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岐路に立つ現代中年のライフストーリー高齢化社会と日本人の生き方

高齢化社会と日本人の生き方 岐路に立つ現代中年のライフストーリー

B7 616ページ 上製
価格:6,160円 (消費税:560円)
ISBN978-4-7664-1320-5(4-7664-1320-2) C3036
奥付の初版発行年月:2006年12月 / 発売日:2006年12月上旬

内容紹介

〈生き方としての学問〉へ——。
老いの季節を迎えんとする「団塊の世代」前後の現代中年と、30代でゲイでもある研究者が、それぞれに社会と対峙した経験をたずさえ、出会って生成される新たな人間存在の地平。それを両者のライフストーリーの螺旋のなかから渾身の力で描き出す。人間生成とエイジングの社会学。

高齢化社会の問題は、「高齢者」という特定の人びとの限られた問題ではなく、私たち一人ひとり(全世代)の「生き方」の問題である。そして、本書の底流にある〈生き方としての学問〉とは、世界と自分とを切り離さない学知のあり方の探求である。(「まえがき」より)

高齢化社会とそのなかでの個々人の「生き方」について、インタビュー調査のプロセスを赤裸々に記していくことで、読者の人生の実感を呼び起こし、社会学の立場からその意味を問いかけ、市井の人びとの経験を新しい生のあり方や社会のあり方へとつなげる異色の社会学研究書。質的調査研究のあり方や実践例としても示唆にとむ一冊である。


小倉康嗣(おぐら やすつぐ)
立教大学・東京情報大学・東京外国語大学講師。
1968年生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、厚生省厚生事務官を経て、慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。日本学術振興会特別研究員(PD)、早稲田大学・聖心女子大学講師を経て、現職。社会学博士(慶應義塾大学、2005年)。
主な著書に、『近代日本社会学者小伝——書誌的考察』勁草書房(共著、1998年)、L・シャッツマン=A・L・ストラウス『フィールド・リサーチ——現地調査の方法と調査者の戦略』慶應義塾大学出版会(共訳、1999年)、『定年のライフスタイル』コロナ社(共著、2001年)、K・F・パンチ『社会調査入門——量的調査と質的調査の活用』慶應義塾大学出版会(共訳、2005年)など。
主な論文に、「大衆長寿化社会における人間形成へのアプローチ——『人生過程としてのエイジング』への一つの視角と方法」(『年報社会学論集』11号、1998年)、「後期近代としての高齢化社会と〈ラディカル・エイジング〉——人間形成の新たな位相へ」(『社会学評論』205号、2001年)、「ゲイの老後は悲惨か?——再帰的近代としての高齢化社会とゲイのエイジング」(『クィア・ジャパン』vol.5、2001年)、「再帰的近代としての高齢化社会と人間形成——〈意味感覚としての隠居〉をめぐる現代中年のライフストーリーから」(『質的心理学研究』2号、2003年)、「ゲイのエイジング——地道で壮大な生き方の実験」(『歴博』137号、2006年)など。

目次

まえがき—〈生き方としての学問〉へ  詳細目次
第一章 理論動機と認識目的—メタ理論的構図
第二章 視角と方法—調査問題の構成
第三章 フィールドへの接近—その理論的選定と調査概要
第四章 あきらめのラディカリズム—阿川さんのエイジング
第五章 底流としての日常を生きる—馬場さんのエイジング
第六章 いのちを信頼する—千葉さんのエイジング
第七章 生成された地平—ひとつの解釈として
第八章 生成としての人間形成—ひとつの結論
補論一 社会学を生きる—私に刺さった「棘」と社会学
補論二 ゲイの老後は悲惨か?
     —再帰的近代としての高齢化社会とゲイのエイジング
あとがき—「縁起」としての社会調査、「縁起」としての研究作品


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