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東アジア生産ネットワークと経済統合

慶應義塾大学東アジア研究所叢書
東アジア生産ネットワークと経済統合

A5判 240ページ 上製
定価:4,200円+税
ISBN978-4-7664-2333-4 C3333
奥付の初版発行年月:2016年05月 / 発売日:2016年05月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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在庫あり

内容紹介

▼新たな国際経済秩序における日本の役割を展望

世界金融危機、東日本大震災、タイ洪水、3つの危機をのりこえたレジリエントな東アジア生産ネットワーク。ASEANをハブとする自由貿易協定網が形成され、新興国・発展途上国のインフラが整備されるなか、日本はこの優れた国際分業ネットワークをいかに活用していくべきなのか。詳細な実証分析をもとに、日本の産業振興政策への知見を示す。

著者プロフィール

木村 福成(キムラ フクナリ)

慶應義塾大学大学院経済学研究科委員長・経済学部教授
1982年東京大学法学部卒業、1991年ウィスコンシン大学大学院博士課程修了。Ph.D.(経済学)。財団法人国際開発センター研究助手、ニューヨーク州立大学オルバニー校経済学部助教授、慶應義塾大学経済学部助教授等を経て、2000年より教授、2015年より研究科委員長。東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)チーフエコノミストを兼務。専門は、国際貿易論、開発経済学。
主な業績:『国際経済学入門』(日本評論社、2000年):Multinationals and Economic Growth in East Asia: Foreign Direct Investment, Corporate Strategies and National Economic Development (Routledge, 2006, edited with Shujiro Urata and Chia Siow Yue); East Asia’s Economic Integration :Progress and Benefit (Palgrave Macmillan, 2008, edited with Daisuke Hiratsuka); Comprehensive Asia Development Plan (ERIA, 2010, co-authored);『通商戦略の論点 ―― 世界貿易の潮流を読む』(文眞堂、2014年)、共編著) ほか。

大久保 敏弘(オオクボ トシヒロ)

慶應義塾大学経済学部教授
2005年スイス・ジュネーブ大学及び国際高等研究所 Graduate Institute of International and Development Studies, Geneva(国際・開発研究大学院)、Ph.D.(国際関係、経済学)。
2005年スイス・国際高等研究所(国際・開発研究大学院)研究員、2006年英国・マンチェスター大学IPEG、2008年神戸大学、2010年英国・オックスフォード大学経済学部、スウェーデン・ストックホルム大学経済学部研究員、2011年慶應義塾大学経済学部准教授を経て、2015年より現職。この間、ベルギー・カトリックルーバン大学客員研究員、英国・バーミンガム大学経済学部客員研究員、スイス・チューリッヒ大学経済学部客員教授などを歴任。専門は、国際貿易・海外直接投資、空間経済学。
主な業績:Heterogeneous Firms, Agglomeration and Economic Geography: Spatial Selection and Sorting, Journal of Economic Geography 6 (2006, co-authored with R. E. Baldwin); The Spatial Selection of Heterogeneous Firms, Journal of International Economics 82(2), (2010, co-authored with P. M. Picard and J.-F. Thisse); On the Development Strategy of Countries of Intermediate Size-An Analysis of Heterogeneous Firms in a Multi-region Framework, European Economic Review 56 (2012, co-authored with R. Forslid); The Carbon Dioxide Emissions of Firms: A Spatial Analysis, Journal of Environmental Economics and Management 65(2), (2013, co-authored with M. A. Cole, R. J. R. Elliott and Y. Zhou) ほか。

安藤 光代(アンドウ ミツヨ)

慶應義塾大学商学部教授
1999年慶應義塾大学経済学部卒業、2001年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2005年同博士課程修了。博士(経済学)。2001年慶應義塾大学経済学部研究助手、2005年一橋大学大学院経済学研究科専任講師、2007年慶應義塾大学商学部専任講師、2008年同大学准教授を経て、2016年より現職。専門は、国際貿易論。
主な業績:Two-dimensional Fragmentation in East Asia: Conceptual Framework and Empirics, International Review of Economics and Finance 14 (2005, co-authored) ; 『東アジアにおける国際的な生産・流通ネットワーク ―― 機械産業を中心に』(三菱経済研究所、国際文献印刷社、2006年); Impacts of Japanese FTAs/EPAs: Preliminary Post Evaluation, The International Economy 11 (2007); How Did the Japanese Exports Respond to Two Crises in the International Production Network?: The Global Financial Crisis and the Great East Japan Earthquake, The Asian Economic Journal 26(3) (2012, co-authored); Globalization and Domestic Operations: Applying the JC/JD Method to the Japanese Manufacturing Firms, Asian Economic Papers 14(2) (2015, co-authored) ほか。第3回小島清賞優秀論文賞受賞(2008年)。

