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池田政権と高度成長期の日本外交

池田政権と高度成長期の日本外交

A5判 256ページ 上製
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-7664-2069-2 C3031
奥付の初版発行年月:2013年10月 / 発売日:2013年10月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

▼「先進国の一員」に加わるための外交戦略とは何だったのか?

▼「所得倍増」「寛容と低姿勢」という言葉で語られてきた、池田勇人政権。
高度経済成長の外交的帰結である「先進国クラブ」OECDへの加盟は
どのように達成されたのか?

▼池田政権にとっては、米国だけではなく欧州まで含めた、
いわゆる「自由陣営」諸国との関係の改善・強化、すなわち対「自由陣営」外交が、
経済的・政治的にきわめて重要な課題であった。これを本書では「政治経済=内政外交一体路線」と呼ぶ。

▼冷戦という状況を利用しつつ、米国との関係を緊密化し、欧州にも外交的地平を拡げていった池田勇人政権。      
 経済成長を軸に国内の政治的安定と国際的地位の向上を目指した外交の構図を大胆に描く、意欲作。

著者プロフィール

鈴木 宏尚(スズキ ヒロナオ)

慶應義塾大学・獨協大学・フェリス女学院大学等非常勤講師。
1972年静岡県生まれ。立命館大学国際関係学部卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。専門は国際政治学、日本政治外交史。
主要業績:「OECD 加盟の外交過程」(『国際政治』第140号、2005年3月)、「池田外交の構図」(『国際政治』第151号、2008年3月)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 池田政権と高度成長期の日本外交
 第一節 池田外交とは何であったか
 (一)戦後政治外交史研究における池田政権期の重要性 /
 (二)池田外交研究の構図
 第二節 政治と経済、内政と外交の連関――本書の視角
 (一)対「自由陣営」外交という視点 / (二)内政と外交、政治と
    経済の構造的連関
 第三節 構成と各章の課題

第一章 安保闘争とその余波――池田政権成立前夜
 第一節 岸信介政権と安保闘争への序曲
 (一)岸信介と安保改定 / (二)警職法改正と反対運動 /
 (三)「警職法」から「安保」へ
 第二節 アイゼンハワー訪日中止と国際的信用の失墜
 (一)ハガティ事件 / (二)六・一五事件とアイク訪日中止 /
 (三)アイク訪日中止の余波
 第三節 国内冷戦と国際冷戦の交錯する場としての安保闘争
 (一)安保闘争と中国・ソ連 / (二)米国の見た安保闘争 /
 (三)国内冷戦と国際冷戦の交錯

第二章 池田政権の外交課題――「自由陣営の一員」の確立
 第一節 池田政権の成立
 (一)池田自民党総裁の誕生 / (二)池田政権の発足と「チェン
    ジ・オブ・ペース」
 第二節 所得倍増計画と内政・外交
 (一)国民所得倍増計画 / (二)所得倍増計画と外交
 第三節 池田政権の外交課題としての「自由陣営の一員」の確立
 (一)米国および欧州諸国との経済関係 /
 (二)自由陣営からの信用の回復 /
 (三)池田政権の外交課題としての「自由陣営の一員」の確立

第三章 対米関係の修復から緊密化へ
    ――日米貿易経済合同委員会の設置を中心に
 第一節 日米関係の再調整――ケネディ=ライシャワー路線
 (一)対日政策の再検討 / (二)小坂外相の訪米/
 (三)知日派大使ライシャワー
 第二節 池田訪米と日米貿易経済合同委員会の設置
 (一)米国からの提案――日本を自由陣営につなぎとめるために /
 (二)日本の対応――対米関係の緊密化=国際的地位の向上 /
 (三)池田首相の米国訪問と合同委員会設置の決定 /
 (四)日米安保条約第二条との関係――同盟関係の脱軍事的強化
 第三節 第一回日米貿易経済合同委員会の開催と対米関係の「適度な緊
     密化」の模索
 (一)「ドル防衛政策」対「所得倍増計画」の構図 /
 (二)第一回合同委員会の準備過程――「懸案処理」と「楽しい会
    合」の両立 /
 (三)第一回合同委員会の開催 /
 (四)日米関係の「適度な緊密化」と日米「イコール・パートナー
    シップ」の実像

第四章 欧州への接近――「経済関係の正常化」を求めて
 第一節 池田政権と欧州
 第二節 小坂外相の訪欧――「経済関係の正常化」と「自由陣営の一
     員」
 (一)「経済関係の正常化」をめざして /
 (二)中国国連代表権問題 /
 (三)「経済関係の正常化」と「自由陣営の一員」
 第三節 池田首相の訪欧――日米欧「三つの柱」論再考
 (一)大平外相の「地ならし」訪欧 / (二)池田首相の欧州訪問 /
 (三)日米欧「三本の柱」論再考

第五章 「先進国クラブ」への道程――OECD加盟の外交過程
 第一節 「自由陣営」の国際機構としてのOECD
 (一)OECDの発足 / (二)取り残される日本
 第二節 池田政権の「悲願」としてのOECD加盟――加盟の動機
 (一)「先進国のサロン」へ――池田首相の大国願望 /
 (二)自由陣営との結びつきの多角化と強化 /
 (三)欧州市場への接近 /
 (四)経済政策協調への参加――取り残される不安 /
 (五)経済的かつ政治的利益の同時追求
 第三節 加盟工作の展開
 (一)基本的な前提 / (二)部分的参加への努力 /
 (三)首脳外交
 第四節 開かれたOECDの扉
 (一)池田首相訪欧と各国の支持 / (二)加速する加盟への動き /
 (三)日本招請へ
 第五節 OECD加盟の意味

終章 池田外交の構図――経済成長、国内安定、国際的地位の向上

 主要参考文献
 あとがき
 索 引


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