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 日本現代文学の起源意志薄弱の文学史

意志薄弱の文学史 日本現代文学の起源

A5判 456ページ 上製
定価:3,800円+税
ISBN978-4-7664-2366-2 C0095
奥付の初版発行年月:2016年10月 / 発売日:2016年10月上旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

日本文学史を読みかえる、俊英による革命的な文学論。

▼近代から現代に至る文学の「視覚性」に注目し、日本に脈々と流れる「曖昧」の系譜を辿ることで、
「意志」をめぐる近代の激しい攻防をあぶりだす。

▼映画や写真など、テクノロジーの革新による「視覚性」の新たな編成が要請された近代以降、
日本文学において、柄谷行人が、その端緒を「風景の発見」と述べたように、視覚性=認識、
すなわち「内面」の問題が、大きな関心事でありつづけた。
しかし、本書で探求されるのは「風景」や「近代的自我」や「主体性」ではなく、
「不安」、「夢見」、「言い間違い」、「意志薄弱」といった、「曖昧」きまわる様態である。

▼正岡子規、夏目漱石、内田百閒、志賀直哉、横光利一、川端康成、大江健三郎を中心にして、
近代文学における「曖昧」の系譜を可視化し、文学史そのものを読みかえるのみならず、
日本「現代」文学の起源を突き止めてゆく、大胆不敵な一書。

著者プロフィール

坂口 周(サカグチ シュウ)

1977年東京都生まれ。福岡女子大学国際文理学部専任講師。
早稲田大学卒業後、2001年東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。2003年英国・ロンドン大学ゴールドスミス校大学院修士課程メディア&コミュニケーション専攻修了。2007年東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。津田塾大学学芸学部非常勤講師、中国・広東外語外貿大学外籍教師、実践女子大学文学部助教を経て、現在に至る。「運動する写生 ―― 映画の時代の子規」で2014年第57回群像新人文学賞(講談社主催)評論部門優秀作。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 序 章 「曖昧未了」から「意志薄弱」まで

第一部

 第一章 運動する写生 ―― 正岡子規と映画の論理
  一 「起源」としての一八九六年
  二 活動写真の時代
  三 「写生」の二面性
  四 「活動」の原理
  五 「曖昧未了」の美学 ―― 余韻から運動へ
  六 写生的認識とモンタージュ
  七 夢の〈推移〉の理論へ

 第二章 催眠、あるいは脳貧血の系譜 ―― 夏目漱石から志賀直哉へ
  一 催眠術言説の成立
  二 漱石文学と催眠現象 ―― 〈夢見〉る心地
  三 「さびしさ」という方法 ―― 国木田独歩の感化
  四 志賀直哉の「さびしさ」へ
  五 悲喜劇の構造 ―― 「鳥尾の病気」論
  六 病と熱情のサロメ ―― シンボリズムとしての神経衰弱
  七 脳貧血の美学 ―― 文学による「心の自由」を求めて
  八 「風流」論へ
 
 第三章 〈気づき〉の神秘主義 ―― 内田百閒と夢小説
  一 「気づく」ことのテーマ性
  二 既視のメカニズム
  三 漱石という端緒
  四 媒介項としての志賀直哉
  五 「崇高」と「美」のはざまに
  六 「ぼんやり」から「はっきり」へ ―― 「冥途」論
  七 佐藤春夫「西班牙犬の家」の夢空間
  八 照応する「城の崎にて」 ―― 夢の軌道
  九 「新感覚」の先へ

第二部

 第四章 発声映画(トーキー)の時代
 ―― 横光利一の〈四次元小説〉論
  一 昭和文学への転換 ―― 「新感覚」のパラダイム
  二 〈超‐現実〉の心理 ―― 「曖昧」の「朦朧」からの脱離
  三 トーキーの思想圏 ―― 発声という革命
  四 矛盾的同一体としてのトーキー
  五 有声を支える四次元
  六 小説の「連絡体」としての四次元
  七 偶然性と倫理 ―― プロトタイプとしての『寝園』
  八 「純粋小説」における恋愛の意味
  九 「懐疑」と「会議」
  ―― 『家族会議』における〈幸福〉への決意

 第五章 一九六三年の分脈 ―― 大江健三郎と川端康成
  一 「曖昧」から「あいまい」への受け渡し
  二 サルトルの「想像力」
  三 「空の怪物アグイー」論 ―― 空の夢、あるいは映画の空
  四 川端康成の何が「あいまい」なのか
  五 虚無を解消する方法 ―― 「片腕」論
  六 「あいまい」の行方

 終 章 「意志」をめぐる攻防

  あとがき
  文献一覧
  人名索引


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