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証言 太平洋戦争下の慶應義塾

証言 太平洋戦争下の慶應義塾

B7 332ページ 並製
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-7664-1034-1(4-7664-1034-3) C0020
奥付の初版発行年月:2003年11月 / 発売日:2003年11月上旬

内容紹介

太平洋戦争当時大学に在籍していた、戦争体験者への学生によるインタビューや座談会を証言として伝える、オーラルヒストリーという手法で綴られたアジア太平洋戦争についての記録です。


<編者紹介>
白井 厚(しらい あつし)
慶応義塾大学名誉教授。経済学博士。
著書に『社会思想史断章』(日本経済評論社、1989)、『協同組合論集』(慶應義塾大学出版会、1991)、『大学とアジア太平洋戦争』(編、日本経済評論社、1996)、『共同研究 太平洋戦争と慶應義塾』(監修、慶應義塾大学出版会、1999)、『いま特攻隊の死を考える』(編、岩波ブックレット、2002)など。
訳書にW・ゴドウィン著『政治的正義(財産論)』(陽樹社、1973)、R・オウエン著「社会にかんする新見解」『世界の名著 続8 オウエン サン・シモン フーリエ』(中央公論社、1975)など。

浅羽久美子(あさば くみこ) 東京外国語大学イスパニア語科卒業。
翠川紀子(みどりかわ のりこ) 慶応義塾大学経済学部卒業。
1993年以降共に白井厚教授の研究活動に協力。ゼミナール終了後も継続して共同研究「太平洋戦争と慶応義塾」を支え、「慶応義塾関係戦没者名簿」の作成に従事し現在に至る。

目次

はじめに

I 大学の状況を語るオーラル・ヒストリィ

 慶応の教育と軍隊体験から 石川忠雄
 戦争と慶応義塾の教員たち
 閉鎖社会の危険性
 小泉信三塾長のこと
 軍隊生活の一面
 現在を精一杯生きる 
 働きながら学校へ

 戦時下のアカデミズム——亜細亜研究所を中心に 小池基之
 戦前と戦後の学生
 学説研究から現状分析へ
 慶応義塾大学亜細亜研究所所員となる
 実態調査と著作
 敗戦と結核

 特高の弾圧と痛恨の従軍体験 浅田光輝
 日吉哲学会と三田新聞学会
 三田新聞学会会員の検挙
 殴る蹴るの取り調べ 
 執行猶予中でも研究会結成
 大学はリベラルだった
 小泉先生のこと 
 戦場からの脱出

 藤原工業大学から慶大工学部へ 佐藤豪
 藤原工大の特徴
 谷村豊太郎学部長のこと
 「学徒出陣」と学徒動員
 敗戦後大学へ戻る

 戦時下の三田に学んだ経験から若い諸君へ 神山四郎
「学徒出陣」後は全学講座
 図書館に焼夷弾落下
 福沢を継承した小泉塾長
 軍国主義下の教授と学生
 敗戦前後
 富国強兵の反省

 学び舎の三田から兵舎の三田へ 亀田廣
 予科時代の読書と開戦の報
 学部に進学し、とたんに空襲
 「学徒出陣」と壮行会
 三田キャンパス内の軍隊時代
 戦死者を思えば痛恨の極み

 悔いなき青春、一転ソ連抑留 山下悦三
 高橋誠一郎先生の着物姿
 教授陣と学生の服装
 軍事教練は必須科目
 徴兵検査は落ちこぼれ「戊種」
 勤労動員で河川改修など
 抑留生活でソ連側と交渉

 戦時下の医学部と小泉塾長の大火傷 里吉栄二郎
 そのころの医学部は
 海軍依託学生になる
 免許なしで診療
 小泉塾長の大火傷治療
 空襲で負傷者激増

 敵愾心なき大戦争と生き残りの使命 石井公一郎
 来るべきものが来た
 敵国アメリカのイメージ
 負け戦でも戦う
 生き残りの使命
 戦いが終わって
 戦争は避けられたかもしれぬ


II 戦時中の慶大における学生生活—「学徒出陣」世代が今の学生に語る—
清川泰次・河相真澄・石川滋・神代忠男

学生からの質問 どんな気持で戦争に行ったか 試合で勝つには学問が重要 芸術とは自由それ自身 少人数、制服制帽、女性不在 侵略戦争
か聖戦か 慶大卒業生の特徴


III 戦時中の『三田新聞』を語る—当時の学生記者の座談会—
浅田光輝・小林幸雄・白水英一郎・中野宏記・七島柏・石黒清朗・安藤丞爾・小川道明


「縮刷版」の欠号発見を機会に——戦時中の発行状況
『三田新聞』とのかかわり
 学校からカネをもらってはダメ
 大学新聞は社会批判のメディア
 学生記者も逮捕される
 特高警察がルームに常駐
 軍国の風潮とリベラリズム
「学徒出陣」特集号をめぐって
 ついに新聞休刊へ
 敗戦、そして苦心惨憺復刊へ

付論 丸山真男の福沢論と『三田新聞』
 丸山の「福沢に於ける秩序と人間」
 時流に抗した塾生は誰か
 林基教授の回想

キーワード解説


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