大学出版部協会

 

危機の朝鮮半島

現代東アジアと日本3
危機の朝鮮半島

A5判 346ページ 上製
定価:3,400円+税
ISBN978-4-7664-1043-3(4-7664-1043-2) C3031
奥付の初版発行年月:2006年12月

内容紹介

「現代東アジアと日本」シリーズ、ついに完結。
わが国における朝鮮半島政治研究の第一人者、小此木政夫の編集により、日韓の大学、シンクタンク、官庁から参集した執筆陣が、変動いちじるしい朝鮮半島情勢について、最新のミサイル実験に関する事態までをカバーしつつ、朝鮮半島をめぐる危機の実態と展望を明らかにする。

東アジア浮沈の鍵を握る危機の実態と展望。
日本は外交目標をどう定めるべきか? 目まぐるしく変動する朝鮮半島情勢について、示唆に富んだ視野の広い分析を展開する。


小此木政夫(おこのぎ まさお)
慶應義塾大学法学部教授。
1945年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。
主要著作に、『朝鮮戦争—米国の介入過程』(中央公論社、1986年)、『ポスト冷戦の朝鮮半島』(編著)(日本国際問題研究所、1994年)、『市場・国家・国際体制』(共編著)(慶應義塾大学出版会、2001年)など。

中山俊宏(なかやま としひろ)
津田塾大学国際関係学科助教授。
1967年生まれ。青山学院大学大学院国際政治学研究科政治学専攻博士課程修了。博士(国際政治学)。
主要著作に、『米国民民主党—2008年政権奪回への課題』(共著)(日本国際問題研究所、2005年)、『帝国アメリカのイメージ—国際社会との広がるギャップ』(共著)(早稲田大学出版部、2004年)、『G・W・ブッシュ政権とアメリカの保守勢力—共和党の分析』共著)(日本国際問題研究所、2003年)など。

倉田秀也(くらた ひでや)
杏林大学総合政策学部教授。
1961年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。
主要著作に、『朝鮮半島と国際政治—冷戦の展開と変容』(共編著)(慶應義塾大学出版会、2005年)、『ニクソン訪中と冷戦構造の変容—米中接近の衝撃と周辺諸国』(共編著)(慶應義塾大学出版会、2006年)、『戦後日韓関係の展開』(共著)(慶應義塾大学出版会、2005年)など。

道下徳成(みちした なるしげ)
防衛庁防衛研究所主任研究官。
1965年生まれ。米国ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)博士課程修了。博士(国際関係学)。
主要著作に、”Calculated Adventurism: North Korea’s Military-Diplomatic Campaigns,” The Korean journal of Defense Analysis, vol. 16, No. 2(Fall, 2004) 、赤根谷達雄・落合浩太郎編『日本の安全保障』(共著)(有斐閣、2004年)、『現代戦略論—戦争は政治の手段か』(共著)(勁草書房、200年)など。

阪田恭代(さかた やすよ)
神田外語大学外国語学部教授。
1966年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究研究科後期博士課程単位取得退学。
主要著作に、『朝鮮戦争—休戦50周年の検証・半島の内と外から』(共著)(慶應義塾大学出版会、2003年)、『9.11後のアメリカと世界』(有信堂、2004年)、“Origins of the U.S.-ROK Alliance as a ‘Regional Alliance’-U.S. Policy on Asia-Pacific Collective Security and the formation of the U.S.-ROK Alliance, 1953-54,” 韓国軍史編纂研究所編『軍史』57号(2005年)など。

張 済国(チャン ジェイグック)
韓国・東西大学校国際関係学部教授。
1964年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了。政治学博士。
主要著作に、『新韓日関係論』(共著)(図書出版オルム、2005年)(韓国語)、「冷戦後の朝鮮半島」久保文明・赤木完爾編『アメリカと東アジア』(慶應義塾大学出版会、2004年)など。

平岩俊司(ひらいわ しゅんじ)
静岡県立大学大学院国際関係学研究科教授。
1960年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了。博士(法学)。
主要著作に、『朝鮮半島と国際政治—冷戦の展開と変容』(共編著)(慶應義塾大学出版会、2005年)、「冷戦後の朝鮮半島—冷戦期対立構造の呪縛」長谷川雄一・高杉忠明編著『新版現代の国際政治—冷戦後の日本外交を考える視角』(ミネルヴァ書房、2002年)、「北朝鮮にとっての中国—中朝友好協力相互援助条約締結にいたる認識共有過程」『東亜』No.376(1998年10月)など。

