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開発経済学

開発経済学

B7 358ページ 上製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-7664-1191-1(4-7664-1191-9) C3033
奥付の初版発行年月:2005年10月 / 発売日:2005年10月上旬

内容紹介

『ミレニアム開発目標』を踏まえ、経済開発と社会開発の大きな枠組みから現在の開発経済学の潮流を示す。


高梨和紘(たかなし・かずひろ)
慶應義塾大学経済学部教授
1943年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了。
慶應義塾大学経済学部助手、助教授を経て、現職。専攻は開発経済学。
主要著作に、『東アジアの国際交流と経済発展』(共編著,文眞堂,1993年)、『タイ経済の変容と政策課題』(編著,文眞堂,1995年)、「国民市場形成への商品アプローチ」矢内原勝編『発展途上国問題を考える』(文真堂、1996年)など。
澤田康幸(さわだ・やすゆき)
東京大学大学院経済学研究科・経済学部助教授
1967年生まれ。スタンフォード大学経済学部博士(1999年)。
世界銀行DECRGコンサルタント、東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻助教授を経て、現職。専攻は開発経済学、国際経済学、ミクロ計量経済学。
主要著作に、『基礎コース国際経済学』(新世社、2003年)、""""Are the Heavily Indebted Countries Solvent? Tests of Intertemporal Borrowing Constraints,"""" Journal of Development Economics 45, 1994.、""""Do Community Managed Schools Works? An Evaluation of El Salvador's EDUCO Program,"""" World Bank Economic Review 13, 1999(共著)など。

佐藤元彦(さとう・もとひこ)
愛知大学経済学部教授
1958年生まれ。広島大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。
特殊法人日本学術振興会特別研究員(PD)、愛知大学経済学部専任講師、同助教授を経て、現職。専攻は国際開発論。
主要著作に、『脱貧困のための国際開発論』(築地書館、2002年)、『貧困緩和・解消の国際政治経済学』(編著、築地書館、2005年)、『第四世代工業化の政治経済学』(共著、新評論、1998年)など。

堤雅彦(つつみ・まさひこ)
内閣府計量分析室参事官補佐
1968年生まれ。経済学修士(慶應義塾大学、1994年)、国際関係学修士(コロンビア大学、2001年)、地域研究学(東アジア)修士(コロンビア大学、2002年)。
経済企画庁(現内閣府)入庁後、経済研究所、総合計画局、物価局および金融庁総務企画局勤務を経て、現職。専攻は国際経済学、開発経済学、マクロ経済学。
主要著作に、「WTO・FTAと日本経済の再編成」『国際問題』532号(2004年7月)、『日本のFTA戦略—「新たな開国」が競争力を生む—』(共著)日本経済新聞社(2002年)、「進む域内経済統合と中国のWTO加盟—CGEモデルを活用したシナリオ分析—」JCER Discussion Paper, No.60, 2000. 4など。

山形辰史(やまがた・たつふみ)
日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員
1963年生まれ。ロチェスター大学経済学博士(2000年)。
アジア経済研究所、バングラデシュ開発研究所(BIDS)客員研究員を経て、現職。専攻は開発経済学。
主要著作に、『開発経済学』(共著、日本評論社、2003年)、『やさしい開発経済学』(編著、アジア経済研究所、1998年)、「経済成長と貧困・雇用」絵所秀紀・穂坂光彦・野上裕生編『貧困と開発』(日本評論社、2004年)など。

伊藤成朗(いとう・せいろう)
日本貿易振興機構アジア経済研究所開発研究センター研究員
ブラウン大学大学院経済学部修士。専攻は開発経済学、応用ミクロ経済学、応用時系列分析。
主要著作に、「多国籍種苗企業の国際展開」『アジア経済』Vol.45、No.11(2004年)、「インドにおける米市場統合度と裁定統制」『アジア経済』Vol.44、No.7(2003年)、「マイクロファイナンス・プログラムの効果測定」『アジ研ワールドトレンド』第106号(2004年7月)など。

尾﨑敬子(おさき・けいこ)
国際協力機構インドネシア母子保健アドバイザー、京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程
1967年生まれ。東京大学大学院医学系研究科国際保健学修士。専攻は国際保健。
主要著作に、『開発援助とバングラデシュ』(共著、アジア経済研究所、1997年)、「インドネシアにおける母子保健手帳の拡大展開」『国際協力研究』(1998年10月)、『保健と医療の人類学—調査研究法の手引き—』(共監訳、世界思想社、2004年)など。

伊藤萬里(いとう・ばんり)
慶應義塾大学グローバルセキュリティ研究所研究助手、同大学大学院経済学研究科博士課程
1979年生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科修士課程修了。専攻は国際経済学、イノベーション。
主要著作に、「HIV/エイズ・結核・マラリア向け医薬品開発の趨勢:特許出願データに見る製薬大手の開発性向」(共著)『アジア経済』2004年11月12月合併号(2004年)など。

