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リベラリズムと市民的不服従

叢書 21COE-CCC 多文化世界における市民意識の動態26
リベラリズムと市民的不服従

B7 316ページ 上製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-7664-1438-7 C3331
奥付の初版発行年月:2008年01月 / 発売日:2008年01月上旬

内容紹介

新進気鋭による市民的不服従論。
▼自由な市民がなぜ国家の法に従わなければならないか(=政治的責務)を理論的に正当化する試みと、なぜ特定の条件下で法を破ることが正当化されるのかという政治哲学・法哲学上の壮大なテーマ(=市民的不服従)を、ロールズを参照しつつ理論的に一貫した体系をもって繋ごうとした挑戦的研究。


鈴木正彦(すずき まさひこ)
1976年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学、慶應義塾大学、2007年)。
主要論文に、「正義と狂信——R・M・ヘアーの政治哲学」『法学政治学論究』第58号(2003年)、“Political Obligation and the Problem of Consent Theory”, Journal of Political Science and Sociology, No. 2, 2004、「ハンナ・アーレントにおける約束、良心、そして政治的なものの概念」『情況』(2005年7月号)、「良心的兵役拒否論に見るリベラルデモクラシーの規範的前提」『政治思想研究』第7号(2007年)など。訳書に、イシュトヴァン・メサローシュ『社会主義か野蛮か』(共訳、こぶし書房、2004年)、マイケル・ウォルツアー『戦争を論じる』(共訳、風行社、近刊)など。

目次

 巻頭言      安西祐一郎
 刊行にあたって  小林良彰

序章 なぜ支配は正当化されるのか
 I リベラリズムとアナーキズム
 II 国家の正当性と正統性
 III 正義論と政治的責務論
 IV ロールズの問題点
 V 主題および要件
 VI 成立要件
 VII 本書のテーマ

第1部 政治的責務
第1章 同意は拘束する——社会契約を中心に
 I 任意主義
 II 正統性とコミットメント
 III 不可譲の権利、パターナリズム、アナーキズム
 IV 投票と同意に関するプラムナッツの見解
 V 黙示的同意論
 VI 同意の印と同意含意

第2章 便益を受け取るとは何を意味するのか——感謝とフェア・プレイ
 I 感謝の政治的責務論
 II その問題点
 III フェア・プレイの政治的責務
 IV ロバート・ノージックの批判
 V フリーライド
 VI フェア・プレイの責務と公共財
 VII アーネソンとクロスコの批判
 VIII シモンスの再批判
 IX フェア・プレイと平等
 X 社会的正義とフェア・プレイの責務

第3章 正義を果たす義務——ロールズの自然的正義責務論
 I 自然的義務論
 II 多数決ルールとの関連
 III 功利主義との関連
 IV その問題点
 V アナーキズムの遵法義務論?

第4章 メンバーであることの重み——連帯的責務の諸相
 I リベラル・コミュニタリアン論争
 II テーマ
 III 概念的アプローチ
 IV 地位・役割責任
 V 連帯的責務
 VI ドゥオーキンの見解
 VII その問題 一
 VIII その問題 二
 IX その問題 三
 X アナーキズムと連体的責務

第5章 アナーキズムとは可能か——哲学的アナーキズムと法の権威
 I 哲学的アナーキズム
 II なぜアナーキズムか
 III リベラルデモクラシーの正統性問題
 IV 市民と国家の選別的関係

第6章 良心的兵役拒否権と平和的生存の権利——強制の正当化と自由の証
 I はじめに
 II 良心的兵役拒否の「権利」
 III アメリカ連邦最高裁の動向
 IV 平和主義的な良心的兵役拒否の正当化
 V 選択的兵役拒否の正当化
 VI リベラルデモクラシーの規範的前提

第2部 市民的不服従
第7章 品位ある作法——市民的不服従の総則論
 I 市民的不服従論の問題構成
 II 市民的不服従の構成要件論
 III 宥和と和解
 IV 抵抗権論の問題
 V 抵抗権の逆立ち
 VI 疑わしき法と市民的不服従
 VII テストケースの創出
 VIII ドゥオーキンの類型
 IX 直接的不服従と間接的不服従
 X 象徴的表現行為論
 XI 市民的不服従と象徴的表現
 XII 象徴的表現と品位ある責任

第8章 市民的不服従とは何か——構成要件論
 I 違法性要件
 II その疑問
 III 非暴力要件
 IV 市民的不服従と暴力の関係
 V 市民的不服従と心理的暴力
 VI 暴力に対する市民的不服従の責任
 VII 良心性要件
 VIII 良心の哲学的考察
 IX 良心のテスト可能性
 X 公共性要件
 XI 良心的服従忌避との関係
 XII 刑罰受容要件
 XIII なぜ刑罰受容は構成要件の一つなのか

第9章 市民的不服従の正当化——ロールズ、ラッセル、シンガーを中心に
 I 挙証責任論
 II リベラル・モデルと人民主権・モデル
 III ロールズの正当化論の概要
 IV その問題点
 V 新しい社会運動と市民的不服従
 VI 自由の値打ち論
 VII 市民的不服従と重合的合意
 VIII 安定性にもとづく正当化論
 IX 自由の値打ち論再訪
 X 継ぎ目なき織物としての法、そして市民的不服従

第10章 なぜ立憲民主体制は市民的不服従を必要とするのか
 I 市民的不服従の権利 
 II ドゥオーキンの見解 一
 III ドゥオーキンの見解 二
 IV その問題点と意義
 V 市民的不服従の法的権利? 
 VI 人道的処遇
 VII 市民的不服従に対する人道的処遇 二
 VIII 可謬主義的な政治文化と市民的不服従
 おわりに——なぜ異議申し立ては必要なのか

 あとがき
 索引


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