大学出版部協会

 

海域アジア

現代東アジアと日本4
海域アジア

A5判 356ページ 上製
定価:3,400円+税
ISBN978-4-7664-1044-0(4-7664-1044-0) C3031
奥付の初版発行年月:2004年06月

内容紹介

ASEANとオセアニアをアジアの「海域」という一つの概念でとらえなおし、その政治、経済、国際関係、安全保障を論じる。シリーズ「現代東アジアと日本」第4巻。


大庭三枝(おおば・みえ)
東京理科大学工学部講師
1968年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学(学術博士)。
主要著作に、「『境界国家』と『地域』の時空論:日豪のアイデンティティ模索とアジア太平洋地域の創出」(『レヴァイアサン』第26号、2000年)、『アジア政治経済論』(共著、末廣昭・山影進編著、NTT出版、2001年)、『東アジア地域主義と日本外交』(共著、山影進編、日本国際問題研究所、2003年)、『アジア太平洋への道程』(ミネルヴァ書房、2004年(近刊))など。

末廣昭(すえひろ・あきら)
東京大学社会科学研究所教授
1951年生まれ。東京大学大学院経済学研究科修了(経済学博士)。
主要著作に、Capital Accumulation in Thailand 1855-1985, UNESCO, The Centre for East Asian Cultural Studies, 1989、『キャッチアップ型工業化論—アジア経済の軌跡と展望—』(名古屋大学出版会、2000年)、『進化する多国籍企業—いま、アジアでなにが起きているのか?—』(岩波書店、2003年)など。

高埜健(たかの・たけし)
熊本県立大学総合管理学部助教授
1960年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得退学。
主要著作に、「東南アジアにおける多国間主義—地域安全保障の観点から—」(『国際政治』第133号「多国間主義の検証」2003年8月)、『国際機構の政治学』(共著、高杉忠明編、南窓社、2003年)、Road to ASEAN-10(共著、Sekiguchi and Noda, eds.)Singapore: ISEAS, Tokyo: JCIE, 1999など。

長津一史(ながつ・かずふみ)
京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科助手
1968年生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程単位取得退学。
主要著作に、Pirates, Sea Nomads or Protectors of Islam?: A Note on "Bajau" Identifications in the Malaysian Context(『アジア・アフリカ地域研究』第1号、2001年)、「周辺イスラームにおける知の枠組み—マレーシア・サバ州、海サバ人の事例(1950-70年代)」(『上智アジア学』第20号、2002年)など。

武田康裕(たけだ・やすひろ)
防衛大学校国際関係学科兼総合安全保障研究科教授
1956年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科博士課程中途退学(学術博士)。
主要著作に、『民主化の比較政治—東アジア諸国の体制変動過程—』(ミネルヴァ書房、2001年)、『最新版 安全保障学入門』(共編著、亜紀書房、2003年)、『アメリカが語る民主主義—その普遍性、特異性、相互浸透性—』(共著、ミネルヴァ書房、2000年)など。

川中豪(かわなか・たけし)
アジア経済研究所研究員
1966年生まれ。神戸大学大学院国際協力研究科博士課程修了(政治学博士)。
主要著作に、Power in a Philippine City, (Chiba: Institute of Developing Economies, 2002),「フィリピン地方政治研究における国家中心的アプローチの展開」(『アジア経済』第42巻第2号、2001年)、「フィリピン地方都市における権力メカニズム:ナガ市の事例」(『アジア経済』第41巻第1号、2000年)など。

白石昌也(しらいし・まさや)
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授
1947年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了(学術博士)。
主要著作に、『ベトナム民族運動と日本・アジア』(巖南堂書店、1993年)、『ベトナムの国家機構』(編著、明石書店、2000年)、『ベトナム経済—21世紀の新展開—』(監訳(グエン・スアン・オアィン著)、明石書店、2003年)など。

金子芳樹(かねこ・よしき)
獨協大学外国語学部教授
1957年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程修了(法学博士)。
主要著作に、『マレーシアの政治とエスニシティ—華人政治と国民統合—』(晃洋書房、2001年)、『現代アジアの統治と共生』(共編著、慶應義塾大学出版会、2002年)、「マレーシア—国家・NGO関係における二つの二重構造—」重冨真一編『アジアの国家とNGO—アジア15カ国の比較研究—』(明石書店、2001年)、など。

