大学出版部協会

 

ごぼう

ものと人間の文化史170
ごぼう

四六判 276ページ 上製
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-588-21701-2 C0320
奥付の初版発行年月:2015年06月 / 発売日:2015年06月中旬

内容紹介

ダイコンやカブと並び大陸から渡来した北方系野菜であるごぼうは、焼畑農耕で育てられ、わが国固有の蔬菜として発展した。各地の風土のなかで固有の品種が生まれ、独特の調理法が考案されて、和食に欠かせない食材として親しまれてきた。そのルーツを各地の神饌や祭り、儀礼に探り、わが国食文化に色濃く残る「稲作以前」の農耕文化の痕跡を浮き彫りにし、和食文化の源流に迫る。

著者プロフィール

冨岡 典子(トミオカ ノリコ)

1947年石川県生まれ。奈良教育大学大学院教育学研究科修士課程修了。博士(学術)。畿央大学助教授、帝塚山大学非常勤講師、近畿大学非常勤講師を歴任。
著書:『大和の食文化──日本の食のルーツをたずねて』(奈良新聞社、2005年)、『出会い──大和の味』(共著、奈良新聞社、2007年)、『まほろば巡礼』(共著、小学館、2008年)、『日本の食文化──その伝承と食の教育』(共著、アイ・ケイコーポレーション、2009年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第一章 ごぼう食文化のはじまり
ごぼうの日本への渡来時期/ごぼうの伝播経路

第二章 ごぼう利用の歴史
中国におけるごぼうの利用/朝鮮半島におけるごぼうの利用/日本におけるごぼうの利用

第三章 ごぼうの名産品・特産物をたずねて
越前白茎ごぼう(福井県坂井市春江町)/八幡ごぼう(京都府八幡市)/堀川ごぼう(京都市左京区)/大浦ごぼう(千葉県匝瑳市大浦地区)/宇陀ごぼう(奈良県宇陀市)/立川ごぼう(福島県会津坂下町)/島ごぼう(沖縄県八重瀬町)/菊ごぼう(岐阜県中津川市)/浜ごぼう(高知県室戸岬町椎名地区)

第四章 ごぼう祭りの伝統
祭り/ごぼう祭り/「五穀豊穣」を祈念するごぼう

第五章 「ごぼう」の儀礼にみる畑作文化
「稲作以前」の縄文の農耕論/ごぼう・大豆・大根・さといも・こんにゃくが儀礼食物になる祭りの諸相/近畿圏とその周辺は北方系作物と南方系作物が混在する農耕文化圏

第六章 儀礼食物「ごぼう」に日本料理の原点をみる
予祝・収穫儀礼の「牛蒡御供」/儀礼食物「ごぼう」の調理法/大豆利用の意味/「牛蒡御供」(畑作物)から「雑煮餅・くるみ餅」(稲作物)への移行

第七章 焼畑農耕儀礼から発達した「田楽」料理
奈良県山間部地域の予祝・収穫儀礼/「大豆」の儀礼から「味噌」の調味料文化への移行/「田楽」料理は焼畑農耕儀礼が起源/儀礼食物から郷土料理へ

第八章 ごぼう料理の形成から発展へ
料理文化の成熟とごぼうの名産品の産出/江戸時代の料理書にみるごぼうの料理/「食物番付」にみるごぼうの料理──小結「きんぴらごぼう」

第九章 ごぼう料理の地域的分布と食文化
ごぼう料理の地域性/日本各地に伝承されるごぼう料理/「山ごぼう」と「浜ごぼう」の利用

第十章 ごぼうの薬効と栄養
薬用としての「悪実」/民間に伝わるごぼうの薬効と利用法/江戸時代の本草書にみるごぼうの薬効と利用法/『食用簡便』にみるごぼうの料理/ごぼうの栄養/機能性食品としてのごぼうの未来

第十一章 ごぼうを通してみる日本食文化の特徴
ユネスコ無形文化遺産になった「和食」/日本食文化の本質/神饌から発達した料理文化/「音を食べる」日本人/健康と長寿を願う「ごぼう祭り」


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