小島道一(こじま・みちかず)
日本貿易振興機構アジア経済研究所新領域研究センター環境・資源研究グループ研究員
1965年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。カリフォルニア大学バークレー校修士。アジア経済研究所入所後、統計調査部、開発研究部などを経て、現職。専攻は開発経済学、環境・資源経済学。
主要著作に、『アジアにおける環境資源貿易』(編著、アジア経済研究所、2005年)、『アジア環境白書 2003/2004』(共編著、東洋経済新報社、2003年)、「アジアにおけるリサイクル」『季刊 環境研究』No.136(2005年)など。

露口哲男(つゆぐち・てつお)
JFEホールディングス㈱環境ソリューションセンター副部長
慶應義塾大学経済学部卒業。日本鋼管㈱(現・JFEエンジニアリング㈱)入社、社外派遣(?日本経済研究センター研究員)を経て、現職。
主要著作に、『企業連携ゼロエミッション—企業連関によるリサイクル事例—』(共著、日報出版、2001年)、「環境ビジネスの新展開「NKKの環境ソリューション」」(共著)『材料と環境』第51巻第12号(2002年)など。

和田明子(わだ・あきこ)
東北公益文科大学助教授
1966年生まれ。ニュージーランド・ヴィクトリア大学大学院公共政策修士課程修了(公共政策学修士号)。
北海道東北開発公庫(現日本政策投資銀行)、神奈川県庁勤務を経て、現職。専攻は行政学(パブリック・マネジメント)。
主要著作に、『ニュージーランドの市民と政治』(明石書店、2000年)、「ニュージーランド・モデルのNew Public Management」①〜⑪『行政&ADP』2000年5月号〜2001年3月号(2000年、2001年)、「ニュージーランドのガバナンス改革」宮川公男・山本清編著『パブリック・ガバナンス—改革と戦略—』(日本評論社、2002年)など。
鈴木晋介(すずき・しんすけ)
日本学術振興会特別研究員(PD)
1971年生まれ。筑波大学大学院博士課程・人類学研究科単位取得退学。
筑波大学医療技術短期大学非常勤講師、日本女子大学現代社会学科非常勤助手ほかを経て、現職。専攻は文化人類学。
主要著作に、「スリランカにおけるインド・タミルという『民族』—その『想像の仕方』に関する一考察—」『筑波大学地域研究』第22号(2004年)、「女神の霊媒の決定—スリランカ・プランテーションにおけるヒンドゥー例祭の分析—」『史境』第46号(2003年)、「スリランカ・サルボダヤ運動における『開発』と『伝統』—現場から『開発の時代』を捉え直すための予備的考察—」『族』第30号(1999年)など。

目次

はじめに
議論の枠組みと各章の課題 高梨 和紘
第1章 世界の貧困とその削減 澤田 康幸
はじめに
1 貧困をどう捉えるか
2 世界の貧困はどうなっているのか
3 貧困の原因は何か? 貧困削減のために何が必要か?
  3.1貧困削減における経済成長の役割
  3.2直接的貧困削減
おわりに—世界における貧困削減のための国際社会と日本の取り組み
第2章 貧困削減とマイクロファイナンス 佐藤 元彦
はじめに
1 貧困への対処法とマイクロファイナンス
 1.1 保有資産制限
 1.2 小グループ結成
 1.3 女性への焦点
2 マイクロファイナンスの新たな展開
3 「残された者」と貧困削減
おわりに
参考 グラミン銀行の「5段階評価」制度

第3章 農村金融と非農業生産 高梨 和紘
はじめに
1 貧困農村家計自立化と農村金融
 1.1 LBプロジェクトと自立化グループPCGs
 1.2 LBプロジェクト見直しの含意
2 タイにおける非農業生産振興策
 2.1  OTOPプロジェクトとタイ政府の役割
 2.2 OTOPプロジェクトの実施体制
3 タイ東北部におけるOTOPプロジェクトの経済効果
 3.1 東北部におけるOTOPプロジェクト
 3.2 東北地域内産業連関分析
おわりに
第4章 地域的なFTAの選択とASEAN諸国の経済成長 堤  雅彦
はじめに
1 アジアにおけるFTAとシナリオ分析
 1.1 日本の政策転換
 1.2 アジア各国の取り組み
 1.3 FTAのシナリオ分析
2 CGEモデルによるFTAの評価
 2.1 シナリオ
 2.2 モデルおよびデータ・セット並びに試算方法
  2.2.1 モデル
  2.2.2 データ・セット
  2.2.3 試算方法
3 FTAとASEAN経済の変化
 3.1 結果の概要
  3.1.1 インドネシア
  3.1.2 マレーシア
  3.1.3 フィリピン
  3.1.4 タイ
  3.1.5 ヴェトナム
 3.2 変化の原因
 3.3 FTAによる地域間代替
おわりに