山本信人(やまもと・のぶと)
慶應義塾大学法学部教授
1963年生まれ。コーネル大学大学院政治学研究科博士課程修了。
主要著作に、『岩波講座東南アジア史7 植民地抵抗運動とナショナリズムの展開』(共著、池端雪浦編、岩波書店、2002年)、『世紀末からの東南アジア』(共編著、慶應義塾大学出版会、2000年)、『地域の世界史1 地域史とは何か』(共著、濱下武志・辛島昇編、山川出版社、1997年)など。

小柏葉子(おがしわ・ようこ)
広島大学平和科学研究センター助教授
1959年生まれ。津田塾大学大学院国際関係学研究科博士課程単位取得退学。
主要著作に、「太平洋島嶼フォーラムの変化と連続性—オセアニアにおける多国間主義の現段階—」(『国際政治』第133号、2003年)、『太平洋島嶼と環境・資源』(編著、国際書院、1999年)、"South Pacific Forum: Survival under External Pressure," New Regionalisms in the Global Political Economy: Theories and Cases, ed. by S. Breslin, et al. (London: Rutledge, 2002) など。

鎌田真弓(かまだ・まゆみ)
名古屋商科大学総合経営学部教授
1958年生まれ。オーストラリア国立大学(The Australian National University)Ph.D.
主要著作に、「多文化主義の新展開—先住民族との「和解」—」(『オーストラリア研究』第13号、2001年3月)、「「聖地の保全」をめぐる政治的対話—オーストラリア・アボリジニの鉱山開発反対運動を事例として—」(『国際政治』第129号、2002年2月)、「国民国家のアボリジニ」小山修三・窪田幸子編『多文化国家の先住民—オーストラリア・アボリジニの現在—』(世界思想社、2002年)など。

関根政美(せきね・まさみ)
慶應義塾大学法学部教授
1951年生まれ。慶應義塾大学大学院社会学研究科社会学専攻博士課程修了(社会学博士)。
主要著作に、『概説オーストラリア史』(共著、有斐閣、1988年)、『マルチカルチュラル・オーストラリア』(成文堂、1989年)、『多文化主義社会の到来』(朝日新聞社、2000年)、『東南・南アジア・オセアニア』(共著、自由国民社、2001年)など。

目次

総 論 関根政美・山本信人

第1部 海域アジアの国際関係

第1章 アジアにおける地域主義の展開
大庭三枝
はじめに
一 アジアにおける地域主義の沿革
1 自立への希求と冷戦の影
2 主体としての東南アジア地域形成を目指して
3 アジア太平洋地域の浮上とその背景
二 冷戦の終結と重層的地域主義の展開
1 冷戦のインパクトとアジア太平洋地域主義
2 ASEAN協力の深化と拡大
3 東アジア地域主義の萌芽とその背景
三 さらなる重層化の進行
1 アジア通貨危機の衝撃と新たな潮流
2 ASEAN +3の限界とさまざまな地域主義の浮上
3 FTA締結の動きと地域主義の動揺
4 テロの影響による安全保障環境の変化と地域主義
おわりに:地域主義のゆくえと日本の進路

第2章 経済自由化の政治経済学
末廣 昭
はじめに
一 規制の経済、レント、競争的クライアント関係
二 「経済の自由化」と「ワシントン・コンセンサス」の世代交替
三 経済自由化と経済危機のシークエンス:東アジアとラテンアメリカ  
四 経済のグローバル化と自由化への反発:「市民社会モデル」の限界  

第3章 海域アジアの安全保障
——海賊問題をめぐる地域協力を中心に 高埜 健
はじめに——「海域アジア」のイメージ
一 海域アジアの安全保障環境
二 海賊問題の概要
1 海賊問題の数量・規模とその性質
2 海賊問題増大の背景
三 海賊対策をめぐる地域協力
1 海賊の定義と取り締まり上の問題
2 海賊対策をめぐる地域協力
3 ASEANにおける海賊問題の安全保障問題化
おわりに——「繁栄と平和の海」を求めて

第4章 越境移動の構図
——西セレベス海におけるサマ人と国家 長津一史
はじめに
一 サマ人と西セレベス海 
二 国家の枠組み  
1 スルー諸島 
2 北ボルネオ  
3 東カリマンタン  
4 西セレベス海における植民地統治  
三 戦前期サマ人の越境移動  
1 植民地の拡大とサマ人の移動  
2 戦前期の移住——植民地経済と学校教育をめぐって  
3 植民地状況下の越境交易——密貿易のはじまり  
四 独立国家への移行期の越境移動——コプラ密貿易の時代  
1 戦後期の移住  
2 越境交易——コプラ密貿易を中心に  
3 コプラ密貿易の国家的文脈  
五 越境移動の歴史的構図——結びにかえて  

