大学出版部協会

 

 ―17世紀から20世紀前半を中心に中国の市場秩序

慶應義塾大学東アジア研究所叢書
中国の市場秩序 ―17世紀から20世紀前半を中心に

A5判 284ページ 上製
定価:4,600円+税
ISBN978-4-7664-1974-0 C3033
奥付の初版発行年月:2013年02月 / 発売日:2013年02月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

▼経済学における市場概念の構築に示唆を与える。

▼19世紀中葉から20世紀初頭の中国における経済秩序の特徴を、市場とそれを支える制度の視点から考察。

▼自由かつ競争的でありながら、濃密で私的な人間関係と深くからみあっていた伝統的中国の市場秩序の個性をひもとく。

▼日本・台湾・香港の8名の研究者が抵当法、アヘン市場、製造業や金融ネットワークなど多角的な視点から分析し、経済学における理論的展開に貢献する。

著者プロフィール

古田 和子(フルタ カズコ)

慶應義塾大学経済学部教授
1977年東京大学教養学部卒業、1979年同大学大学院修士課程社会学研究科国際関係論専門課程修了、1984年同研究科博士課程単位取得退学、1988年プリンストン大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。1984年東京大学教養学部助手、1987年プリンストン大学客員研究員、1989年東洋英和女学院大学助教授、教授を経て、1997年より現職。2004年東京大学大学院人文社会研究科客員教授、2006年ハーバード・イエンチン研究所 Associate Scholar。専門はアジア経済史。
業績:『上海ネットワークと近代東アジア』(東京大学出版会、2000年)、「中国における市場・仲介・情報」三浦徹他編『比較史のアジア――所有・契約・市場・公正』(東京大学出版会、2004年)、 Japan,China, and the Growth of the Asian International Economy, 1850-1949(共著, Oxford University Press,2005)、「20世紀初頭における大阪雑貨品輸出と韓国」濱下武志・崔章集編 『日韓共同研究叢書20 東アジアの中の日韓交流』(慶應義塾大学出版会、2007年)、「情報・信頼・市場の質」『社会経済史学』76巻3号(2010年11月)(牛島利明と共著)、「市場秩序と広域の経済秩序」久保亨編『中国経済史入門』(東京大学出版会、2012年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

【執筆者】(執筆順)
古田和子(Kazuko Furuta)〔編著/まえがき、序論、第4章執筆/第5章訳〕
慶應義塾大学経済学部教授

青木敦(Atsushi Aoki)〔第1章〕
青山学院大学文学部教授
1988年東京大学文学部卒業、1991年同大学大学院人文社会研究科修士課程修了、1994年同博士課程中退、2008年文学博士(東京大学)。1994年東京大学東洋文化研究所助手、1996年岡山大学講師、助教授、2001年大阪大学助教授、准教授を経て2010年より現職。専門は宋代社会経済史。
業績:「ポスト・ワルラスからのアプローチ――要素賦存・労働力配分・時代区分論」宋代史研究会編 『宋代史研究会研究報告第5集――宋代の規範と習俗』(汲古書院、1995年)、「開発・地価・民事的法規――『清明集』に見える若干の土地典賣関係法をめぐって」『待兼山論叢』(史学編)40号(2006年)、「中国経済史研究に見る土地希少化論の伝統」大島真理夫編 『土地希少化と勤勉革命の比較史』(共著、ミネルヴァ書房、2009年)、「南宋判語所引法の世界」『東洋史研究』70卷3号(2011年)ほか。

岸本美緒(Mio Kishimoto)〔第2章〕
お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授
1975年東京大学文学部卒業、1977年同大学大学院人文科学研究科修士課程修了、1979年同大学大学院博士課程中退。1979年東京大学東洋文化研究所助手、1981年お茶の水女子大学専任講師、1985年同大学助教授、1989年東京大学文学部助教授、1995年同大学教授を経て2007年より現職。専門は明清社会経済史。
業績:『清代中国の物価と経済変動』(研文出版、1997年)、『東アジアの「近世」』(山川出版社、1998年)、『明清交替と江南社会』(東京大学出版会、1999年)、『風俗と時代観 明清史論集1』(研文出版、2012年)、『地域社会論再考 明清史論集2』(研文出版、2012年)ほか。

