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歴史・メディア・国家民族の表象

民族の表象 歴史・メディア・国家

B7 336ページ 上製
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-7664-1310-6(4-7664-1310-5) C1020
奥付の初版発行年月:2006年11月 / 発売日:2006年11月上旬

内容紹介

<民族> とは何か?

「民族」とは近代に作られた観念的共同体だが、その核心をなすのはコミュニケーションの媒体である言語そのものではなく、いわゆる「メディア」によって伝えられる多種多様なイメージの集積物であり、その意味において「民族」とは「メディア」による構築物である。——

本書では、民族とは関係性の産物であり、メディアによる構築物であるという観点から、ユダヤ人、パレスチナ人/イスラエル人、ドイツ人、アメリカ人、キューバ人、ラテンアメリカン、中国人、日本人それぞれの「民族」イメージ形成過程を分析。「メディア」を通じて、自己や他者を意識することから始まる自己相対化や他者像形成のプロセスを検証し、「民族」とは何かを明らかにする。


羽田 功(はだ いさお)
慶應義塾大学経済学部教授
1954年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業(1976年)後、同大学院修士課程、博士課程修了(1982年)。1995年より現職。
専門分野:ユダヤ人問題、19-20世紀転換期ドイツ文学。

ヨーゼフ・フォーグル(Joseph VOGL)
ベルリン・フンボルト大学哲学部教授
1957年生まれ。ミュンヘン大学哲学部卒業(1984年)後、同大学院博士課程修了。哲学博士(1990年)。ヴァイマル大学メディア学部教授を経て、2005年より現職。
専門分野:文学・文化・メディア研究。

エーテル・マタラ・デ・マッツァ(Ethel Matala de MAZZA)
ミュンヘン大学ドイツ文学研究所助手・ベルリン文学研究所研究員
1968年生まれ。ボーフム、パリ、ミュンヘン大学にて近代ドイツ文学、哲学、言語学、文化史
を専攻。シカゴ大学訪問助教授(2005年)。ハーバード大学訪問准教授(2006年)。
専門分野:文学史(17-20世紀)、文化人類学、法律と文学の相互関係研究。

佐谷眞木人(さや まきと)
恵泉女学園大学人文学部助教授
1962年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業(1986年)後、同大学大学院修士課程、博士課程修了(1994年)、博士(文学)。恵泉女学園大学専任講師を経て、2003年より現職。
専門分野:国文学、古典芸能史。

種村和史(たねむら かずふみ)
慶應義塾大学商学部助教授
1964年生まれ。慶應義塾大学文学部中国文学専攻卒業(1988年)後、同大学大学院文学研究科中国文学専攻修士課程修了、後期博士課程満期退学(1993年)。1994年より現職。
専門分野:清朝考証学、宋代詩経学史。

鈴木 透(すずき とおる) 
慶應義塾大学法学部教授
1964年生まれ。慶應義塾大学文学部卒業(1987年)後、同大学大学院文学研究科英米文学専攻修士課程、博士課程修了(1992年、英米文学)。2001年より現職。
専門分野:アメリカ文化研究、現代アメリカ論。

工藤多香子(くどう たかこ)
慶應義塾大学経済学部助教授
1965年生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程単位取得退学(1999年)。慶應義塾大学経済学部専任講師を経て、2005年より現職。
専門分野:カリブ海地域研究、文化人類学。

石井康史(いしい やすし)
慶應義塾大学経済学部助教授
東京大学教養学部教養学科卒業(中南米分科)後、スタンフォード大学M.A.(Latin American Studies)、同大学Ph.D(Spanish)。ダートマス大学Assistant Professorを経て、2001年より現職。
専門分野:比較文学、スペイン・ラテンアメリカ文学、近代日本文学。

臼杵 陽(うすき あきら)
日本女子大学文学部教授
1956年生まれ。東京外国語大学文学部卒業(1980年)後、東京大学大学院国際関係論修士課程、博士課程修了(1988年)。佐賀大学、国立民族学博物館を経て、2005年より現職。
専門分野:中東地域研究、現代中東政治史。

目次

ユダヤ人イメージ  
  ——ヨーロッパにおけるユダヤ人像の特質
   羽田 功
 1 はじめに——ユダヤ人問題とユダヤ人像
 2 中世キリスト教ヨーロッパのユダヤ人イメージ
 3 宗教的な反ユダヤ的言説・イメージの特徴
 4 経済的な反ユダヤ的言説・イメージの特徴
 5 政治的・社会的な反ユダヤ的言説・イメージの特徴
 6 「ユダヤ人解放」と近代的反ユダヤ主義——ユダヤ人イメージの変質
 7 まとめ

ドイツ的・ドイツ人であるとは何か
 資本と人種   ヨーゼフ・フォーグル
 1 ドイツ的・ドイツ人とは何か?
 2 『借方と貸方(Soll und Haben)』
 応急共同体   エーテル・マタラ・デ・マッツァ

近代日本の国家イメージ形成における和歌の機能
     ——桜の表象を中心に
   佐谷眞木人
 1 はじめに
 2 日本文化における桜の歴史的位置
 3 近代における桜
 4 軍隊と桜
 5 まとめ

国を捨て新天地をめざすのは不義か?
     ——詩経解釈に込められた国家への帰属意識の変遷
   種村和史
 1 はじめに
 2 政論としての詩経解釈
 3 詩経解釈のなかの殉国意識
 4 おわりに

時計、石鹸、星条旗
     ——産業社会の出現とアメリカ的身体の形成過程
   鈴木 透
 1 「アメリカ人」の誕生——序にかえて
 2 アメリカ人のイメージの形成過程における南北戦争の位置
 3 応用される南北戦争の体験——産業社会の形成過程における理想のアメリカ人像の具体化
 4 結語

社会主義国キューバで発せられる「黒人」の声
     ——ラップ、人種差別、そして革命
   工藤多香子
 1 外国音楽ラップの流行
 2 抗議の音楽、「黒人」の声
 3 革命的な音楽としてのラップ
 4 「白人みたいに黒人だ」

ステレオタイプとコミュニケーション
     ——外国映画におけるラテンアメリカのイメージ表象
   石井康史
 1 ステレオタイプ
 2 ステレオタイプとコミュニケーション
 3 アメリカ合衆国映画(ハリウッド映画)
 4 フランス映画
 5 日本映画
 6 おわりに

パレスチナ/イスラエル紛争における「敵」イメージの形成   臼杵 陽
 1 はじめに——紛争の呼称にみる「敵」イメージ
 2 「新しい歴史化」における「敵」イメージの変化
 3 アラブ世界における反ユダヤ主義的な「敵」イメージ
 4 ハマースのポスターにみる「敵」イメージ
 5 おわりに

 あとがき


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