松浦 寿幸(マツウラ トシユキ)

慶應義塾大学産業研究所准教授
1998年慶應義塾大学総合政策学部卒業、2000年同大学大学院商学研究科修士課程修了、2003年同博士課程単位取得退学。2006年博士(商学)。2003年独立行政法人経済産業研究所研究スタッフ、2007年同研究員、一橋大学経済研究所専任講師、2009年慶應義塾大学産業研究所専任講師を経て、2014年より現職。専門は、国際経済学、産業組織論。
主な業績:Reconsidering the Backward Vertical Linkage of Foreign Affiliates: Evidence from Japanese Multinationals, World Development 36(8) (2008, co-authored with Kozo Kiyota, Shujiro Urata and Yuhong Wei); Two-dimensional Analysis of the Impact of Outward FDI on Performance at Home: Evidence from Japanese Manufacturing Firms, Japan and the World Economy 27 (2013, co-authored with Ayako Obashi, Kazunobu Hayakawa and Kazuyuki Motohashi); International Productivity Gaps and the Export Status of Firms: Evidence from France and Japan, European Economic Review 70 (2014, co-authored with Flora Bellone, Kozo Kiyota, Patrick Musso, Lionel Nesta); Trade Liberalization in Asia and FDI Strategies in Heterogeneous Firms: Evidence from Japanese Firm-level Data, Oxford Economic Papers 67 (2) (2015, co-authored with Kazunobu Hayakawa) ほか。

早川 和伸(ハヤカワ カズノブ)

アジア経済研究所研究員
2003年慶應義塾大学経済学部卒業、2005年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2008年同博士課程修了。博士(経済学)。2005年慶應義塾大学経済学部助教を経て、2008年より現職。専門は国際貿易。
主な業績:Globalization and Productivity: A Survey of Firm-level Analysis, Journal of Economic Surveys 26(2) (2012, co-authored with F. Kimura and T. Machikita); Trade Liberalization in Asia and FDI Strategies in Heterogeneous Firms: Evidence from Japanese Firm-level Data, Oxford Economic Papers 67(2) (2015, co-authored with T. Matsuura); Trade Creation Effects of Regional Trade Agreements: Tariff Reduction versus Non-tariff Barrier Removal, Review of Development Economics, 20(1) (2016,co-authored with T. Ito and F. Kimura); Measuring the Costs of FTA Utilization: Evidence from Transaction-Level Import Data of Thailand, Review of World Economics (Forthcoming, co-authored with N. Laksanapanyakul and S. Urata) ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

(※〔 〕内は、担当章。)
木村福成(きむら ふくなり)〔序文、第7章、あとがき〕
慶應義塾大学大学院経済学研究科委員長・経済学部教授

大久保敏弘(おおくぼ としひろ)〔第1章、第5章〕
慶應義塾大学経済学部教授

安藤光代(あんどう みつよ)〔第2章、第3章〕
慶應義塾大学商学部教授

松浦寿幸(まつうら としゆき)〔第4章〕
慶應義塾大学産業研究所准教授

早川和伸(はやかわ かずのぶ)〔第6章〕
アジア経済研究所研究員

目次

序文   木村福成

 第Ⅰ部 生産ネットワークの安定性・頑健性

第1章 世界金融危機と生産ネットワーク   大久保敏弘
 1 はじめに
 2 アジアにおけるフラグメンテーションの進展と経済危機
  2.1 フラグメンテーションに関する研究動向
  2.2 サバイバル分析と国際貿易
 3 本分析のデータ
 4 退出と再参入 ―― 「退出・再参入ダイアグラム」
  4.1 退出と再参入の確率
  4.2 「退出・再参入ダイアグラム」
 5 サバイバル分析
  5.1 Kaplan-Meier推定
  5.2 Cox比例ハザードモデル
 6 推計結果
  6.1 退出
  6.2 再参入
 7 さらなる分析 ―― 新規参入
 8 まとめ ―― アジアのフラグメンテーションと中間財・部品貿易

