大学出版部協会

 

東アジアのロシア

現代東アジアと日本5
東アジアのロシア

B7 296ページ 上製
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-7664-1045-7(4-7664-1045-9) C3031
奥付の初版発行年月:2004年05月 / 発売日:2004年05月上旬

内容紹介

冷戦終焉後のロシアを含む国際環境の変化を、ロシアの外交政策と国内的諸要素の双方から総合的に分析する。
現在から将来にわたるロシアと日本の関わりを見定めた、日本の外交政策の指針となりうる一冊。シリーズ第3回配本。



横手慎二(よこて しんじ)
慶應義塾大学法学部教授。
1950年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。
主要著作に、『ポスト冷戦時代のロシア外交』(共著)(有信堂、1999年)、『地域研究と現代の国家』(共編著)(慶應義塾大学出版会、1998年)、『世界歴史体系 ロシア史3』(共著)(山川出版社、1997年)など。


松井弘明(まつい ひろあき)
大東文化大学国際関係学部教授。
1943年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了。
主要著作に、『ソ連の国防と東欧』(勁草書房、1987年)、「ロシア政軍関係の一考察」富田広士・横手慎二編『地域研究と現代の国家』(慶應義塾大学出版会、1998年)、「ロシア外交における東アジアの位置づけ?安全保障政策を中心に」『冷戦後のアジアの安全保障』(日本学術協力財団、1997年)、『9.11以後のロシア外交の新展開』(編)(日本国際問題研究所、2003年)など。


岩下明裕(いわした あきひろ)
北海道大学スラブ研究センター研究員。
1962年生まれ。九州大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。法学博士。
主要著作に、『中・ロ国境4000キロ』(角川書店、2003年)、『中・ロ国境の旅』(東洋書店、2003年)、『「ソビエト外交パラダイム」の研究』(国際書院、1999年)など。


中野潤三(なかの じゅんぞう)
鈴鹿国際大学国際学部教授。
1955年生まれ。京都大学大学院法学研究科博士後期課程満期退学。
主要論文に、「ロシア極東を巡る交際関係」『ロシア研究』第24号、1997年4月、「ロシア国家のオリエンテーションとアジア太平洋」『外交時報』第1348号、1998年5月、「ロシアとアジア太平洋の安全保障」『新防衛論集』第26巻第4号、1999年3月、「ロシアの朝鮮半島政策」『プーチン政権下ロシアの対アジア・太平洋外交』(日本国際問題研究所、2001年)など。


角田安正(つのだ やすまさ)
防衛大学校人文社会科学群助教授。
1958年生まれ。東京外国語大学大学院地域研究研究科修士課程修了。
主要論文に、「ソ連はなぜ崩壊したか-国民形成の失敗と民族紛争」加藤朗編著『脱冷戦後 世界の紛争』(南窓社、1998年)、「NATO拡大とロシアの対応」『ロシア東欧学会年報』第27号、1999年、D. M. コッツ・F. ウィア『上からの革命-ソ連体制の終焉』(翻訳)(新評論、2000年)など。


小澤治子(おざわ はるこ)
新潟国際情報大学情報文化学部教授。
1956年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。法学博士。
主要著作に、『ロシアの対外政策とアジア太平洋-脱イデオロギーの検証』(有信堂、2000年)、『アジアのなかの日本と中国-有効と摩擦の現代史』(共著)(山川出版社、1995年)、『日本の岐路と松岡外交-1940?41年』(共著)(南窓社、1993年)など。


下斗米伸夫(しもとまい のぶお)
法政大学法学部教授。
1948年生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科政治専門課程博士課程修了。法学博士。
主要著作に、『ソ連・党が所有した国家』(講談社、2002年)、『ロシア世界』(筑摩書房、1999年)、『ロシア現代政治』(東京大学出版会、1997年)など。


