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東京の職業紹介所をめぐる人々近代都市の下層社会

サピエンティア49
近代都市の下層社会 東京の職業紹介所をめぐる人々

四六判 288ページ 上製
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-588-60349-5 C3321
奥付の初版発行年月:2016年10月 / 発売日:2016年10月下旬

内容紹介

明治から大正にかけて、近代化の進む東京には全国から人が集まってきた。彼らは住居近くの職業紹介所を利用してより良い仕事を探すが、技術を持たない人々が就けるのは、ほとんどが日雇労働や女中などだった。江戸時代の流れを組む口入屋から、宗教団体による慈善事業、西欧を手本とした公立の紹介所まで、各事業の成立と展開、国や自治体の政策などを体系的に検討し、下層社会が拡大した経緯を追う。

著者プロフィール

町田 祐一(マチダ ユウイチ)

1982年、東京都生。日本大学大学院文学研究科日本史専攻博士後期課程修了。博士(文学)。日本大学文理学部助教を経て、現在、日本大学生産工学部助教。
主要著作:『近代日本と「高等遊民」―─社会問題化する知識青年層』(吉川弘文館、2010年)、『近代日本の就職難物語──「高等遊民」になるけれど』(吉川弘文館、2016年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 職業紹介所による就業
 1 新聞記者の注目する施設
 2 近代化と職業紹介事業
 3 本書の構成

第1章 近代化と口入業者の変質
 1 自由営業と口入屋
 2 裏の顔を持つ口入屋
 3 風紀問題と警察の介入

第2章 産業化と日雇周旋の拡大
 1 親方の営利事業化
 2 日雇終戦の組織化
 3 地方へ送られる労働者たち

第3章 情報化と職業案内所の登場
 1 求人情報を売るものたち
 2 新手のビジネスの闇
 3 警察の対決策、規制化

第4章 貧困問題と無料宿泊所の設立
 1 職業紹介を行う宿泊所
 2 感化救済事業と自立への試み
 3 大正時代初期にかけての事業

第5章 苦学生を救う基督教救世軍労働寄宿舎
 1 労働を前提とする寄宿舎
 2 感化救済事業と施設の増設
 3 工場街への設置と事業の課題

第6章 三つの公益事業の試み
 1 基督教青年会の人事相談部
 2 浄土宗の労働共済会
 3 非宗教・非営利の東京模範紹介所

第7章 公設東京市職業紹介所の誕生
 1 西欧の公益事業と「一等国」の体面
 2 都市貧困層のための職業紹介所
 3 貧困への対応と地盤作り

終章 職業紹介所の行方
 1 近代東京の職業紹介事業
 2 施設が注目される時代

あとがき
索引


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