第2章 3つの危機と生産ネットワークの頑健性   安藤光代
 1 はじめに
 2 2つの危機と日本の輸出動向
 3 2つの危機に直面した生産ネットワークの特徴
  3.1 輸出額の変化とその要因分解
  3.2 機械輸出の下落と回復の確率
  3.3 機械輸出の復活の確率とそのタイミング
 4 タイでの大洪水と日本企業の対応
 5 おわりに

 第Ⅱ部 生産ネットワークの新展開

第3章 東アジアの生産ネットワーク   安藤光代
    ―― 域内での深化と域外との結びつき
 1 はじめに
 2 東アジア域内での深化
 3 北米の生産ネットワークとのリンク
 4 欧州の生産ネットワークとのリンク
 5 おわりに
 補論 電気電子産業と輸送機器産業の特性

第4章 生産ネットワークと生産性・雇用   松浦寿幸
    ―― 海外直接投資の企業データによる分析
 1 はじめに
 2 海外直接投資の影響の概念整理
  2.1 海外直接投資のインパクトの概念整理
  2.2 これまでの海外直接投資に関する実証研究
 3 分析の枠組み
  3.1 因果関係の特定について
  3.2 分析の手順
 4 データ
 5 推計結果
  5.1 単純比較
  5.2 マッチングによる分析
   5.2.1 傾向スコアの推計
   5.2.2 DID推計量
 6 おわりに

第5章 海外直接投資概念の再整理   大久保敏弘
    ―― 新しいFDIの分析手法と概念:「ネットワークFDI」
 1 はじめに
 2 直接投資の分類 ―― 伝統的な2分類から多様な分類へ
  2.1 実証研究の進展 ―― 多様な分類と新たな分析の視点
  2.2 理論研究の進展 ―― 「第3国」の存在
 3 「販売・調達ボックス・ダイアグラム」
  3.1 1つの事例 ―― FDIと開発戦略
 4 日本企業の海外子会社による販売と調達 ―― データ分析
  4.1 日本の海外直接投資
  4.2 販売・調達のパターン ―― 現地子会社の貿易パターン
  4.3 産業の特性
  4.4 進出先の国の特性
 5 3国以上での販売・調達パターン
  5.1 機械産業と「ネットワークFDI」
  5.2 アジアと欧州における電子機械産業のFDI
  5.3 米国における電子機械産業のFDI ―― 特異なパターン
  5.4 自動車産業のFDI
 6 「ネットワークFDI」と「販売・調達ボックス・ダイアグラム」の
   拡張と応用
  6.1 研究のアイデア
  6.2 応用例
   6.2.1 『通商白書2012』
   6.2.2 清田(2015)
 7 おわりに
    
 第Ⅲ部 生産ネットワークと経済統合

第6章 自由貿易協定の利用   早川和伸
 1 はじめに
 2 自由貿易協定の概形
 3 関税スキーム選択
  3.1 基本設定
  3.2 関税スキーム選択と特恵利用率
 4 実証研究の整理
  4.1 特恵利用状況
  4.2 特恵利用に与える影響に関する実証研究
   4.2.1 特恵マージン、原産地規則、企業規模の影響
   4.2.2 特恵利用のための固定費用の計測
   4.2.3 特恵利用率に影響を与える、その他の要因
   4.2.4 スパゲティ・ボウル現象に関する分析
 5 今後の研究の方向性
 補論 第3節のモデルにおける導出

第7章 生産ネットワークとメガFTAs   木村福成
 1 GVCsと生産ネットワーク
 2 生産ネットワークを中心に据えた開発戦略
  2.1 GVCsとティア構造
  2.2 ティア3:GVCsへの接続
  2.3 ティア2:生産ネットワークへの参加
  2.4 ティア1a:産業集積の形成
  2.5 ティア1b:イノヴェーション・ハブの創出
  2.6 他地域への応用可能性
 3 ASEAN経済統合
  3.1 独自の経済統合モデル
  3.2 モノの貿易
   3.2.1 関税撤廃
   3.2.2 原産地規則・貿易円滑化・非関税障壁など
  3.3 その他の自由化努力
   3.3.1 サービス貿易
   3.3.2 熟練労働者の移動
   3.3.3 投資
   3.3.4 資本・金融
   3.3.5 グローバル・サプライ・チェーンへの参加
  3.4 開発アジェンダ
 4 RCEPとTPP
  4.1 第4の柱とRCEP
  4.2 TPPのインパクト
 5 おわりに

  あとがき
  索引
  執筆者紹介


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