林満紅(Man-houng Lin)〔第3章〕
中央研究院近代史研究所研究員(台湾)、国立台湾師範大学歴史学部教授
1972年台湾大学歴史学部卒業、1976年同大学大学院歴史学研究科修士課程卒業、1985年
国立台湾師範大学大学院博士課程卒業、1989年ハーバード大学歴史東亜語文研究所博士課程卒業。1979年中央研究院近代史研究所助理研究員、1985年中央研究院近代史研究所副研究員、1990年中央研究院近代史研究所研究員、2000年早稲田大学アジア太平洋研究科客員教授、2003年京都大学人文科学研究所客員教授、2008年国史館館長、2010年より現職。専門は台湾近代史、中国近代史。
業績: “Late Qing Perceptions of Native Opium,” Harvard Journal of Asiatic Studies, 64(1),117-144(2004)、 China Upside Down : Currency, Society, and Ideologies,1808-1856, Harvard University Asia Center(2006)、「清末における国産アヘンによる輸入アヘンの代替(1805-1906)――近代中国における「輸入代替」の一事例研究」中村哲編『近代東アジア経済の構造』(日本評論社、2007年)ほか。

陳計堯(Kai Yin Chan)〔第5章〕
国立成功大学歴史学系副教授
1990年香港大学歴史系卒業、1992年香港中文大学歴史研究所碩士卒業、1998年オックスフォード大学大学院修了。歴史学博士。1998年シンガポール国立大学助理教授、2000年東海大学歴史学系助理教授、2005年同副教授を経て、2011年より現職。専門は近代中国の経済史、商業史、台湾の商業史、台湾原住民の経済社会史。
業績:Business Expansion and Structural Change in Pre-war China: Liu Hongsheng and His Enterprises,1920-1937 (Hong Kong University Press, 2006), “Business Finance in the Grain Trade of the Lower Yangzi Region, 1870-1936,” Social System Studies, no.25,(2012)、“Making Sense of the ‘Business Group’ in Modern China: The Rong Brothers’ Businesses,1901-1937,” Australian Economic History Review, vol.51,no.3,(2011), “The Rice and Wheat Flour Market Economies in the Lower Yangzi,1900-1936,” in Billy K. L. So and Ramon H. Myers, Treaty Port Economy in Modern China : Empirical Studies of Institutional Change and Economic Performance (Institute of East Asian Studies,University of California, Berkeley, 2011)ほか。


李培徳(Puitak Lee)〔第6章〕
香港大学アジア研究センター専職研究員
1991年東京大学大学院人文社会研究科修士課程修了、1994年同大学大学院博士課程単位取得退学。1995年文学博士。1995年より現職。専門は中国近代経済史。
業績:「統一戦線と反統一戦線――1940年代末から50年代初めの香港における上海銀行家」
日本上海研究会編『建国前後の上海』(研文出版、2009年)、「華商跨国網絡的形成、延伸和衝突――以胡文虎与陳嘉庚競争為個案」『華人研究国際学報』第4卷第1期(新加坡、2012年6月)、「月份牌広告画与近代中国的煙草業競爭(1920s-30s)」『新史學』(台北)(第23卷第3期、2012年9月)、“Savings Banks in the Asia-Pacific Region: A History of Development,” and “Development and Diffusion of Savings and Savings Banks in China : A Historical Perspective,”Chris De Noose ed.,200 Years Savings Banks: A Strong and Lasting Business Model for Responsible,Regional Retail Banking (Brussels:World Savings Banks Institute & European Savings Banks Group, 2011),“Avoiding Isolation by the Revolution: A Hong Kong Banker’s Dealings with Shanghai and Taipei,1948-1956,”Sherman Cochran ed.,Chinese Capitalists and the Communist Revolution of 1949 (Berkeley: University of California Press, forthcoming)ほか。

