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 縁起 巡礼、その空間と物語転形期の歴史叙述

転形期の歴史叙述 縁起 巡礼、その空間と物語

A5判 768ページ 上製
定価:14,000円+税
ISBN978-4-7664-1790-6 C3093
奥付の初版発行年月:2010年10月 / 発売日:2010年10月下旬

内容紹介

中世日本の「現在」を捉える、文学研究の精華。
▼中世日本において、過去を叙述するとはどのような意味を持っていたのか。縁起、巡礼記、血脈、僧伝といった場/事物/人の歴史叙述に関わる資料群を詳細に検討、南都諸寺院の「歴史学」の全貌に迫り、多様な言説が交錯する空間の理路を解き明かす。気鋭の大著。
▼「資料編」として貴重な資料の翻刻を付す。

著者プロフィール

大橋直義 (オオハシ ナオヨシ)

青山学院大学文学部非常勤講師。博士(文学。慶應義塾大学)
1973年生。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第一章 系図の言説
一 系図の世紀 
二 延慶本付載「平氏系図」 
三 「平氏系図」の嫡流観 
四 「平氏系図」の語る十三世紀 
五 血脈学
六 系図と血脈—血脈学のための分類基準
七 系図と血脈の言説構造—〈拡散〉〈集約〉〈対置〉
八 系図と歴史/物語
小括 「中興」の位相
[補説 中世寺院の歴史学]

第二章 金仙寺観音講説話の系譜
一 『平家物語』の観音講説話
二 後補性の検討
三 「金仙寺」であること
四 観音講説話の利用
五 観音講説話の淵源に関する推論
小括 「ムカシ」の汎用性

第三章 『平家物語』の内と外—「異説」をめぐる考察
一 『平家物語』の「異説」
二 悪七兵衛景清の後日談
三 平家残党説話
四 景清伝承と寺社
五 八島語り
六 「嗣信最期」後日談
七 屋島寺の勧進唱導
八 屋島寺と志度寺
九 「異説」のトポス
小括 〈平家物語〉論

第四章 文覚発心説話考—〈源平〉、そして「昔」と「今」
一 文覚発心説話の構成
二 〈源平〉史観—「上西門院」
三 『遠藤系図』の物語
四 転形期とみなされる清和朝—『伊勢物語』の時代
五 『伊勢物語』と『平家物語』
六 『伊勢物語』と『宝物集』
七 「昔」と「今」
小括 延慶本「文覚発心説話」の意味

第五章 仏舎利相承説と転形期の歴史叙述
一 鳥羽宝蔵の宝珠
二 四条家と宝珠
三 〈家〉をめぐる仏舎利相承説—九条家と大乗院
四 仏舎利相承説と鎌倉期の天皇家
小括 舎利相承説と軍記物語、二題

第六章 『南都巡礼記』の基礎的研究
一 『南都巡礼記』
二 伝本系統に関する先論
三 「春日社系統」の伝本群
四 前田家本の位置づけと「流布本系統」
五 流布本系統と縁起集など
六 神宮文庫蔵『〔南都巡礼記〕』
七 大東急記念文庫蔵本・神宮文庫蔵本の近縁性
八 神宮文庫本の位相
九 阪本龍門文庫蔵『南都山階寺諸寺諸院私記』
小括 神宮文庫本の編集意識

第七章 治承回禄と縁起説—興福寺縁起の再生
一 治承回禄
二 『平家物語』の興福寺炎上
三 仏体の継続と断絶
四 炎上言説の縁起化
五 西金堂縁起説
六 「寺家注文」と「山階流記」
七 大谷大学図書館蔵『興福寺縁起』所引「西金堂縁記」
小括 治承回禄と縁起の再生
[補説 堂衆・堂童子と縁起]

第八章 珠取説話の伝承圏—志度寺縁起の構造と南都・律
一 志度寺縁起をめぐる視角
二 広義の興福寺縁起と兼実
三 宝珠・舎利・律
四 珠取説話と律
小括 志度寺縁起〝系〟と語り手の身体

第九章 建久二年の南都巡礼と説話
一 建久度南都巡礼
二 建久二年の巡礼行程
三 智光曼荼羅とその説話
四 昔ノ跡
五 縁起を語る「声」—清海曼荼羅・當麻曼荼羅
六 イニシヘとの結縁
小括 結縁と空間的類従

第十章 歴史叙述と巡礼・巡礼記—「中興」論
一 巡礼記の三つの回路
二 巡礼記研究と隣接諸学
三 南都巡礼記史
四 『七大寺巡礼私記』と歌書—六条藤家歌学
五 巡礼記享受の諸相
六 「中興」論
小括 転形期と歴史叙述

後記

[資料篇]
1 神宮文庫蔵『〔南都巡礼記〕』(『類聚神祇本源』紙背)解題・翻刻
2 阪本龍門文庫蔵『南都山階寺諸寺諸院私記』解題・翻刻
3 天理図書館蔵『大和寺集記』解題・翻刻
4 日本大学総合学術情報センタ…蔵『後鳥羽院御順礼記』解題・翻刻
5 大谷大学図書館蔵『興福寺縁起』解題・翻刻
6 小野随心院蔵血脈類、解題・翻刻

索引


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