじめに
 第1節 地方連合会と連載「連合会地方色」
  1 満鉄社員会の本部と地方連合会
  2 『協和』とその編集方針
  3 連載「連合会地方色」
 第2節 満鉄日本人社員から見た「地域社会」
  1 つながらない歴史
  2 満鉄による「近代化」――つながる歴史
  3 在来社会との断絶
  4 日本人社会への冷めた思い
 おわりに

第11章 「満洲国」後期における石炭増産政策   山本 裕
 はじめに
 第1節 満州国「統制外炭鉱」をめぐる政策構想の推移
  1 統制外炭鉱の定義と出炭量
  2 統制外炭鉱の立地状況
  3 統制炭鉱と統制外炭鉱――貯炭率と価格動向
  4 統制外炭の地域別販売動向
  5 統制外炭の「統制」推移
  6 統制外炭政策に関する、省別の政策相違点
  7 満州国末期における中小炭鉱統制方策
 第2節 満州国末期における石炭増産政策
     ――価格改定政策を中心に
  1 1942-1943年度の出炭実積
  2 満州国末期の炭価改定動向(1)
    ――1944年4月炭価改定の特徴
  3 満州国最末期における各炭鉱の生産原価・生産原価率動向
  4 満州国末期の炭価改定動向(2)
    ――1945年6月炭価改定の特徴
 おわりに

第12章 第二次世界大戦期のインドシナをめぐるフランス人と日本人
     ――日常における支配と占領  難波ちづる
 はじめに
 第1節 フランス人と日本人の競合と共存
 第2節 日本人とベトナム人の「接触」
 第3節 フランス人と現地住民の「接近」
 おわりに

第13章 戦時期ジャワの隣組・アザ常会制度   倉沢愛子
 はじめに
 第1節 隣組導入の背景――村落社会の重要性の増大
 第2節 隣組の目的と機能
 第3節 隣組の設立経緯
  1 普及と振興
  2 アザ長・隣組長の資質
 第4節 隣組活動の実態
  1 隣組常会における情報伝達――隣組の機能①
  2 治安維持・防空・防火・防諜――隣組の機能②
  3 防火作業と防空壕掘り――隣組の機能③
  4 食糧の増産・集荷・配給――隣組の機能④
 おわりに――日本軍政終了後の地域組織
  1 スハルト体制の特色
  2 体制を支えるメカニズム

あとがき
索引
執筆者紹介


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