本野英一(Eiichi Motono)〔第7章〕
早稲田大学政治経済学術院教授
1979年東京大学文学部卒業、1983年同大学大学院人文科学研究科修士課程修了(在学中に香港大学語言研修所留学)、1989年同大学大学院人文科学研究科博士課程修了。1995年オックスフォード大学東洋学部大学院修了。(D.Phil)。1989年東京水産大学教養科専任講師、1995年同大学資源管理学科助教授、1999年早稲田大学政治経済学部助教授を経て2003年より現職。専門は中国近代史、アジア経済史。
業績:Conflict and Cooperation in Sino-British Business,1860-1911:The Impact of the Pro- British Commercial Network in Shanghai (Basingstoke, Macmillan/St. Antony’s Series,2000)、『伝統中国商業秩序の崩壊』――不平等条約体制と「英語を話す中国人」』(名古屋大学出版会、2004年)、ロバート・ビッカーズ『上海租界興亡史』(訳、昭和堂、2009年)ピーター・A・ロージ『アジアの軍事革命』(訳、昭和堂、2012年)、「在華外国人側より見た『大閙会審公廨案(1905)』に関する一考察」斯波義信編『モリソンパンフレットの世界』東洋文庫論叢第75、(2012年3月)ほか。

陳慈玉(Tsu-yu Chen)〔第8章〕
中央研究院近代史研究所研究員(台湾)
1971年国立台湾大学文学院歴史系卒業、1980年東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了(文学博士)。1980年8月淡江大学文学院歴史系副教授、1981年8月中央研究院経済研究所副研究員、1987年研究員、1988年より現職。専門は近代東亜経済史。
業績:『近代中國茶業的發展與世界市場』(臺北:中央研究院經濟研究所、1982年)、『近代中國的機械繅絲工業』(臺北:中央研究院近代史研究所、1989年)、『日本在華煤業投資四十年』(臺北:稻鄕出版社、2004年)、『臺灣礦業史上的第一家族――基隆顏家研究』(基隆:基隆市立文化中心、1999年)ほか。

【訳者】
木越義則(Yoshinori Kigoshi)〔第3章〕
大阪産業大学経済学部非常勤講師
1999年京都大学経済学部卒業、2001年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2008年同大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。京都大学博士(経済学)。2009年京都大学大学院経済学研究科研究員を経て、2012年より現職。専門は中国経済史。
業績:「満鉄撫順炭鉱の労務管理制度と小把頭――1901~1940年」『日本史研究』560号(2009年)、「戦前期中国の全国市場圏の形成と日本帝国」『社会経済史学』第76巻第3号(2010年)、『近代中国と広域市場圏――海関統計からのマクロ的アプローチ』(京都大学学術出版会、2012年)ほか。

瀬戸林政孝(Masataka Setobayashi)〔第5章〕
福岡大学経済学部准教授
2001年慶應義塾大学経済学部卒業、2003年同大学大学院経済学研究科修士課程修了、2008年同博士課程単位取得退学。経済学博士。2004年慶應義塾大学経済学部研究助手、2008年慶應義塾先導研究センター研究員(慶應義塾大学GCOEプログラム特別研究員(PD))、2010年福岡大学経済学部専任講師を経て、2012年より現職。専門はアジア経済史。
業績:「清末民初揚子江中上流域における棉花流通」『社会経済史学』第71巻第6号(2006年3月)、「20世紀初頭華北産棉地帯の再形成」『社会経済史学』第74巻第3号(2008年9月)、「揚子江中流域の中国棉花取引における不正の発生と解消のメカニズム――20世紀初頭の水気含有問題」『社会経済史学』第76巻第3号(2010年11月)、「20世紀初頭、上海電力市場の形成と取引慣行の確立過程」『社会経済史学』第77巻第3号(2011年11月)、「在来綿業史」久保亨編『中国経済史入門』(東京大学出版会、2012年)ほか。

今井就稔(Narumi Imai)〔第6章・第8章〕
日本学術振興会特別研究員(PD)
2001年一橋大学社会学部卒業。2003年同大学大学院社会学研究科修士課程修了、2010年同大学大学院博士課程修了。博士(社会学)。2011年より現職。専門は近現代中国経済史、日中関係史。
業績:「日中戦争後期の上海における中国資本家の対日『合作』事業――棉花の買付けを事例として」『史学雑誌』第115編6号、(2006年)、「抗戦初期重慶国民政府の経済政策と上海租界――禁運資敵物品運滬審核辦法の成立過程」『東洋学報』第90巻第3号(2008年)、「日中戦争期上海のマッチ製造業と日本」『中国研究月報』第64巻第6号(2010年)、「1930年代中国のマッチ製造業と日本――生産・販売カルテルをめぐって」『社会経済史学』第78巻第2号(2012年)、「戦時期日本占領地域の経済史」久保亨編『中国経済史入門』(東京大学出版会、2012年)ほか。