斎藤元秀(さいとう もとひで)
杏林大学総合政策学部教授。
1948年生まれ。コロンビア大学大学院博士課程修了。Ph.D.(国際関係論)。
主要著作に、『ロシア外交政策』(勁草書房、2004年)、『東亜細亜国際関係のダイナミズム』(編)(東洋経済新報社、1999年)、『テロの時代と新世界秩序』(共編著)(時事通信社、2002年)など。

室岡鉄夫(むろおか てつお)
防衛庁防衛研究所教官。
1959年生まれ。韓国・延世大学校国際学大学院修士課程修了。
主要著作に、「日本における北朝鮮研究」『現代韓国朝鮮研究』1号(現代韓国朝鮮学会、2001年)『韓国学のすべて』(共著)(新書館。2002年)など。

野中健一(のなか けんいち)
島根県立大学北東アジア地域研究センター助手。
1973年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。
主要著作に、「韓国における労働排除の権力構造」『法学政治学論究』56号(2003年)、「韓国における労働政治の構造的問題—労使協議制の機能不全」『法学政治学論究』60号(2004年)、「韓国におけるポスト国家コーポラティズム」鐸木昌之・平岩俊司・倉田秀也編『朝鮮半島と国際政治—冷戦の展開と変容』(慶應義塾大学出版会、2005年)など。

岩本卓也(いわもと たくや)
外務省朝鮮半島専門官。
1961年生まれ。韓国・高麗大学校博士課程修了。経済学博士。
主要著作に、「韓国の所得分配の不平等化と資産分配」『アジア経済』32巻2号(アジア経済研究所、1991年)、「韓国および台湾経済の比較分析」『外部商調査月報』No.1 (1992年)、「金正日体制の確立と内政及び外交での変化」『東亜』No. 397(霞山会、2000年)など。

礒崎敦仁(いそざき あつひと)
慶應義塾大学法学部非常勤講師。
1975年生まれ。韓国・ソウル大学校大学院外交学科博士課程中退。
主要著作に、「北朝鮮住民の意識動態—忠誠心の行方」小此木政夫編『韓国における市民意識の動態』(慶應義塾大学出版会、2004年)、「金正日体制の出帆—『苦難の行軍』から『強盗大国』論へ」鐸木昌之・平岩俊司・倉田秀也編『朝鮮半島と国際政治—冷戦の展開と変容』(慶應義塾大学出版会、2005年)、「北朝鮮政治体制論の研究動向と『スルタン主義』」『季報国際情勢』76号(2006年)など。

李 泳采(イ ヨンエ)
1971年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程在学中。
主要著作に、「日朝漁業暫定合意の歴史と現状」鐸木昌之・平岩俊司・倉田秀也編『朝鮮半島と国際政治—冷戦の展開と変容』(慶應義塾大学出版会、2005年)、『なるほど! これが韓国か—名言・流行語・造語で知る現代史』(共著)(朝日新聞社、2006年)など。

目次

巻頭言

総論   小此木政夫 

第1部 危機管理と紛争予防
第1章 「ならず者国家」と条件つき関与政策
 ——米国の対北朝鮮政策を中心に   中山俊宏
 はじめに
 一 関与政策としての米朝枠組み合意
  1 枠組み合意とインセンティブ
  2 関与政策に対する関心の高まり
  3 「一方的関与政策」と「条件つき関与政策」
 二 関与政策を導入するための条件
  1 前提条件
  2 北朝鮮に対する「条件つき関与政策」の導入
  3 「危機の記憶」の重要性
 三 関与政策を機能させるための条件
  1 継続的な維持努力の必要性
  2 枠組み合意が直面した問題
  3 枠組み合意の限界とその可能性
 おわりに

第2章 南北首脳会談後の平和体制樹立問題
 ——制度的措置と軍事的措置の交錯   倉田秀也
 はじめに——2つの非対称関係
 一 南北和平プロセスの後退——「南北基本合意書」再考
  1 制度的「取引」の限界——国連軍司令部の維持
  2 軍事的措置の限界——CBMの形態と「3軍共同委員会」提案
 二 南北首脳会談と「米朝共同コミュニケ」——「低い段階の連邦制」の合意
 三 ブッシュ「政策見直し」と平和体制樹立問題——「規制措置」の先行
 四 「先制行動論」と平和体制樹立問題——新たな核問題と「平和繁栄政策」
  1 北朝鮮の米朝不可侵条約提案——「新平和保障体系」との整合性
  2 「平和繁栄政策」と6者会合——「南北当事者原則」への課題
  3 「先制行動論」と在韓米軍再配置計画——一方的兵力引き離し
 おわりに——新たな平和体制樹立問題の文脈
 〔追記〕

