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天・化・時コスモロギア

シリーズ・キーワードで読む中国古典1
コスモロギア 天・化・時

四六判 218ページ 上製
価格:2,420円 (消費税:220円)
ISBN978-4-588-10031-4 C1310
奥付の初版発行年月:2015年09月 / 発売日:2015年09月上旬

内容紹介

本巻では、天・化・時の三つの概念に焦点を当てて、中国の宇宙論的想像力であるコスモロギアを概観していく。人間は天に大きく規定されながらもそれをはみ出し、変化に翻弄されながらも変化を統御し、時宜を得た判断を行って、この世界に善を実現しようとするものである。人間世界を規定する条件は何か。古典による転回を行いつつ、「近代」そのものを問い直し、現在の「知」について批評的であろうとする。新シリーズ、待望の第一巻刊行。

著者プロフィール

中島 隆博(ナカジマ タカヒロ)

東京大学東洋文化研究所教授。専門は中国哲学・比較哲学。主な著作・翻訳に、『悪の哲学──中国哲学の想像力』(筑摩書房、2012)、『共生のプラクシス──国家と宗教』(東京大学出版会、2011)、『荘子──鶏となって時を告げよ』(岩波書店、2009)、アンヌ・チャン『中国思想史』(共訳、知泉書館、2010)など。

本間 次彦(ホンマ ツギヒコ)

明治大学政治経済学部/大学院教養デザイン研究科教授。専門は中国前近代思想。主な著作・翻訳に、『アジア学への誘い──国際地域の社会科学Ⅲ』(共著、明治大学政治経済学部創設百周年記念叢書刊行委員会、2008)、「再編と多様化、または、新たな主体の発明──王夫之研究の現状と課題」(『中国──社会と文化』24、2009)、「聖人と赤子のさきわう世界へ──羅近溪新論」(『明治大学教養論集』443、2009)、B. A. エルマン『哲学から文献学へ──後期帝政中国における社会と知の変動』(共訳、知泉書館、2014)など。

林 文孝(ハヤシ フミタカ)

立教大学文学部教授。専門は中国哲学。主な著作・翻訳に、『「封建」・「郡県」再考──東アジア社会体制論の深層』(共著、思文閣出版、2006)、『比較史のアジア──所有・契約・市場・公正』(イスラ──ム地域研究叢書4、共著、東京大学出版会、2004)、「耿極『王制管窺』の封建論」(『中国哲学研究』24、2009)、B. A. エルマン『哲学から文献学へ──後期帝政中国における社会と知の変動』(共訳、知泉書館、2014)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

総説 (中島隆博)
1 天、化、時
2 各章概観

第一章 天について (中島隆博)
1 孔子──天を怨まず
2 墨子──天の欲することをなす
3 孟子──人から天への通路
4 荘子──人は天を損なう
5 荀子──天の領分、人の領分
6 董仲舒──天人合一
7 王充──無為の天と有為の人
8 唐代の天論──天が乱れる
9 宋代の天論──天人相関の回復
10 明代の天論──理としての天を越えるもの
11 清代の天論──理としての天への批判
12 近代の天──西洋的普遍に直面して
13 現代の天──天下という中国的普遍

第二章 化について (本間次彦)
1 生成変化する世界と『易』
2 乾坤と易簡──『易』繋辞上伝第一章
3 無為と『易』──鄭玄
4 天地と三となる──『中庸』からの道
5 「天地の和」としての楽──『礼記』楽記
6 風を移し俗を易える──楽の効用
7 生成変化する世界を別様に表現する──『易』繋辞上伝第五章
8 陰陽と道──朱子・王夫之・戴震
9 日新と生生──張載
10 日新と生生、そして、鬼神──朱子・王夫之
11 修己から治人へ──教化の新たな構想
12 万物一体の仁──ドジョウとウナギの関係論
13 近代以降の新展開
14 『荘子』からの出発法
15 身体の操作的構築

第三章 時について (林文孝)
1 「時」は「時間の流れ」を意味しない
  1 「時に習う」とはいつ習うのか?
  2 『易』の時
  3 「時中」、「聖の時なる者」
2 「時間性」を表す概念は「道」ではないか?
  1 『老子』の「道」
  2 朱熹の「川上の嘆」解釈と「道」の姿
  3 「消息」
3 終末論について
  1 『皇極経世書』
  2 『太平経』
4 「古・今」、「過去・現在・未来」
  1 「古」と「今」
  2 中国における「過去・現在・未来」

余説
文化本質主義を越えて (中島隆博)
本文の余白に/から (本間次彦)
天と化についてのコメント (林文孝)

索引


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