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時空を超える物語の系譜メルヘンの履歴書

Keio UP選書
メルヘンの履歴書 時空を超える物語の系譜

B7 280ページ 並製
価格:2,420円 (消費税:220円)
ISBN978-4-7664-0662-7(4-7664-0662-1) C1398
奥付の初版発行年月:1997年01月 / 発売日:1997年01月上旬

内容紹介

メルヘンという言葉の誕生の地であるドイツ語圏の歴史にそって、古い民間メルヘンから現代の作家までの作品を紹介しながら、その豊かな特性を探っていく。ユニークなドイツ・メルヘンの世界。


宮下 啓三(みやした けいぞう)
慶應義塾大学文学部教授。1936年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。ドイツ文学を研究。著書に『スイス・アルプス風土記』、『ウィリアム・テル伝説』、『十八世紀ドイツ戯曲のブランクヴァース』、『700歳のスイス』他、訳書にムシュク『兎の夏』、フリーデル『近代文化史』他。

目次

まえがき
メルヘンという言葉が愛される理由
ムードと実体の間の距離
メルヘンという言葉の故郷
本書の前身である『メルヘン案内』について
文字の世界ばかりではない

第1章 メルヘンとは何か
桃太郎も赤ずきんもマッチ売りの少女もメルヘンの仲間
さまざまな訳語
なぜメルヘンが克服されなくてはならないのか
『白雪姫』の日本語版絵物語の点検
美しい絵本の功罪
あたらしいものほど良いという錯覚
メルヘン再考の時点

第2章 合理主義とファンタジー
メルヘンという言葉のつかわれ方
メルヘンという言葉の歴史
騎士ドン・シルビオの冒険
ヴィーラントとシェイクスピア
合理的・人間的に解釈される奇蹟
ふたたびメルヘンという言葉について

第3章 道徳的教訓とたわむれ
民間メルヘンの最初の収集者
『リヒルデ』のあらすじ
合理化されたモチーフと寛容の道徳
たわむれ心——ゲーテとメルヘン
未来のメルヘン——世紀末の幻影

第4章 世界観になたメルヘン
ロマン主義の時代
ティーク——ロマン主義最初のメルヘン作家
金髪のエックベルトのメルヘン
ロマン主義を象徴する『青い花』
『ヒアシンスと薔薇の花のメルヘン』
アイヒェンドルフとブレンターノ

第5章 現実とのかかわり
メルヘンの三種類
オンディーヌとウンディーネ
喪失の悲劇——『影をなくした男』
幻想と怪奇
女王ファンタジーと娘メルヘン

第6章 メルヘン・ア・ラ・グリム(グリム風のメルヘン)
グリム兄弟のメルヘン収集
メルヘンと童話の関係
白雪姫を殺そうとする実の母
グリム風のメルヘン
グリム・メルヘンの国際性
グリム兄弟のメルヘンをめぐる議論
児童教育にちての賛否両論

第7章 絶望と風刺と虚無
救いのないメルヘン
詩人ハイネの場合
アンデルセンの場合
かわいそうなマッチ売りの少女が見たもの
メルヘンに向かない時代
メルヘンの死?——『第六七二夜のメルヘン』
十九世紀最後の年に出版されたリルケの短編集

第8章 劇場の舞台の上で
ウィーン民衆劇の舞台
妖精メルヘン劇の歴史的背景
メルヘン劇の中の人間嫌い
宮廷劇場で演じられたメルヘン
カスパールとハンネレ
音楽とバレエからのドイツ・メルヘン入門

第9章 裏返されたメルヘン
最後のメルヘン作家たち
ミニドラマ『いばら姫』
ローベルト・ヴァルザーの「ドラモレッテ」
終わりからの始まり
精神分析とメルヘン

第10章 二十世紀の創作メルヘン
ヘルマン・ヘッセ
大人のメルヘン——戦争と貧困
カフカの反メルヘン世界
ナチズムの光と影の中で
近代の魔法使い——ラジオ
自閉症に陥った水
すべての貧しい不幸な子どもたちのために
ヴィーヒェルト作『老いた魔法使い』

第11章 現代のドイツ・メルヘン
社会風刺に傾くメルヘン
『ヤギと七匹の子オオカミ』
大人に歓迎された児童メルヘン
社会主義国の中でのメルヘン
隠し味となっているメルヘンを読み取る
リュームコルフの純文学畑のメルヘン
大きな長編と小さな短編について語る結末

第12章 ドイツ・メルヘンの特性
メルヘン観の浮き沈み
なぜ、ドイツでメルヘンが?
ドイツ文学の一つの体質
今一度、メルヘンとは?

訳書リスト


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