第3章 北朝鮮のミサイル外交と各国の対応
 ——核外交との比較の視点から   道下徳成
 はじめに
 一 北朝鮮のミサイル問題
  1 ミサイルの開発状況
  2 ミサイル輸出状況
 二 ミサイル外交への対応
  1 「ミサイル外交」の萌芽
  2 ノドンおよびファソンの飛翔実験——93年5月
  3 ノドン飛翔実験準備——94年5月
  4 第1回米朝ミサイル協議——96年4月
  5 ノドン飛翔実験準備——96年10月
  6 取引材料としてのミサイル——「経済的補償」の要求
  7 テポドン1号発射——98年8月
  8 第3回米朝ミサイル協議——98年10月
  9 テポドン飛翔実験準備——98年11〜12月
  10 第4回米朝ミサイル協議——99年3月
  11 ペリー・プロセスと米朝高官協議
  12 テポドン2号発射準備——99年5〜9月
  13 米朝関係改善の動き
  14 ミサイル外交の副作用
 三 核外交とミサイル外交への対応の比較
  1 脅威の性質
  2 主要アクター
  3 フォーマルな取り決めの有無
  4 防衛手段の有無
 四 過去の教訓と北朝鮮の「第2次核外交」への対応
 〔追記〕テポドン2号を含むミサイル発射——2006年7月
  1 背景 
  2 ミサイル発射の特徴と意義
  3 ミサイル発射の目的
  4 今後の展望

第4章 岐路に立つ米韓同盟
 ——ポスト9.11の米軍変革の中で   阪田恭代
 はじめに
 一 米軍の変革とは?
  1 米軍の変革——21世紀の軍隊へ
  2 在外兵力見直し(Global Defense Posture Review: GPR)
   (1) GPRの開始
   (2) GPRの目的——グローバルかつ機動的な戦力構築
 二 米韓同盟へのインプリケーション
  1 戦略目標の調整
  2 在韓米軍の再編と役割拡大
   (1) 兵力再編
   (2) 基地体系再編
   (3) 指揮関係の効率化
  3 韓国防衛の韓国化と米韓連合防衛体制の改編
  4 住民との摩擦解消
 三 米韓同盟協議——成果と課題
  1 同盟協議の開始と進化
  2 第一ラウンドの成果——在韓米軍再編
   (1) 在韓米軍再配置・縮小計画
   (2) 在韓米軍の戦力向上
   (3) 韓国軍への任務移譲
  3 第二ラウンドの課題——将来の同盟像
   (1) 共通戦略目標の策定
   (2) 在韓米軍の「戦略的柔軟性」
   (3) 指揮関係の調整と戦時作戦統制権の問題
 おわりに

第2部 周辺大国の危機対応
第5章 朝鮮半島危機と米国   張済国
 はじめに
 一 冷戦中の米国の北朝鮮政策の目標
 二 冷戦の終焉と朝鮮半島に対する米国の認識
 三 クリントン政権の北朝鮮政策
  1 拡大関与政策と北朝鮮
  2 米国の国内事情
  3 金大中政権の太陽政策と南北首脳会談
  4 阻害要因
   (1) クリントンの無政策
   (2) 北朝鮮の態度
   (3) IAEAなど国際機構の義務要因
   (4) 韓国政府の牽制
 四 ブッシュ政権の北朝鮮政策
  1 確固たる対外政策観
  2 9.11以前の北朝鮮政策——一般対外政策としての北朝鮮政策
  3 2001年6月の対北朝鮮対話再開提言の意味
  4 9.11以後の安全保障観の変化と深化する北朝鮮政策の一般政策化
  5 阻害要因
   (1) 変化した韓国の対北朝鮮情緒
   (2) イラク問題の長期化
 結論

第6章 朝鮮半島危機と中国   平岩俊司
 はじめに
 一 「唇歯の関係」から「微妙な関係」へ
  1 南北両政権との関係調整——「太陽政策」と中国の朝鮮半島政策
  2 中国にとっての「悪の枢軸」
    ——ブッシュ政権の登場と北朝鮮との微妙な関係
 二 核危機をめぐる中国の朝鮮半島政策
  1 中朝関係の基本構造
  2 基本構造を超える中国の積極姿勢
 三 6者会合と中朝首脳交流
  1 6者会合の不調と金正日訪中
  2 ブッシュ大統領再選と6者会合再開問題
  3 胡錦濤国家主席の訪朝と金正日総書記の訪中
 おわりに——中国の北朝鮮に対する影響力をめぐる2つの誤解

