大学出版部協会

 

CAEプログラミング入門偏微分方程式の数値解法

C#で学ぶ
偏微分方程式の数値解法 CAEプログラミング入門

A5判 178ページ 並製
価格:2,420円 (消費税:220円)
ISBN978-4-501-54590-1 C3004
奥付の初版発行年月:2009年06月 / 発売日:2009年06月下旬

前書きなど

 本書の目的は,偏微分方程式の代表的な数値解法である有限差分法,有限体積法,有限要素法を,平易な解説と実践的なプログラムを通じて,効率良く学ぶことにあります。プログラミング言語には言語仕様が平明で,開発環境が無償で提供されているC#を採用しました。「時間をかけて習得しなければならないなら,できれば就職してから役に立つプログラミング言語で勉強したい。」あるいは,「プログラミング言語の習得にはなるべく時間を割きたくないけれど,実際にプログラムを動作させて体験的に学習したい。」と考える学生,および社会人の皆様の要望に本書は応えることができると思います。
 一方で,開発容易性を重視するあまり,プログラムの実行速度を犠牲にしてしまっては,研究や開発用途としては物足りないというのも事実です。C#のもう1つの特徴は,同じ.NET言語であるC /CLIを経由して,従来のC/C で記述されたライブラリを容易に利用できる点にあります。本書では,線形台数ライブラリlapack(http://www.netlib.org/lapack)をC言語に移植したCLAPACKを例にとり,実際にC#から利用する方法についても解説しています。なお,CLAPACKを利用して行列計算を行う.NETライブラリおよび本書に掲載されたプログラムはすべてインターネットからダウンロードできるので,プログラミングにかける労力を最小限にして数値解法に集中したい,という方も安心して本書を手に取っていただくことができます。
 筆者の経験を振り返ってみますと,数値解法を勉強する際には,ある数式につかまって立ち往生してしまうよりは「えいやっ」と一時的に目をつぶってでも先へと進んでみる思い切りの良さが必要になる場合があります。そのような考えから,本書は結果を得るまでの道筋がわかりやすくなるような説明を心掛けましたが,反面,個々の数学的な操作の説明についてはいささか生煮えのままとなってしまっている部分があります。本書を読み終えると,数学的な背景を知りたくなる箇所が多く出てくると思います。そのようなときには,ぜひ,今まで難しいと感じていた教科書を開いてみてください。そのような教科書が思いのほか読みやすくなっていると感じていただけたならば,本書の目的は十二分に達成されたと考える次第です。
 2009年6月
 平瀬 創也


目次

第1章 数値解法の基礎
 1.1 数値解法の用途
 1.2 熱伝導の方程式
 1.3 偏微分方程式の分類
第2章 数値解法プログラミングの準備
 2.1 なぜC#で数値解法か
 2.2 C#プログラムの実行
 2.3 出力結果のグラフ表示
 2.4 連立1次方程式の計算
 2.5 3重対角行列の計算
 2.6 オブジェクト指向プログラミング
第3章 有限差分法
 3.1 差分法
 3.2 陽解法
 3.3 陰解法
 3.4 クランク・ニコルソン法
 3.5 フォン・ノイマンの安定性解析
 3.6 境界条件
 3.7 一様でない領域
 3.8 非線形問題
 3.9 ADI法
 3.10 1次元移流方程式
第4章 有限体積法
 4.1 コントロール・ボリューム
 4.2 境界条件
 4.3 1次元ポアソン方程式
 4.4 1次元拡散方程式
 4.5 2次元ポアソン方程式
 4.6 直接法による計算
 4.7 反復法による計算
 4.8 1次元定常移流拡散方程式
第5章 有限要素法
 5.1 重み付き残差法
 5.2 基底関数
 5.3 局所座標系
 5.4 数値積分
 5.5 行列の組立て
 5.6 境界条件
 5.7 1次元ポアソン方程式
 5.8 1次元拡散方程式
 5.9 2次元ポアソン方程式
付録A 実行時間の測定
 A.1 プログラム内の実行時間の測定
 A.2 異なる言語の実行時間の比較
付録B メモリ使用量の測定
 B.1 APIによるメモリ使用量の測定
 B.2 CLR Profilerの利用
付録C ネイティブ・ライブラリの利用
 C.1 CLAPACKの利用
 C.2 インテルC コンパイラによる高速化
付録D アニメーションのつくり方
参考文献
索引 


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