第2部 海域アジアの政治社会

第5章 東南アジアと「民主化の波」
武田康裕
はじめに——民主化の形式と実質
一 民主的移行を実現した国家群
1 体制移行の様相
2 社会の民主化圧力と軍部の体制離脱
3 国連暫定統治下の民主的移行
二 民主主義体制を維持した国家群
1 擬似民主主義体制への変容——マレーシアとシンガポール
2 経済成長と政府党体制
3 業績悪化と政党システム
三 非民主主義体制を維持した国家群
1 体制内変動の様相
2 脆弱な民主化勢力
3 軍部と体制の一体化
おわりに  

第6章 フィリピン政治と民主主義
川中 豪
はじめに
一 民主化の歴史的意味
1 アメリカ植民地支配とフィリピンの民主主義
2 民主化後の制度設計
二 民主化後の制度と政治過程
1 政治の民主化と経済の自由化
2 民主化後の政治過程
三 民主主義の定着
1 民主主義の定着と異議申し立て政治
2 エドサⅡ
おわりに

第7章 ベトナムの社会主義体制
白石昌也
はじめに
一 ドイモイ路線の採択
二 保守派と改革派の結束
三 民族革命の勝利と共産党支配の正統性
四 ドイモイの成果と共産党支配の正統性
五 体制批判勢力の弱体性
六 アジア太平洋の地域的寛容性
おわりに  

第8章 マハティール体制の確立過程
——マレーシアにおける政治体制とリーダーシップ 金子芳樹
はじめに
一 伝統的支配への挑戦
1 伝統的支配層と「平民宰相」
2 スルタン・国王の権限に関する憲法改正問題
二 党内権力闘争
1 UMNOの内部分裂
2 UMNO非合法判決と反主流派の排除
三 社会統制の強化
1 1987年10月27日の衝撃
2 大量逮捕事件の性格と背景
3 権威主義への旋回
四 司法の支配
1 司法の独立性
2 最高裁判事罷免問題
3 リベラル派の切り崩し
おわりに

第9章 排除された市民の再構成
——インドネシア国家と華人系住民 山本信人
はじめに
一 同化・隔離・プリ=ノンプリ
二 1990年代の政策・社会変化と暴動略史
三 反「中国人」暴動の実体
四 華人の主体的政治化
五 ジャカルタ暴動の衝撃・知識人の焦り
六 政策転換と華人の再定位——まとめにかえて

第3部 海域アジアのなかのオーストラリア

第10章 太平洋島嶼フォーラムと東アジア
小柏葉子
はじめに
一 変化の背景
1 太平洋島嶼諸国と貿易優遇措置
2 貿易自由化の到来
3 東アジアへ  
二 日本との関係強化  
1 ドナーからパートナーへ  
2 停滞する関係  
3 すれちがう思惑 
三 北東アジアとの関係構築
1 中国
2 台湾
3 韓国
四 東南アジアへの接近
1 ASEAN  
2 マレーシア
3 フィリピン
4 インドネシア
おわりに

第11章 日豪関係のひず歪み
——オーストラリアの太平洋戦争 鎌田真弓
はじめに  
一 アンザック・デイとガリポリの神話化 
1 「アンザック魂」の創出 
2 アンザック・デイの再興  
二 太平洋戦争の集団的記憶:ココダとPOW 
1 ココダの神話化 
2 戦争捕虜(POW)とアンザック魂
三 日豪関係の中の太平洋戦争
おわりに  

第12章 海域アジアとオーストラリア
——アジアの副保安官を目指すハワード首相? 関根政美
はじめに
一 海域アジアのなかのオーストラリア——第二次世界大戦以前  
1 孤立した大陸オーストラリア  
2 白豪主義と鎖国国家オーストラリアの成立  
二 海域アジアのなかのオーストラリア——第二次世界大戦以後  
1 アジア・太平洋国家化を目指すオーストラリア——戦後60年の軌跡  
2 加速するアジア・太平洋国家への動き——ホーク、キーティング首相の時代  
三 海域アジアにおける多文化主義社会を目指すオーストラリア  
1 シドニーオリンピック開会式アトラクションが象徴するもの 
2 多文化主義オーストラリアの軌跡——白豪主義終焉以後  
3 共和国運動とマボ判決の登場  
四 アジア・太平洋の副保安官を目指すハワード政権?  
1 アジア・太平洋国家化にブレーキをかけるハワード政権  
2 ハンソン論争とハワード首相  
3 共和国になりそこねたオーストラリア  
4 21世紀のハワード政権  
おわりに——漂流する孤独なオーストラリア  

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