若松大祐(Daisuke Wakamatsu)〔第8章〕
日本学術振興会特別研究員(PD)、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科研修員
2000年同志社大学文学部卒業、2004年(台湾)国立政治大学大学院文学研究科修士課程修了、2010年東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。2011年より現職。専門は現代台湾研究、中国近現代史。
業績:「官製の修史と個人の自叙――1950年代後半台湾における蔣介石と張学良」『近代中国研究彙報』27号、東洋文庫(2005年)、「美国研究在亜太地区――戦後日本的国際学術交流」『思与言――人文与社会科学雑誌』vol.45,no.2(台北:2007年6月)、「蔣経国時代所公告的歴史叙述――著重與蔣介石時代差異的分析」台湾教授協会編『中華民国流亡台湾60年曁戦後台湾国際處境』(台北:前衛、2010年)、「実事求是の態度と中華民国史の研究――現代中国の唯物史観における方法的転回」『社会システム研究』no.21、立命館大学社会システム研究所(2010年)、「戦後台湾蔣中正時代的官方歴史叙述――従民主陣営到民主憲政」曽一士(総編)『中山思想與両岸社会文化発展』(台北:国立国父紀念館、2010年)ほか。

目次

まえがき

序 論 中国の市場と市場秩序  古田和子
 1 課題と分析視角
 2 本書の構成

第1章 宋代抵当法の推移と『農田敕』――要素市場における司法と慣習
    青木敦
 1 はじめに
 2 抵当の伝統
 3 宋代における抵当慣行
 4 抵当関連法律条文
 5 『農田敕』と宋朝の姿勢の変化
 6 関連する判語
 7 おわりに
   付録 『歴代判牘彙記』
      『清明集』
 
第2章 明末清初の市場構造――モデルと実態  岸本美緒
 1 はじめに
 2 銀流入と国内経済の関係をめぐる問い
 3 仮説的モデルの提示
 4 「康熙不況」再考
 5 おわりに

第3章 中国産アヘンの販売市場――1870年代~1906年  林満紅
    (木越義則訳)
 1 はじめに
 2 アヘンの全国需給
 3 川滇黔産地の販売市場
 4 アヘン産地別の販売市場
 5 販売ネットワークの特徴
 6 おわりに

第4章 近代中国における市場秩序と情報の非対称性
    ――19世紀末~20世紀初頭  古田和子
 1 はじめに――課題と分析視角
 2 情報・情報財とその特性
 3 情報が流れる関係・仕組みとしての制度
 4 ノーダル・システムと市場の情報
 5 おわりに

第5章 中国市場秩序における仲介の役割の再検討
    ――1800~1936年の上海製造業を事例として  陳計堯
      (瀬戸林政孝・古田和子訳)
 1 はじめに
 2 19世紀上海の市場仲介者
 3 米――主要なアクターとしての市場仲介者
 4 小麦粉――垂直統合対市場仲介者
 5 マッチ――小麦粉取引との違い
 6 セメント――企業の指令下での原料調達と販売
 7 おわりに

第6章 ネットワークと制度の間で
    ――1920年代~1930年代の上海商業儲蓄銀行の支店網拡大
      李培徳(今井就稔訳)
 1 はじめに
 2 上海商業儲蓄銀行の支店網
 3 ネットワークとその挫折
 4 おわりに

第7章 清末民初期の市場システム  1870~1919年
    ――在華外国商人の役割を中心とした一考察  本野英一
 1 はじめに
 2 盾としての在華外国人
 3 「経済侵略」の経路
 4 おわりに

第8章 統制経済と市場秩序
    ――戦時無錫地域の製糸業 1938~1943年  陳慈玉
     (若松大祐・今井就稔訳)
 1 はじめに
 2 無錫製糸業のあらまし
 3 日中戦争前における無錫の製糸業
 4 統制下の製糸工業――華中蚕糸股份有限公司
 5 統制外の製糸工業――家庭小製糸工場
 おわりに

 索引
 執筆者・訳者紹介


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