第7章 朝鮮半島危機とロシア   斎藤元秀
 はじめに
 一 ゴルバチョフの「新思考」外交と朝鮮半島政策の転換
 二 エリツィンと第一次朝鮮半島危機
 三 プーチンと第二次朝鮮半島危機
  1 南北朝鮮等距離外交の始動
  2 「9.11」米国同時多発テロの衝撃
  3 第二次朝鮮半島核危機と狂ったシナリオ
  4 6者会合とロシアの関与の後退
  5 あらたな揺さぶり
 四 朝鮮半島の紛争予防とロシア
  1 北朝鮮の核兵器開発とロシアの関与
  2 ミサイル開発とロシア
  3 通常兵器輸出をめぐる消極姿勢
 おわりに

第3部 韓国と北朝鮮
第8章 NSCから青瓦台へ
——韓国・盧武鉉政権における外交・安全保障政策決定中枢の変化   室岡鉄夫 
 はじめに
 一 三層構造と事務処の導入——金大中政権期のNSC
 二 事務処の拡充——盧武鉉政権前半期
  1 制度
  2 人
  3 運用
  4 李鍾●による実権掌握
 三 左右からの挟撃
 四 青瓦台への「転進」
 おわりに

第9章 経済問題としての北朝鮮核開発事態
 ——韓国政府の政策立案環境   野中健一
 序論
 一 韓国政府と外国人投資家
  1 格付け会社の影響力
  2 韓国政府の認識
 二 政府企業関係の「原型」
  1 政府財閥関係
  2 外国人直接投資への警戒
 三 新たな政府企業関係
  1 外資の影響力増大
  2 外国人直接投資活用論
 四 政府の外資対応
 結論——議論のまとめと対韓外交上の検討課題

第10章 体制危機への北朝鮮の対応
 ——内政的文脈から   岩本卓也
 一 体制の維持と危機への対応
  1 強固な体制維持機能
  2 危機への対応
 二 軍事的な脅威への対応——「先軍政治」と体制の生き残り
  1 金正日総書記の「先軍政治」
  2 軍に対する労働党の統制
  3 体制の生き残りと核開発
 三 経済的な危機への対応——「強盛大国」と経済改革
  1 「強盛大国」建設と農業改革
  2 北朝鮮経済の現状と経済管理制度の改革
  3 「宣言」なき経済改革の行方
 四 これからの危機
  1 核問題と経済の復興
  2 体制内の葛藤の増大

第11章 金正日「先軍政治」の本質   礒崎敦仁
 はじめに
 一 「先軍政治」概念の生成
  1 生成過程
  2 背景
   (1) 政治文化
   (2) 社会主義体制崩壊の衝撃
   (3) 軍コンプレックス?
 二 「先軍政治」の論理による国内の変化
  1 国家機関の改編
  2 軍エリートの昇進
  3 国防費比率の上昇
  4 軍部隊視察の強化
  5 その他
 三 「先軍政治」と党・政
 四 「先軍政治」概念の変容
  1 「思想」化
  2 起源の再設定
  3 後継者問題の仮説
 おわりに 

第12章 冷戦終結以降の北朝鮮の対日外交
 ——国家正統性と経済協力のトレードオフを中心に   李 泳 采
 はじめに
 一 冷戦期対日外交政策の持続と変化
  1 在日朝鮮人の帰国事業と絶対的正統性の追求
  2 経済関係の拡大と相対的正統性の追求
 二 冷戦終結以降の対日外交政策の持続と変化
  1 冷戦終結以降の対外政策の特徴
   (1) 対外政策の目標変化と日朝国交正常化政策との連携
   (2) 南北共助を軸に日朝・米朝関係の改善
   (3) 実利社会主義と対外関係改善の連動
  2 冷戦終結以降の対日外交政策の特徴
   (1) 「日本軍国主義の張本人」との直接談判外交
   (2) 日本人拉致の認定と対外政策目標の変化
   (3) 国家正統性と経済協力方式のトレードオフ
 三 冷戦終結以降の対日外交の基本枠組み
  1 統一政策及び対南政策との関係
  2 新しい国家戦略と対日外交政策の関係
 結論


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