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詐害行為の基礎理論

詐害行為の基礎理論

A5判 700ページ 上製
定価:8,400円+税
ISBN978-4-7664-1843-9 C3032
奥付の初版発行年月:2011年05月 / 発売日:2011年05月下旬

内容紹介

新たな合意社会における詐害行為取消権はどうあるべきか。現在検討されている債権法改正へ向けて提言する大冊。
詐害的な行為に対する法規制のあり方を動態的に分析する視角から、わが国の母法であるフランス法における法発展と比較検討しながら、これら実践的課題と理論的課題を解明する。債権法改正へ向けて詐害行為論の在り方を問う気鋭の研究書

著者プロフィール

片山直也(カタヤマナオヤ)

慶應義塾大学大学院法務研究科教授。
1961年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、同大学院法学研究科民事法学専攻博士課程単位取得退学。慶應義塾大学法学部専任講師、同助教授、同教授を経て現職。トゥールーズ第1大学(フランス)招聘研究員(1999-2001年)、公認会計士試験委員 (2006-2009年)。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 論 フロード(fraude)法理の動態的把握
一 問題意識  3
二 フランスにおける「フロード(fraude)」法理の概要
 (一) フロード法理の歴史的展開
 (二) 「フロード(fraude)」概念——主観説と客観説の対立
 (三) 「フロード(fraude)」の類型——「法律に対するフロード」と「第三者に対するフロード」
 (四) 「フロード(fraude)」のサンクション
 (五) 「フロード(fraude)」法理の位置づけ
  (1) 一般法理としての「フロード(fraude)」法理
  (2) 個別のフロード規定との関係
 (六) 「フロード(fraude)」法理の動態的把握
三 本書の構成


第一編 詐害行為に対する法規制(第一部)——詐害的賃貸借——

第一章 フランスにおける詐害的賃貸借排除の法理
一 序
二 フランス法における抵当権と賃貸借との関係
 (一) 抵当権設定者の権能
 (二) 賃貸借の対抵当権者効
 (三) 詐害的賃貸借
三 フランスにおける詐害的賃貸借排除の法理
 (一) 一九世紀における萌芽
 (二) 二〇世紀における展開
四 結語——日本法への示唆

第二章 フランス法の買戻制度における賃貸借の保護と排除
一 序論
 (一) はじめに
 (二) (旧)民法三九五条但書をめぐる問題点の整理
  (1) 但書の立法趣旨(本文と但書との関係)
  (2) 解除の要件としての「損害」概念
 (三) 民法五八一条二項に関する従前の学説の理解
  (1) 五八一条二項本文の趣旨
  (2) 五八一条二項但書の要件
二 フランス法の概要
 (一) 序——日仏伊民法典の関連諸規定
  (1) フランス民法典
  (2) イタリア民法典
  (3) 日本民法典
 (二) 前史——フランス古法
 (三) 一九世紀フランスにおける解釈論の状況
  (1) 一六七三条二項末段(賃貸借維持)の根拠
  (2) フロード(fraude)の要件・効果
 (四) 二〇世紀フランスにおける議論の展開
  (1) はじめに
  (2) 判例法理の展開
  (3) 一六七三条但書末段の要件
三 結びに代えて

第三章 ボワソナード旧民法の買戻制度における賃貸借の保護と排除
一 はじめに
二 ボワソナードの基本構想
 (一) 管理行為としての賃貸借
 (二) 解除における管理行為の維持
 (三) 買戻における賃貸借の維持
三 旧民法制定過程におけるその後の議論の展開
 (一) 管理行為としての賃貸借の期間の縮減
 (二) 買戻における賃貸借維持規定をめぐる議論の展開
  (1) 法律取調委員会・調査案審議
  (2) 法律取調委員会・再調査案審議
  (3) ボワソナード草案注釈[新版]
四 結びに代えて

