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福澤諭吉・家庭教育のすすめ

福澤諭吉・家庭教育のすすめ

四六判 370ページ 並製
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-1759-3 C0037
奥付の初版発行年月:2010年06月 / 発売日:2010年06月中旬

内容紹介

「独立自尊」の教育を、あたたかく綴る。
▼著者は、幼稚舎で長らく教鞭を執り、幼稚舎長も務めた実践の人。簡明な語り口ながら、福澤先生の考え方を見事に消化し、深い経験に裏打ちされた言葉は含蓄に富む。子供の教育について改めて考えさせられる名著の復刊。
▼どのように育てれば子供は幸せになれるのか? 福澤先生の考えや実際の子育てに学びながら、現代の迷える保護者とともに考える、「独立自尊」の教育。教育現場に身を置く人はもちろん、小学生の子を持つ保護者、今の教育はどこかおかしいと考える人などにお勧め。
▼1986年に小学館より刊行された同名の書籍を増補して刊行。

▶新版が刊行されました。


【著者】

渡辺徳三郎(わたなべ とくさぶろう)

元慶應義塾幼稚舎教諭、舎長。

1916年生まれ。1941年、慶應義塾大学経済学部卒業。1942年慶應義塾幼稚舎教諭就任。1976〜80年幼稚舎長。1981年定年退職。1988年逝去。 主要業績に、本書のほか、『福澤諭吉教育関係文献索引』(編、慶應義塾、1955年[改訂増補版1981年])がある。



【編者】

山内慶太(やまうち けいた)

慶應義塾大学看護医療学部教授。博士(医学)。

1966年生まれ。1991年、慶應義塾大学医学部卒業。

目次

まえがき

第一章 福沢諭吉の生涯—その素描—
  大阪生まれ/中津から長崎へ/長崎から大阪へ——適塾に入る/江戸へ——福澤塾を開く/著作活動のはじまり/慶應義塾の命名——近代私学としての自覚/『学問のすゝめ』と『文明論之概略』/一八八〇年代(明治十年代)以降/人間福澤

第二章 福澤は家庭教育を重視した
  『ひゞのをしへ』/長男一太郎の思い出話/明治初年の福澤の社会的活動/「家庭」という言葉の普及に種子をまいた福澤

第三章 福澤の教育への意欲をかきたてたもの——幕末日本の対外的危機感のなかで—
  家庭教育への意欲/福澤の儒教観の一端

第四章 福澤の教育観と家庭観——その一端—
  その教育観の要点/その家庭観/家庭の人倫に関すること/家庭を営むことの価値・意義に関すること/家庭の意義の各論——具体的な家庭生活論/家庭生活運営の要点三つ/おわりにつけ加えたいこと

第五章 なぜ家庭教育が大切なのか
 1 子供の成長発達の側面から見て——家庭は習慣の学校なり——
  はじめに/「家庭習慣の教へを論ず」/習慣教育論の続編/習慣教育論の結び
2 社会的側面から見て——家庭は社会の学校なり——
 はじめに/「公務家」の家庭/専制の流行は家庭内から始まる/家庭は社会の学校である/おわりに

第六章 福澤が強調した家庭教育の要点
 1 「獣身を成して後に人身を養う」——健康こそ独立の基本——
 2 「衣服・下駄・傘の始末もす可し」——生活の実際で学ばせる——
  なぜ家事をさせることが大切なのか/学問観/福澤の少年時代の生活経験
3 子供には分かりやすく、面白く学ばせるのがよい——興味と理解を通して知力を開発——
 子供のための学習論/なぜ「分り易く面白く」か/子供に学ばせる事柄/子供のための本/「第一文字之教」と「第二文字之教」の内容/その教授法/「文字之教付録——手紙之文」/やさしい文章のすすめ/女子のための学問
 4 「父兄は子弟に独立を教え、教師は生徒に独立をすすめ……」
  子供の独立/大人の独立/「独立自尊」という言葉の誕生/独立自尊とはどういうことか
 5 「子供ながらも卑劣なことをしたり卑しいことばをまねすればこれをとがむるのみ」
   ——子供の品格を高くする——
  大人の場合の品格
 6 家庭教育は厳しいのと寛かなのとどちらがよいか
  厳か寛か——その結び/塾生をしかる

第七章 福澤は孝行をどう考えていたか
  孝行の問題/伝統的な孝行の例話/福澤の孝行批判/どういう孝をよしとするのか/「独立の孝」/印象に残る二つのこと/孝の心理にふれた福澤/現代での孝行

第八章 伝統的男尊女卑論の批判
  「婦人論」の主張のあらまし/家庭教育論の基盤である点/女性の解放は社会の福利にかかわる/日本の女性の活力を束縛しているもの/「春情」とは/再婚自由論/男女交際をすすめる論/「情交」と「肉交」の別

第九章 福澤の父と母
  父 百助/母 お順/強い母/明るいやさしい母/思いきりのよい母/お順の晩年

第十章 父親としての配慮
  「福澤諭吉子女之伝」/その内容/1「養育の法」/2 食物について/3 一日の時間割/4 衣服・住居/5 「学問の教育」その他けいこごと/お三の場合/6 家事をさせる/福澤が子供ととりきめた家事分担の約束/7 子供の行動の記録二、三/福澤の子煩悩

第十一章 福澤は教育の力をどう考えていたか
  教育の力には限界がある/1 限界のある理由/2 限界があっても教育の大切なる理由/3 教育の本質/遺伝に関心をもったのは/世の教育家と遺伝説/現代から見ると

第十二章 今日に生かす福澤の家庭教育論
  独立の節義

あとがき

付録 
 私のささやかな子育て論
 父母に語る——子供の幸せ
 卒業生のみなさんへ
 追憶

編者解説(山内慶太)


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