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環境法の考えかたⅠ― 「人」という視点から

環境法の考えかたⅠ― 「人」という視点から

四六判 288ページ 並製
定価:2,600円+税
ISBN978-4-7664-2404-1 C3032
奥付の初版発行年月:2017年03月 / 発売日:2017年03月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

▼「あなたの大切な人」にとってのよい環境とは何だろうか? 環境法はもっと面白く、その裾野は広い。
▼公害や環境保全といった問題だけでなく、「認知症」や「躁鬱」といった“ 個々の人”の環境の問題までを考える。
▼社会問題の書籍として読めるだけではなく、弁護士、企業法務担当者、CSR 担当者にも必携の1冊。

「あなたの大切な人」にとってのよい環境とは何だろうか? 

「これまであたりまえに思ってきたことにとらわれず、自分の頭で考えるということが、これほど求められている時代があったでしょうか。 この本を手にとってくださった方が、みんながそういっているけれど、本当はどうなのか、どうすれば本当のことがわかるのか、そこからなにを考え、これからどのように生きていったらいいのか、そんなふうに考えるようになってほしいと思っています」とは、本書にある著者のメッセージ。
1人1人がよい環境でいてほしい。
かつては裁判官として、また学生とともにある研究者として生きてきた著者が、「躁鬱」や「認知症」といった周りにある身近なテーマや、ウサギが原告となった「アマミノクロウサギ訴訟」等興味深いテーマをも、例にとりあげながら、環境と法のもっとも基本であるべきことを考える。

著者プロフィール

六車 明(ロクシャ アキラ)

1952年東京生まれ。慶應義塾大学大学院法務研究科(法科大学院)教授。
弁護士(京橋法律事務所)。専攻 環境法。趣味 フルート演奏。
1975年慶應義塾大学法学部卒業、1976年同大学大学院法学研究科修士課程民事法学専攻退学。同年司法修習生(30期・東京4班)。1978年東京地方裁判所判事補、1982年高松家庭裁判所判事補兼地方裁判所判事補、1985年東京地方検察庁検事法務省刑事局局付検事、1988年外務事務官(国際連合局)併任(ILO第4回公務合同委員会〔ジュネーブ〕政府代表顧問)、1989年東京地方裁判所判事、1991年仙台地方裁判所判事、1995年東京地方裁判所判事東京高等裁判所判事職務代行、1997年東京高等裁判所判事、1998年東京地方検察庁検事総理府公害等調整委員会事務局審査官、1999年東京高等裁判所判事。同年慶應義塾大学法学部助教授、2002年同大学法学部教授、2004年から現職。2014年弁護士登録(第二東京弁護士会。環境保全委員会・環境紛争制度部会所属)。
日米法学会評議員、環境法政策学会理事。日本私法学会、東北法学会、LAWASIA(個人会員)所属。
その他、1999年WWFジャパン(公益財団法人世界自然保護基金ジャパン)事務局特別顧問(~現在)、2002年法務省政策評価懇談会委員(~2014年)、2009年独立行政法人環境再生保全機構契約監視委員会委員(~2015年)を歴任。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき

序 章 環境法の考えかた
 Ⅰ 環境問題のとらえかた
 Ⅱ 環境問題と法の対応
 Ⅲ ある個人にとっての法という新たな視点から

第1章 ユニバーサルデザインの環境法
 I  ユニバーサルデザインの法
  1 ユニバーサルデザイン
  2 ユニバーサルデザインの条約と法律
  3 アクセシビリティの条約と法律
 Ⅱ ユニバーサルデザインの環境法
  1 緊急時における環境情報の提供
  2 環境白書・環境影響評価書類
  3 環境教育・広報活動・NGO

第2章 そううつ・うつと環境法の問題
 Ⅰ そううつ・うつ
  1 そううつ・うつの症状
  2 うつになりやすい世代
  3 うつ病の治療目標
  4 そううつ・うつの治療法
 Ⅱ そううつ・うつの人の感じかた
  1 美しいながめ
  2 聞こえてくる音
  3 においの感じかた
 Ⅲ そううつ・うつの人のための法の関わりかた
  1 どのような状況が問題なのか
  2 裁判所はどのように考えているのか
  3 どのような立法がされているか
 Ⅳ 環境法は何ができるのか
  1 そううつ・うつの人たちのおかれている環境
  2 環境法はそううつ・うつの人たちに何ができるのか