ドミトリー・V・ストレリツォフ(STRELTSOV, Dmitri V.)
ロシア科学アカデミー付属東洋学研究所上級研究員。
19**年生まれ。
主要著作に、『戦後日本の行政システム』(ロシア語、モスクワ、2002年)、『現代日本の議会』(ロシア語、モスクワ、1994年)、『日本とアメリカにおける行政的規制—傾向と展望』『日本とグローバル秩序』など。




ワレリー・O・キスタノフ( KISTANOV,Valeri O. )
在日ロシア通商代表部上級エキスパート。
1946年生まれ。科学アカデミー付属東洋学研究所大学院卒業。歴史学博士。
主要著作に、Ekonomicheskoe proniknovenie Iaponii v Latinskuiu Ameriku (日本のラテン・アメリカに対する経済進出)、(モスクワ、東洋学文献、1982年)、Iaponiia v ATR(アジア太平洋地域における日本)、(モスクワ、東洋学文献、1995年)、「21世紀の前の日本の対外政策」『外交時報』(東京)、1996年10月号など。


杉本侃(すぎもと ただし)
日本ロシア経済委員会事務局長・主任研究員。
1944年生まれ。東京外国語大学ロシア学科卒。
主要著作に、Japan and Russia in Northeast Asia: Partners in the 21st century, in Sakhalin oil and gas and Japan (Praeger: London, 1999)(共同執筆)、『21世紀のロシア・エネルギー戦略』(和訳監修)(東西貿易通信社、2001年)、「プーチン政権下のアジア太平洋経済政策」『プーチン政権下ロシアの対アジア・太平洋外交』(日本国際問題研究所、2001年)など。


井手康仁(いで やすひと)
1971年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程在学中。在ロシア日本大使館専門調査員(1998?2000年)。
主要論文に、「日ソ関係における民間アクター-末次一郎を中心として」『国際政治』第136号、2004年、「ソ連邦解体後7年目のロシア」『歴史と地理』第509号(山川出版社、1998年)など。


セルゲイ・E・タルノフスキー(TARNOVSKI, Sergei E.)
1977年生まれ。
慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程在学中。

目次

総 論  横手慎二

第1部 冷戦後のロシアの対外関係

第1章 ロシアと東アジア
 —歴史的背景  横手慎二
はじめに
一 領土・国境問題
1 ロシアと中国 
2 ロシアとモンゴル
3 ロシアと日本
二 同盟と敵対
1 1917年革命前までのロシアの同盟関係
2 ロシア革命から第二次大戦までの同盟関係
3 第二次大戦以降の同盟関係
三 イデオロギー対立
1 アメリカとのイデオロギー対立
2 中国とのイデオロギー対立
結 び


第2章 ロシアの対米・対NATO関係
松井弘明
はじめに
一 エリツィン政権下の対米外交
1 蜜月時代(1992?94年)
2 モラトリアム時代(1994?95年)
3 対立の顕在化(1996?99年)
二 プーチン政権の対米政策
1 プーチン政権前期の対米外交— 一極支配反対
 (1) アメリカ本土ミサイル防衛(NMD)構想反対網の形成
 (2) ロシアの影響力拡大
2 プーチン政権後期の対米外交— 反テロ親米への転換
 (1) アメリカの対アフガニスタン作戦への全面的協力
 (2) ミサイル防衛・ABM問題への対応
三 ロシアの対NATO政策
1 エリツィン政権下の対NATO政策
 (1) 平和のためのパートナーシップ(PFP)協定調印まで
 (2) ロシア・NATO基本文書に至るロシア=NATO関係
 (3) コソヴォ危機をめぐるロシア=NATO関係
2 プーチン政権下のロシア=NATO関係
 (1) 9.11テロ事件以前
 (2) 9.11テロ事件以後
おわりに


