大学出版部協会

 

 世界経済における近代中東の交易ネットワークイスタンブル交易圏とイラン

イスタンブル交易圏とイラン 世界経済における近代中東の交易ネットワーク

A5判 400ページ 上製
定価:6,300円+税
ISBN978-4-7664-2207-8 C3022
奥付の初版発行年月:2015年03月 / 発売日:2015年03月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
この大学出版部の本一覧
在庫あり

内容紹介

非ムスリム商人、イラン商人、ヨーロッパ商人らによる
綿製品、絹、タバコ、ペルシア絨毯の流通から明らかにする
強固で自律的なネットワークの持続と変容

近代以降にイスタンブルを中心に形成され、イランにまで広がった大規模な交易圏。本書はこの地域を主題に、国境を越えた経済圏の問題を考察する。非ムスリム商人、イラン商人、そして新たに参入してきたヨーロッパ商人たちの移動、交易と拮抗の実態、そして綿製品、絹、タバコ、ペルシア絨毯などの商品流通の自律性を明らかにし、ヨーロッパの資本主義経済の影響にさらされた交易圏が、自らを再編成しながら今日まで力強く生き延びた理由を比較関係史の観点から解き明かす。

著者プロフィール

坂本 勉(サカモト ツトム)

1945年生まれ。1969年慶應義塾大学文学部東洋史専攻卒業。1975年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。1974年より慶應義塾大学文学部助手、1981年助教授、1991年教授、2011年定年により退職、現在慶應義塾大学名誉教授。1976-78年テヘラン大学、ケンブリッジ大学中東センターに留学。1987-89年日本学術振興会西アジア地域センター(アンカラ)派遣研究員およびアンカラ大学言語・歴史・地理学部講師としてトルコに滞在。1999-2000年ボアジチ大学(イスタンブル)文理学部訪問教授。専攻は近代中東イスラーム世界史、イラン=トルコ比較関係史、日本とイスラーム世界の交流史。
著書として『トルコ民族主義』講談社、1996年、『イスラーム巡礼』岩波書店、2000年、『ペルシア絨毯の道』山川出版社、2003年、『トルコ民族の世界史』(『トルコ民族主義』の増補改訂版)慶應義塾大学出版会、2006年、編著として『イスラーム復興はなるか』講談社、1993年、『近代日本とトルコ世界』勁草書房、1999年、『日中戦争とイスラーム』慶應義塾大学出版会、2008年、『井筒俊彦とイスラーム』慶應義塾大学出版会、2012年などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡 例

序 章 イスタンブル交易圏のなかのイラン
 1 中東イスラーム世界における都市形成と市・交易圏
 2 近代以前の中東イスラーム世界における交易圏の特徴
 3 交易圏をみる視角
 4 イスタンブルからイランにつながる交易ネットワーク

第1章 イスタンブルの中継貿易とイラン
 はじめに
 1 アミーノッザルブとオスマン帝国の非ムスリム商人
  1) イスファハーンからテヘランへの移住
  2) ヨーロッパに延びるラッリ商会の交易ネットワーク網
  3) トラブゾン=タブリーズ・ルートの開設
  4) ラッリ商会のイラン進出
  5) ザカフカス・ルートの台頭と中継関税問題
 2 イスタンブルに延びるイラン商人の交易ネットワーク
  1) ラッリ商会の撤退とアミーノッザルブの貿易活動
  2) 商業会議所設立をめぐるアミーノッザルブの経済観
  3) イスタンブルにおけるイラン商人の活動
 3 中継貿易の変容と交易ネットワーク
  1) トラブゾンの領事報告からみる対イランの中継貿易
  2) 綿製品の交易ネットワークとその変容
 おわりに

第2章 イランのアルメニア系商人の交易ネットワークとイスタンブル
 はじめに
 1 アルメニア系商人アルセニアン家の相続争い
 2 訴訟・裁判の過程からみえるアルメニア系商人の交易ネットワーク
 おわりに

第3章 イランの絹貿易とオスマン帝国のギリシア系の非ムスリム商人
 はじめに
 1 微粒子病と生糸貿易の衰退
 2 オスマン帝国からの蚕種輸入
 3 繭貿易の進展
 4 タブリーズ経済の地盤沈下
 おわりに

第4章 イランにおけるカーペット・ブームとイスタンブルの中継貿易
 はじめに
 1 絹から絨毯へ
 2 カーペット・ブームを牽引する外国商会
 3 絨毯産業に進出するイランの民族商人
 4 イスタンブルにおける絨毯の中継貿易
 おわりに

第5章 イランのタバコ・ボイコット運動とイスタンブル
 はじめに
 1 二つのタバコ利権の共通点と違い
  1) オスマン帝国におけるタバコの主力品種=トゥトゥン
  2) イラン特産の水タバコ用の品種=タンバークー
  3) ペルシア帝国タバコ専売会社の設立過程
 2 利権廃棄をめぐる攻防
  1) ボイコット運動の高揚と内国専売の廃止
  2) テヘランの騒擾事件
  3) 喫煙禁止令の解除をめぐるやりとり
  4) 補償交渉と輸出問題
 3 オスマン帝国におけるタバコ利権問題
  1) トンベキ輸入専売会社設立へ向けての動き
  2) 利権申請の手続
  3) オスマン帝国にとってのメリット
 4 利権撤回を求めるイスタンブルのイラン商人たち
  1) ヴァーリデ・ハンにおける抗議集会
  2) トンベキ専売会社の改組
 5 トンベキ専売会社発足後のイスタンブルにおけるボイコット運動
  1) 専売制の開始
  2) イスタンブルにおけるタバコ・ボイコット運動
 6 イスファハーンにおけるボイコット運動の余燼
  1) 商人による輸出会社の設立
  2) トンベキ輸入専売会社の抗議
 おわりに

終 章 変容するイスタンブル交易圏
 1 コチュ最初のイスタンブル旅行
 2 弱体化する非ムスリム商人の経済力
 3 台頭するトルコ系の商人
 4 イスタンブルにおける綿紡績業の発展
 5 サバンジュ財閥のイスタンブル進出
 6 イスタンブル交易圏の新たなる胎動



文献目録
初出一覧
あとがき
索 引


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。