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特集 水都ヴェネツィアの再考察水都学 I

水都学 I 特集 水都ヴェネツィアの再考察

A5判 302ページ 並製
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-588-78021-9 C1320
奥付の初版発行年月:2013年03月 / 発売日:2013年04月上旬

内容紹介

水と都市と人びとのかかわりや、その全体的なありようは地域や国によって多種多様であり、それぞれ固有の長い歴史をもっている。これまで水都や水辺空間については、歴史学、建築学、人類学、社会学、環境工学などの分野でも個別具体的な研究が数多く蓄積されてきた。本書は、それらの学問領域の垣根を越えて国際比較するための新しいアプローチ、「水都学」を提唱する。

著者プロフィール

陣内 秀信(ジンナイ ヒデノブ)

一九四七年生まれ。法政大学デザイン工学部教授。専門はイタリア都市史・建築史。パレルモ大学、トレント大学、ローマ大学にて契約教授を勤めた。主要著書に『東京の空間人類学』(筑摩書房、一九八五年)、『都市を読む*イタリア』(法政大学出版局、一九八八年)、『ヴェネツィア──水上の迷宮都市』(講談社、一九九二年)、『都市と人間』(岩波書店、一九九三年)、『地中海世界の都市と住居』(山川出版社、二○○七年)、『イタリア海洋都市の精神』(講談社、二○○八年)、『イタリアの街角から──スローシティを歩く』(弦書房、二○一○年)。

高村 雅彦(タカムラ マサヒコ)

一九六四年生まれ。法政大学デザイン工学部教授。専門はアジア都市史・建築史。前田工学賞(一九九九年)、建築史学会賞(二○○○年)受賞。主な編著書は、『タイの水辺都市──天使の都を中心に』(法政大学出版局、二○一一年)、『アジアの都市住宅』(勉誠出版、二○○五年)、『中国江南の都市とくらし──水のまちの環境形成』、『中国の都市空間を読む』(いずれも山川出版社、二○○○年)、『中国の水郷都市──蘇州と周辺の水の文化』(鹿島出版会、一九九三年)。

上記内容は本書刊行時のものです。

[執筆者一覧]

陣内 秀信(ジンナイ ヒデノブ) *編者

高村 雅彦(タカムラ マサヒコ) *編者

ジョルジオ・ジャニギアン(Giorgio Gianighian)
一九四四年生まれ。ヴェネツィア建築大学教授。専門は都市史・建築史および建築・都市・風景の保存学。同時に修復建築家として、サン・マルコ広場の時計塔の修復をはじめ、ヴェネツィア市内で数多くの住宅の修復・再生に従事。欧米各地で修復の理念・技術を教育指導。主要著書にDietro i palazzi (Arsenale,1984), Venezia come (Gambier Keller, 2010), Il restauro in Giapponearchitetture, citta, paesaggi (Alinea, 2011).

パオラ・パヴァニーニ(Paola Pavanini)
ヴェネツィア共和国の歴史を専門とする歴史家。一九八四年にヴェネツィア市主催の展覧会Dietro i palazzi をジョルジオ・ジャニギアンと共同で企画製作。その図録がArsenale から刊行された。他の主要著書に、Venezia come (Gambier Keller, 2010). ヴェネツィアの政治史・社会史・都市史に関する論文を多数執筆。

樋渡 彩(ヒワタシ アヤ)
一九八二年生まれ。日本学術振興会特別研究員。主要論文に「近代ヴェネツィアにおける都市発展と舟運が果たした役割」(『地中海学研究』XXXV、地中海学会、二○一二年)、陣内秀信・樋渡彩「水の都ヴェネツィアの危機」(『二一世紀の環境とエネルギーを考える』時事通信社、二○○九年)。

水田 恒樹(ミズタ ツネキ)
一九四九年生まれ。法政大学大学院デザイン工学研究科博士課程。主要論文に「近世・近代における富山藩領の土地利用と治水に関する研究」(『日本建築学会計画系論文集』第六七六号、日本建築学会、二○一二年六月)、「大垣の近世運河と近代運河に関する研究」(『日本建築学会計画系論文集』第六八六号、日本建築学会、二○一三年四月)。

出口 清孝(デグチ キヨタカ)
一九五二年生まれ。法政大学デザイン工学部教授。主要論文に出口清孝ほか「乾暑地域におけるヴァナキュラー建築の温熱環境に関する研究──採風塔の採風方式と貯水施設の採風効果の検証」(『日本建築学会環境系論文集』第六五七号、日本建築学会、二○一○年一一月)、出口清孝ほか「インドネシアトバ・バタック族の伝統的住居の特徴および風・温熱環境に関する工夫──現地調査および二棟の比較実測による検討」(『民俗建築』第一三八号、日本民俗建築学会、二○一○年一一月)。

西岡 郁乃(ニシオカ イクノ)
一九八五年生まれ。株式会社大京アステージ。学生時代から深川の漁師町を精力的に研究。それを修士論文「深川における漁師町の形成と変容」としてまとめる。本論文はその成果の一部である。

根岸 博之(ネギシ ヒロユキ)
一九八五年生まれ。江東区中川船番所資料館職員。主要業績に根岸博之ほか「いにしえの東京を探しに、古代武蔵の中心をめぐる」陣内秀信・三浦展編著『中央線がなかったら 見えてくる東京の古層』(NTT出版、二○一二年)、「場所を読み解く都市教育プログラムに関する考察 子どもを対象とした実践的活動を通して」(『建築社会システム 学術講演梗概集』日本建築学会、二○一一年八月)。

目次

  『水都学』刊行にあたって (陣内秀信)

特集 水都ヴェネツィアの再考察
■論文
ヴェネツィア──都市の建設過程と真水の確保 (ジョルジョ・ジャニギアン/パオラ・パヴァニーニ)
東京に映し出されたヴェネツィアのイメージ (陣内秀信)
一五世紀末ヤコポ・デ・バルバリによる鳥瞰図(樋渡彩)
■研究動向
水都ヴェネツィア研究史 (樋渡彩)

ラウンドテーブル 水都学とは
■巻頭論文
「水都学」をめざして (陣内秀信)
〈討論〉水都学とは (陣内秀信・伊藤毅・高村雅彦・出口清孝・宮下清栄・石神隆)

水都を読む
■論文
新潟の都市形成に河川の活動が与えた影響 (水田恒樹)
■研究報告
モロッコ・オアシス都市のフィールド調査 (出口清孝)
■研究ノート
深川における漁師町の形成と変容 (西岡郁乃)
Slowater City という都市ヴィジョン──二○五○年水の都市・東京を描く (根岸博之)

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■書評・新刊紹介
佐川美加 著『パリが沈んだ日──セーヌ川の洪水史』 (水田恒樹)
久保田稔・竹村公太郎・三浦裕二・江上和也 編・著『運河と閘門──水の道を支えたテクノロジー』 (長屋静子)

 編集後記 (高村雅彦)
 著者略歴


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