第3章 ロシアの対中国外交
 —「チャイナ・シンドローム」を越えて 岩下明裕
一 「シンドローム」の深層
1 ロシア人の対中国感
2 対中外交の出発点
二 国境問題の方程式
1 信頼醸成措置
2 領土と移民のリンケージ
3 将来への不安
三 戦略問題の方程式
1 「帝国」の重圧
2 「多極化世界」のロマンと現実
3 一致のなかの矛盾
4 対立のなかの協調
四 「シンドローム」の向こう側
1 「戦略的三角パートナーシップ」の現実
2 方程式の解
3 中露関係にとっての「9.11」


第4章 ロシアの再興と朝鮮半島
中野潤三
はじめに
一 朝鮮半島政策の指針
二 ロシア?韓国関係
1 露韓関係の総括と展望
2 露韓経済協力
3 借款償還問題と露韓軍事協力
三 ロシア?北朝鮮関係
1 露朝関係の総括と展望
2 露朝経済協力
3 露朝軍事協力と核開発問題
おわりに



第5章 ロシアの対中央アジア外交
角田安正
はじめに
一 ロシアの国境政策
二 ロシア・タジキスタン関係
三 カザフスタンの外交
1 ロシアとの相互依存関係
2 多角的アプローチ
3 CIS域内のブロック化現象
四 ウズベキスタンの外交
1 ウズベキスタンとその周辺諸国との関係
 (1) 周辺諸国との関係の概略
 (2) ロシアとの関係
 (3) 中央アジア諸国との関係
2 集団安全保障条約からの脱退
3 イスラム過激派対策
五 天然資源の開発
1 天然資源産出国に対するロシアの圧力
2 トルクメニスタンの天然ガス
3 カザフスタンの石油
4 ロシア・エネルギー産業の動向
5 カスピ海の法的地位
六 プーチン大統領登場以後のロシア・中央アジア関係
1 集団安保条約の活性化
2 独自路線を走るウズベキスタン
3 9.11テロ以降の状況
まとめ


第6章 ロシアの対日外交
 —領土交渉を中心に   小澤治子
はじめに
一 ゴルバチョフ政権とソ連の対日外交
1 ペレストロイカと日ソ関係
 (1) アジア太平洋参加の意思表明
 (2) 日ソ外相定期協議
 (3) 領土問題をめぐるソ連改革派の発言
2 ゴルバチョフ訪日と領土問題
 (1) ゴルバチョフ政権の危機
 (2) 日ソ共同声明
二 エリツィン政権とロシアの対日外交
1 ソ連解体と日露関係
 (1) 関係構築の模索
 (2) エリツィン大統領訪日延期
 (3) 東京宣言
2 多極化外交と日露関係
 (1) プリマコフの外相就任
 (2) 日本政府の対ロシア姿勢??「重層的アプローチ」に転換
 (3) 日露非公式首脳会談①??クラスノヤルスク合意
 (4) 日露非公式首脳会談②??川奈提案
 (5) モスクワ宣言
 (6) アジア太平洋への参加に一歩
三 プーチン政権とロシアの対日外交
1 森政権期の日露関係
 (1) プーチン政権誕生
 (2) プーチン大統領公式訪日 (3) 四島一括返還論と段階的解決論
 (4) 56年共同宣言をめぐるロシアの立場
 (5) イルクーツク声明
2 小泉政権誕生後の日露関係
 (1) 日露関係の停滞
 (2) 同時多発テロ事件と日露関係
 (3) 日露行動計画
おわりに



第2部 変貌する国内環境

第7章 ロシアにおける政軍関係
 —ロシア軍の内政的源泉   下斗米伸夫
はじめに—「赤軍」、ソ連軍からロシア軍へ
一 改革のなかの政軍関係
二 ロシア期の政治と軍
三 プーチン政権と軍
おわりに


第8章 ロシアの対外政策の国内的要因
 —北東アジア諸国を中心にして   ドミトリー・V・ストレリツォフ
はじめに
一 大統領の役割
1 憲法上の規定
2 大統領の政策決定に対する影響要因
二 政府の役割
1 政府全体の役割
2 外務省の役割
3 武力担当省庁の影響力
4 安全保障会議
三 国家会議(下院)と連邦会議(上院)の役割
四 学術・研究機関の役割
五 経済界の役割
六 世論の役割
結 び