第四章 現行民法の買戻制度における賃貸借の保護と排除
一 はじめに
二 現行民法の立法経緯
 (一) 賃貸借の保護——管理行為論の後退
  (1) 立法過程における管理行為概念
  (2) 五八一条二項の立法経緯
 (二) 賃貸借の排除——但書の創設
  (1) 五八一条二項但書の場合
  (2) (旧)三九五条但書の場合
三 民法(旧)三九五条と五八一条二項との比較考察
 (一) 賃貸借の保護
 (二) 賃貸借の排除
 (三) 本文と但書の関係
四 結びに代えて——議論の展開
 (一) 民法五八一条二項類推適用論の可能性
 (二) 民法四二四条転用論の有用性

第二編 詐害行為に対する法規制(第二部)——詐害的賃料処分——

第五章 フランスにおける不動産賃料の詐害的な処分に対する法規制の変遷および賃料債権の担保化の実務
一 序論
 (一) 我が国の法状況
  (1) 問題の所在
  (2) 我が国の判例法理
  (3) 立法論の展開
 (二) 比較法研究(特にフランス法研究)の意義
二 詐害的賃料処分に対する法規制の歴史的展開
 (一) 前史
  (1) 古法
  (2) 法典編纂過程における議論
 (二) 一九世紀前半の判例・学説
  (1) はじめに
  (2) 破毀院一八一三年判決
  (3) 一九世紀前半の学説
  (4) 一八五五年法制定前夜の裁判例
 (三) 立法による法規制
  (1) 一八四一年のアンケート
  (2) 一八五五年三月二二日法
  (3) 法改革に向けた新たな努力
 (四) action paulienneによる個別規制
  (1) 一九世紀
  (2) グルベのテーズ
  (3) 判例法理の確立
  (4) 学説の対応
 (五) 小括
三 フランスにおける賃料債権担保の法実務
 (一) delegationのメカニズム
  (1) 概要
  (2) 債権譲渡(cession de creance)との相違点
  (3) 指図人の被指図人に対する債権の帰趨
 (二) delegation de loyers en garantieの実務
  (1) 裁判例に現れた賃料支払指図の実務
  (2) 契約条項による賃料支払指図の適正化
四 結びに代えて


第三編 脱法行為に対する法規制

第六章 脱法的条項の効力規制について——一括支払システム契約における代物弁済条項および債権譲渡契約における 停止条件条項をめぐる近時の二つの最高裁判決を契機として——
一 はじめに
二 脱法的条項をめぐる欽司の二つの最高裁判決
 (一) 一括支払システム契約における代物弁済条項の効力に関する最高裁平成一五年一二月一九日判決
 (二) 停止条件付集合債権譲渡担保契約の否認に関する最高裁平成一六年七月一六日判決
 (三) 共通の分析視角の設定
三 脱法行為論の展開
 (一) 従前の議論
  (1) 脱法行為とは何か?
  (2) 脱法行為(論)の独自性
  (3) 脱法行為の基準
 (二) 近時の有力説
  (1) 米倉説
  (2) 大村説
 (三) 脱法行為論における行為と規範
  (1) 「行為アプローチ」と「規範アプローチ」
  (2) 脱法行為の諸類型
四 脱法行為論から分析した二つの最高裁判決
 (一) 脱法行為論から分析した最高裁平成一五年一二月一九日判決
  (1) 第一審判決、原審判決および最高裁判決の対比
  (2) 学説
  (3) 平成一五年判決の位置づけ
 (二) 脱法行為論から分析した最高裁平成一六年七月一六日判決
  (1) 従前の裁判例・学説
  (2) 平成一六年判決の分析
五 結びに代えて——フランスにおけるフロード(fraude)法理からの示唆


第四編 詐害行為取消しの効果——「対抗不能」と「対抗」——

第七章 詐害行為取消制度の基本構造——フランス法からの示唆——
一 はじめに
二 一九世紀フランスにおける議論の展開
 (一) 第一期(一九世紀前半)
 (二) 第二期(一九世紀後半)
三 二〇世紀フランスにおける議論の展開
 (一) 第三期(二〇世紀前半)の一般的傾向
 (二) 「対抗不能」「対抗」法理の生成と展開
 (三) 第四期(二〇世紀後半)
四 結びに代えて——日本法への示唆
 (一) 解釈論の原点——立法期におけるフランス学説の継受
 (二) 解釈論の方向性——「対抗不能」構成の可能性と有用性


