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 党と新興の社会経済エリート中国共産党の支配と権力

中国共産党の支配と権力 党と新興の社会経済エリート

A5判 430ページ 上製
定価:6,800円+税
ISBN978-4-7664-1951-1 C3031
奥付の初版発行年月:2012年07月 / 発売日:2012年07月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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在庫あり

内容紹介

グローバル化と経済成長による巨大な社会変動の只中にあって、中国共産党はどのようにして一党独裁を維持しているのか? 2000年代に入り新興エリート層を取り込みつつある共産党の実態と現代中国政治の展望についての、最新かつ画期的な実証研究。
▼2001年、江沢民中国共産党総書記が公式化した「最も広範な人民の根本的利益」の「人民」という言葉が意図したのは、「私企業家・専門職(弁護士、医者)、外資系社員」など「新社会階層」を取り込むことにあった。それ以降現在まで、党員リクルートも活発化し、さらに、企業へと「天下った」元党幹部らに党籍維持を保証するなど、既得権益体制の維持を図ろうとする動きが加速している。
▼多数の資料と緻密な実証分析に基づき、共産党による支配の実態を解明するとともに、民主化を含む今後の中国政治
の方向性を探る、アクチュアルな問題に切り込んだ意欲的な研究書。

著者プロフィール

鈴木 隆(スズキ タカシ)

愛知県立大学外国語学部中国学科専任講師。1973年生まれ。
慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程満期退学、博士(法学)。
財団法人日本国際問題研究所研究員などを経て、2011年より現職。
主要業績:『党国体制の現在―変容する社会と中国共産党の適応』(共著、慶應義塾大学出版会、2012年)、ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

図表一覧
序章 政党研究の対象としての中国共産党の「復権」
 第1節 中国の「党=国家体制」と新興の社会経済エリート
  (1) 本書の主題
  (2) 新興エリート層の台頭と中国共産党の「生き残り戦略」
 第2節 中国の体制変動と中産階級(中間層)に関する研究
  (1) 資本主義的近代化と民主化をめぐる楽観的認識
  (2) 中産階級の政治的志向と民主化をめぐる悲観的認識
 第3節 支配の制度化と政治的適応をめぐる諸問題
  (1) 先行研究の批判的再検討とその論点
  (2) 分析の視角、方法、資料
 第4節 本書の構成と各章の概要


第1章 新社会階層の政治的志向をめぐる共産党の認識と対応の指針
 第1節 社会・経済領域における新社会階層の台頭
 第2節 新社会階層に関する共産党の状況認識
  (1) 共産党による政治的人間像の素描
  (2) 新社会階層への政治活動の要点


第2章 新社会階層に対する組織路線と「両新組織」の党建設
 第1節 7・1講話以降における組織工作の重点
 第2節 両新組織に対する党建設の全国概況
 第3節 党組織と党員数の量的不足
  (1) 上海市の事例
  (2) 広東省の事例
 第4節 資本の論理に由来する党建設の質的困難
  (1) 両新組織における党組織の活動実態
  (2) 党組織をめぐる主要なアクターたち
 第5節 資本の論理に基づく両新組織の党建設と問題点
  (1) 組織と資金の支援態勢の整備
  (2) 両新組織と経営責任者に対する選択的アプローチ


第3章 「3つの代表」論に基づく新社会階層の党員リクルート
 第1節 実験活動を通じた政策範型の形成
  (1) 実験活動の概要
  (2) 実験活動の総括と政策規程にみる特徴
 第2節 2004年以降の新社会階層と両新組織における入党工作
  (1) 新社会階層に対する党員リクルート
  (2) 両新組織の就業者に対する党員リクルート
  (3) 新社会階層への入党工作の暫定的評価


第4章 統一戦線をめぐる共産党の認識と理論的進展
 第1節 「多党協力」の政党制と統一戦線政策の要点
 第2節 「協議民主」論の政治的可能性とその限界
  (1) deliberative democracyへの知的・政治的関心の高まり
  (2) 「協議民主」の論理構成
  (3) 独裁と民主をめぐる「協議民主」の政治的可能性


第5章 新社会階層に対する統一戦線活動
 第1節 新社会階層の統戦活動をめぐる「党の指導」の強化
  (1) 統一戦線工作部長の党内序列の上昇
  (2) 統戦部門の組織態勢の強化
 第2節 新社会階層への統戦活動の諸相
  (1) 動向把握のための調査研究
  (2) 政治学習とイデオロギー教育
  (3) 主要な職能分野における政治的協力者の育成
  (4) 政治的協力者を中心とする社会団体の組織化、および統戦部
      との連絡機構の設置
  (5) 新たな種類の統一戦線団体の結成――重慶市の事例
  (6) 統一戦線的アプローチの問題点
 第3節 新社会階層の人代・政協・政府の各機関への登用
  (1) 政治任用の拡大と規範化
  (2) 人代代表と政協委員への政治任用
  (3) 政府・行政部門への政治任用
  (4) 新社会階層を中心とする非共産党員の政治任用の問題点
 第4節 組織統制と人的管理の強化
  (1) 懐柔と統制――弁護士と会計士の事例
  (2) 組織部の政治統制
  (3) 統一戦線工作部の政治統制――人材データベースによる人的
      管理の強化
 第5節 新社会階層に対する共産党の政治戦略の効用
  (1) 「協議民主」を通じた政策過程における技術的合理性の向上
  (2) 地方党政幹部をとりまく「党=国家体制」の内外環境


終章 中国の「党=国家体制」の政治的可能性
  (1) 新興の社会経済エリートに対する支配の構造
  (2) 党=国家体制の統治能力と支配の正統性
  (3) 政治的力関係の現状
  (4) 共産党の主導する政治改革の方向性と選択の幅
  (5) 政治改革のダイナミズムをめぐる留意点――さらなる考察に
      向けて


巻末・付表
あとがき
索 引


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