第3章 認知症の人に向ける環境法の目
 Ⅰ 認知症の人クリスティーン
  1 認知症の人の発信
  2 高い精神活動
 Ⅱ 認知症の人に向ける政府の目線
  1 従来の目線
  2 新しい目線
  3 政府が説明する認知症の症状
 Ⅲ ある特定の認知症の人と向き合う環境法
  1 佐藤雅彦のメッセージ
  2 音に対する敏感さ
  3 認知症の人の環境権

第4章 ハンセン病と環境法
 Ⅰ ハンセン病
  1 ハンセン病とは何か
  2 熊本地裁判決が認定した被害
  3 熊本地裁判決とその後
  4 ハンセン病問題の解決の促進に関する法律
 Ⅱ ハンセン病であった人々をとりまくもの
  1 物理的制限
  2 園内の趣味
  3 「元患者」という差別
 Ⅲ 犠牲となった人たちと私たち
  1 私たちの社会
  2 医学・医療界
  3 マスコミと学会
  4 司法
 Ⅳ より根源的なこと
  1 断種・堕胎の強制のため家族がいない
  2 知覚麻痺で失明することがある
  3 人権の森
 Ⅴ 環境法のありかた

第5章 基本法を創るもの 基本法が創るもの
 I 公害対策基本法
  1 公害対策基本法制定に至る経緯
  2 公害対策基本法の立法作業
  3 経済調和条項
 Ⅱ 公害対策基本法の改正
  1 公害対策基本法の改正作業
  2 公害対策基本法の改正
  3 経済調和条項削除が及ぼすもの
 Ⅲ 環境基本法
  1 環境基本法制定に至る経緯
  2 環境基本法の目的と理念
  3 環境基本法が創るもの

第6章 生活環境から環境一般へ
 I 生活環境に関する法の規定
  1 公害の定義のなかの生活環境
  2 生活環境の外延
  3 人の生活と密接性
 Ⅱ 生活環境の範囲の拡大
  1 動植物の生息と生育を保護するための化学物質規制立法
  2 水生生物を保全するための環境基準・規制基準
  3 都市景観を生活環境として法律上保護に値すると解した裁判例
 Ⅲ 生活環境から環境一般へ
  1 生活環境における保護対象を広げようとする学説
  2 一般にされている環境の定義
  3 環境の定義の構成要素
  4 環境の定義の試み

第7章 環境の保全
―― 基本理念における環境と経済
 I 環境の保全についての基本理念
  1 基本理念に至る経緯
  2 基本理念と14条の施策策定の指針
  3 下位の基本法の基本原則
  4 実施法の位置づけ
 Ⅱ 基本理念(1)における環境の類型
  1 環境基本法3条の構造
  2 恵み豊かな環境
    ―― 基本理念(1)における環境の第1類型
  3 人類の存続の基盤としての環境
    ―― 基本理念(1)における環境の第2類型
  4 復元力を失わないこと
 Ⅲ 基本理念(2)における環境と経済の関係の展開
  1 環境基本法4条の構造
  2 環境と経済の「統合」
  3 経済発展と経済成長
  4 環境の2類型からの考察

第8章 アマミノクロウサギ訴訟
―― 開発者と反対者との対話
 I  アマミノクロウサギ訴訟に対する基礎的視点
  1 事案の概要
  2 奄美の小史
  3 日本経済の状況
  4 動物を原告として表示する訴状
 Ⅱ 環境NGO・住民などの原告適格
  1 原告・控訴人らの主張
  2 鹿児島地裁の判断(平成13年1月22日)
  3 福岡高裁宮崎支部の判断(平成14年3月19日)
  4 私の見解
 Ⅲ  自然との対話
  1 原告・控訴人らのいう自然との対話
  2 対話の現実
  3 私の見解

第9章 農業と環境を考える視点
 Ⅰ 農業が環境に与える影響
  1 農薬と肥料の使用
  2 遺伝子組換え生物の使用
 Ⅱ 環境が農業に与える影響
  1 農業就労者への影響
  2 土壌への影響
 Ⅲ 農業と環境を考える4つの視点
  1 自然の復元力の限界
  2 生物の多様性
  3 ゼロにできないリスクの和を最小にするという考えかた
  4 農業のもつ正の外部性


あとがき
索  引
初出一覧


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