第八章 フランスにおける詐害行為取消権の法的性質論の展開——二〇世紀前半における「対抗不能」概念の生成を中心に——
一 序
二 一九世紀における萌芽——無効訴権からの脱却の試み
三 「対抗不能」概念の生成
 (一) はじめに
 (二) 「無効」概念の変容
  (1) 古典的学説
  (2) 新理論の基本構想
  (3) 「対抗不能」
  (4) action paulienneの位置付け
  (5) 一応の到達点
 (三) 「対抗不能」の一般理論
  (1) 「無効」概念からの独立
  (2) 「第三者」
  (3) 「効果不発生」
  (4) 「フロード(詐害)に関する対抗不能」
 (四) 小括
四 総括——日本法への若干の示唆

第九章 一般債権者の地位と詐害行為取消制度——一九世紀フランスにおける議論を中心に—— 
一 序——問題提起
二 フランス民法典における「合意の第三者効」規定
三 一九世紀フランスの理解
 (一) 一一六五条の基礎と機能
 (二) 一一六五条の「第三者」
 (三) 一般債権者の地位とaction paulienne
  (1) 原則——「包括承継人」
  (2) 例外——「第三者」資格の表明
四 結びに代えて

第一〇章 一般債権者の地位と「対抗」——詐害行為取消制度の基礎理論として——
一 序——問題点の整理
 (一) はじめに——本章の目的
 (二) フランス民法典の関連諸規定
  (1) 「合意の第三者効」に関する諸規定
  (2) 「一般担保権」に関する諸規定
 (三) 一九世紀フランスの理解の概要
  (1) 一一六五条(「合意の相対性」の原則)の理解
  (2) 一般債権者の地位
二 二〇世紀フランスにおける議論の展開
 (一) 「対抗」法理の生成——合意の効果論の新たな体系化
  (1) 「間接的効果」の認識とその根拠
  (2) 合意の効果論の体系化の試み
 (二) 一般債権者の地位
  (1) 初期の論争
  (2) 「対抗」法理との関係
三 結びに代えて——今後の課題


第五編 新たな合意社会における詐害行為取消権——債権法改正への提言——

第一一章 「責任財産の保全」から「合意の第三者効」へ
一 はじめに——「第二章・責任財産の保全」でよいのか?
二 判例に学ぶ——債権者代位権をめぐる判例法理と『基本方針』との架橋
三 「責任財産」とは何か?——「平等主義」か「優先主義」か
四 結びに代えて——新たな合意社会における債権者取消権・詐害行為取消権の役割

第一二章 新たな合意社会における債権者代位権・詐害行為取消権——担保価値維持義務論を契機として——
一 問題提起
二 担保価値維持義務をめぐる近時の判例法理の展開
 (一) 最高裁平成一一年一一月二四日大法廷判決
  (1) 判決の概要
  (2) 本判決の位置づけ
 (二) 最高裁平成一八年一二月二一日判決
  (1) 判決の概要
  (2) 本判決の位置づけ
 (三) 最高裁判決を契機とした担保価値維持義務論の展開
   (1) 担保価値維持義務の意義と射程
   (2) 担保価値維持義務違反の判断基準
   (3) 担保価値維持義務違反の効果
三 担保価値維持義務論と債権者代位権・詐害行為取消権との接点
 (一) 担保価値維持請求権の保全と債権者代位権
 (二) 担保価値維持義務違反と詐害行為取消権
四 「合意の第三者効」規定の諸相
 (一) フランス民法典における「第三者に対する合意の効力」規定
 (二) 日本民法起草過程における規定の変遷
 (三) 新たな合意社会における「合意の第三者効」規定の再定位
五 結語


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