第5章 発展途上国の企業と雇用 山形 辰史
はじめに
1 発展途上国企業の特徴
 1.1 インフォーマル・セクター
 1.2 フォーマル・セクター
  1.2.1発展途上国のフォーマル・セクターの特徴
  1.2.2中小企業
 1.3 公企業
  1.3.1独立初期の公企業の意義
  1.3.2公企業の民営化
2 発展途上国企業の競争力
 2.1 労働コスト
 2.2 投資環境
 2.3 国際的な後発国優遇措置
おわりに
第6章 経済開発と教育 澤田 康幸
はじめに
1 教育は経済においてどのように扱われてきたか
2 経済発展に対する教育の貢献
  2.1ミクロレベルの貢献
  2.2マクロレベルの貢献
3 教育への需要
4 教育の供給
  4.1教育供給の質の改善に向けて
5 教育成果の収益
おわりに
第7章 児童労働と反児童労働政策について 伊藤 成朗
はじめに
1 児童労働の定義とトレンド
 1.1定義とトレンド
 1.2 貿易と児童労働
 1.3 マクロ的研究の限界
2 児童労働に関するミクロ的実証研究
 2.1 所得が児童労働に与える影響
 2.2 児童労働が児童の人的資本形成に与える影響
 2.3 政策の効果
3 児童労働の理論モデル
 3.1 モデルの設定
 3.2 児童労働の決定
 3.3 反児童労働政策の影響
おわりに
第8章 開発途上国における保健医療問題 尾崎 敬子
はじめに
1 状況認識
 1.1 死亡という現象からみる健康
 1.2 健康の定義
 1.3 疾病の二重負担
 1.4 医療体系の多元性
2 問題解決のアプローチ
 2.1 国際保健医療協力のはじまり
 2.2 プライマリ・ヘルスケア
 2.3 感染症対策の再興
 2.4 セクターとしての保健医療
3 残された課題
 3.1 HIV/エイズ対策
  3.1.1社会的認知と受容
  3.1.2治療へのアクセスと経済効率性
  3.1.3保健医療インフラストラクチャー
 3.2 分析枠組み
おわりに
第9章 感染症向け医薬品の研究開発とアクセス 伊藤 萬里
はじめに
1 問題の所在
 1.1 感染症分布の地域差と顧みられない病気
 1.2 満たされぬ新薬開発の必要性
 1.3 矛盾するTRIPS協定の適用緩和と開発誘引
2 研究開発の促進とアクセスの両立
 2.1 技術革新と特許制度
  2.1.1 技術革新はなぜ起こるのか?
  2.1.2 特許制度の功罪
 2.2 プッシュ型、プル型研究開発促進政策
 2.3 差別価格と並行輸入
  2.3.1 差別価格
  2.3.2 市場の分断
  2.3.3 並行輸入
3 感染症向け医薬品開発の主体
 3.1 HIV/エイズ・結核・マラリア向け医薬品開発の推移
 3.2 公共部門と民間部門の開発性向
 3.3 製薬大手が大きな役割
4 オーファンドラッグ制度
 4.1 オーファンドラッグ制度とは?
 4.2 アメリカのオーファンドラッグ制度に見られる傾向
 4.3 国際版オーファンドラッグ制度構築に向けて
おわりに
第10章 環境と持続可能な経済開発 小島 道一
はじめに:環境と経済の関わり
1 所得の上昇との関係から見た環境問題
2 地球環境問題と地域環境問題
3 貧困と環境問題
4 発展途上国における環境政策
 4.1 キャパシティー・ビルディング
 4.2 途上国の実情に合わせた環境政策
 4.3 環境保全につながる貧困対策
おわりに

第11章 環境調和型発展 露口 哲男
—日本モデルの発展途上国への適応可能性—
はじめに
1 環境調和と産業発展の両立—先進国の経験
 1.1 深刻化する地球環境問題
 1.2 環境調和型発展—先進国の経験
2 経済発展と都市環境
 2.1 都市と産業の共生
 2.2 都市、産業、環境—日本の歴史の中で
3 環境調和型発展とその必要条件
4 エコタウン事業の試み
 4.1 エコタウンとは
 4.2 川崎臨海部地域の実験
おわりに
付録 UNEPおよびDTIEについて
第12章 開発とガバナンス 和田 明子
はじめに
1 国際援助機関におけるガバナンス論
 1.1 世界銀行
 1.2 DAC
 1.3 国連開発計画
2 グッド・ガバナンスに見る行政学の影響
 2.1 ニューパブリック・マネジメント
 2.2 行政学におけるガバナンス論
おわりに

第13章 内発的発展論とスリランカのサルボダヤ運動 鈴木 晋介
はじめに
1 内発型発展論とサルボダヤ運動
 1.1 内発的発展論
 1.2 スリランカのサルボダヤ運動
  1.2.1サルボダヤ運動概略史
  1.2.2サルボダヤ開発哲学
  1.2.3サルボダヤ開発プログラム
2 サルボダヤ運動をめぐる「伝統」の問題
 2.1 開発の文脈への仏教思想・用語の応用
 2.2 サルボダヤ運動と仏教復興運動
  2.2.1植民地支配下の「仏教復興運動」とサルボダヤ運動の連続性
  2.2.2「伝統」の革新の担い手と「小さき民」なるものとのギャップ
3 素描ー日常生活の中のサルボダヤ運動
 3.1 サルボダヤ運動に対する一般の認識
 3.2「もう一つのシュラマダーナ」
 3.3 村に根づいた村内銀行
 3.4 小括ー生活の場所へむけて
おわりに


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