第9章 東アジア諸国とロシアの経済関係
—問題と傾向 ワレリー・キスタノフ
はじめに
一 対外経済関係の概要
1 対外経済の条件
2 ロシア領極東とザバイカル地方の全般的傾向
3 東アジアとの経済協力
二 日本とロシアの経済関係
1 貿易指標
2 問題点
3 対策と展望
三 日本以外の東アジア諸国との経済関係
1 中国
2 北朝鮮と韓国
3 台湾
4 モンゴル人民共和国
5 ASEAN
結 び



第10章 ロシアのエネルギー資源と外交
   杉本 侃

はじめに—本章を執筆するに当たって
一 ロシアのエネルギー資源
1 ロシアの資源の位置づけ
 (1) エネルギー資源の埋蔵量
 (2) 世界におけるロシアのエネルギー資源
 (3) CO2排出権取得におけるロシアの位置付け
2 国内経済における資源の重要性
 (1) 国内経済に果たすエネルギーの役割
 (2) 最大の外貨獲得源
二 ロシアの長期エネルギー戦略
1 エネルギー産業の動向と現状
 (1) エネルギー生産の推移
 (2) エネルギーの輸出動向
2 ロシアの長期エネルギー政策
 (1) エネルギー生産見通し
 (2) エネルギーの輸出見通し
3 エネルギー戦略の実現に向けた課題
 (1) 投資環境の整備
 (2) 埋蔵量の減少
 (3) 開発の経済性低下
三 ロシアの対外経済政策
1 経済外交の特色
2 海外におけるロシアの経済活動
 (1) 欧州とのエネルギー協力
 (2) ロシア企業による海外での事業展開の事例
四 ロシアのエネルギー外交に影響を及ぼす外的要因
1 中東情勢の見通しと代替供給源の可能性
 (1) 2003年のイラク戦争とその影響
 (2) 代替供給源の見通し
2 アメリカのエネルギー政策と緊密化する米露協力—アメリカのエネルギー事情
3 カスピ海と中央アジアのエネルギー資源
 (1) カスピ海周辺のエネルギー資源の賦存状況と生産・輸出の見通し
 (2) パイプラインの力学
 (3) カスピ海の領有問題と資源分割
 (4) ロシアと他のNISとの関係
五 アジア太平洋圏とのエネルギー協力
1 日本のエネルギー情勢とロシアとの揚力
 (1) 日本のエネルギー事情
 (2) サハリン海洋プロジェクトの実現
 (3) シベリアからの石油・天然ガス輸入問題
2 中国へのエネルギー供給計画
 (1) 原油パイプライン敷設計画の見通し
 (2) 天然ガス供給構想の実現性
おわりに


第11章 日露韓のイメージ・ギャップ
   井手康仁
セルゲイ・E・タルノフスキー
一 これまでの研究
1 日露交流史のアプローチ
2 比較政治のアプローチ
3 戦略研究のアプローチ
4 政治社会学のアプローチ
二 日本からみたロシア
1 日本の世論の全体的傾向
2 現在の対露世論を支えるイメージ
 (1) 「後進国イメージ」「トラブルメーカー・イメージ」
 (2) 「膨張イメージ」と「軍事的脅威イメージ」
 (3) 「共産主義国家イメージ」「革命国家イメージ」
 (4) 「無法者国家イメージ」「無秩序国家イメージ」
3 ステレオタイプの可能性
三 ロシアからみた日本イメージ
1 ロシアの対日イメージ研究の全体的傾向
2 現在の対日世論を支えるイメージ
 (1) 「文明国イメージ」「地域パワー・イメージ」
 (2) 「重要な外交相手国イメージ」「経済的協力者イメージ」
 (3) 「帝国イメージ」「汚職国家イメージ」
3 ロシアの対日イメージのまとめ
四 むすび


執筆者紹介


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。