大学出版部協会

 

基幹業務システム開発のためのウォータフォールモデル技法システム設計

第2版 システム設計 基幹業務システム開発のためのウォータフォールモデル技法

B5判 224ページ 並製
価格:2,970円 (消費税:270円)
ISBN978-4-501-54030-2(4-501-54030-3) C3004
奥付の初版発行年月:2005年11月 / 発売日:2005年11月中旬

内容紹介

汎用機系システム開発者向け

前書きなど

システム・エンジニアを目指す君へ・・・
 情報利用の高度化および多様化の潮流は,コンピュータワールドのあらゆる分野へと巨大なうねりとなって波及した.その結果,コンピュータ分野の技術革新を呼び起こし,さらに工業化社会から高度情報化社会へと産業形態や社会構造にも劇的な変革をもたらした.
 社会それ自体がシステムであり,社会の要素たる産業組織,地域社会,家庭などもそれぞれシステムとしての機能をもちつつある.このような時代背景が,システム開発に対する多様化と,開発技術の高度化を急激に推進させることになったのである.
 今や,システム開発技術者すなわちシステムエンジニアは,時代の本流に乗って最先端に位置しているといっても過言ではない.その人材として,質的(技術力)にも量的(必要数)にも,社会のあらゆる分野での活躍が期待されている.このように,システムエンジニアの未来は明るく希望に満ちているものといえるだろう.
 しかし,開発自体には重大な社会的責任が伴う.システムエンジニアは技術者である以前に,社会人としての素養が問われることになる.したがって,専門家としての技術レベルの向上のみならず,豊かな人間形成の実践についても,あらゆる機会をとらえて努力をすべきである.
 また,システム開発はあらゆる分野に拡散し,システムエンジニア自体も専従化していく傾向にある.このような状況の中でシステムエンジニアを目指すとき,その技術向上の基本として,システム感性を鍛錬することを念頭に置いて行動すべきである.われわれを取り巻くあらゆる物象に内在する機能をとらえる分析力,システムとして構築する創造力など,システムエンジニアに普遍的に要求されるシステム感性を,いかにして研ぎ澄ますかが問われる.
 そのためには,幅広い教養を身に付けるための創意工夫が必要であり,工学的分野に偏ることなく自然科学,芸術・文化などの分野についても造詣を深める積極性が,理想的なシステムエンジニアへと導いてくれるであろう.
 しかし,当面の目標として,専門分野である情報処理の基礎知識と基本技術の修得を考えるべきである.コンピュータ全般に関する基礎教科,専門知識を補助する一般教科などのほか,システム開発能力を高める設計技術を学ぶ教科がある.本書は,システム開発の全工程の設計技術を修得し,システムエンジニアの基礎力を養成することを目標としている.
 本書は,6つの章から構成されている.
 第1章ではシステムの概念とシステム開発の全体像の理解を,さらに,第2章から第6章までは,システム開発の手順に準拠して設計技法を段階的に修得することを学習目標にしている.
 本書の特徴は,自習書とテキストの2つの機能をもっていることである.自習書としては,独学でも理解が得られるようにわかりやすく解説している.また,技能用テキストとしては,設計技法の修得のため各種設計書の作成方法を実例を示して解説している.
 本書が,システムエンジニアの入門書として,システム設計技術の修得とシステム感性の習練に,その一助となることを願ってやまない.
 最後に,本書を執筆する機会を与えて下さった黒田康太先生と,さまざまな執筆上のご助言をいただいた東京電機大学出版局の植村八潮氏に,心より感謝の意を表する.
著者しるす

改訂にあたって
 本書が1992年に発刊されて以来,実に13年の星霜を重ねてきた.20世紀から21世紀へと,世紀をまたいだ時の流れである.情報システムの分野にとって,悠久のときの流れとも言うべきものであり,その間,幾多の変還が果たされ,様々な技術革新が誕生した.そして今,地球規模の情報ネットワーク環境を背景にして,情報システムの運用形態とその開発技術は,大きな変貌を遂げつつある.
 今日,システム開発技術の先端に位置するのは,UML(Unified Modeling Language)と称される設計手法であり,XP(eXtreme Programming)と呼ばれるプログラム開発形態である.これらは,オブジェクト指向に基づく開発技術であり,情報システムの開発の現場で積極的に実践され,技術者養成のための指導対象にもなっている.しかし,システム開発の現実は,必ずしもオブジェクト指向が統一的かつ忠実に実践されてはいない.ウォータフォールモデルの開発手法が,システム分析と基本設計の上流工程において重用されている.このことは,ウォータフォールモデルが,すべてのシステム開発技術の原点として存続し,今もなお重要な位置を占めていることを意味している.
 本書は,ウォータフォールモデルによるシステム開発技術の入門書である.今回の改訂にあたっては,ウォータフォールモデルを維持しつつ,現在の情報システムの主な運用形態であるクライアントサーバシステムへの対応,各仕様書の記述内容の明瞭化などを意図して,全体的な見直しを行った.新時代のシステムエンジニアを目指す方々に,今までどおり共通的かつ基本的な開発技術の修得に役立つことを願っている.
 最後に,今回の改訂にあたってご協力とご助言をいただいた東京電機大学出版局の菊地雅之氏に,心より感謝の意を表します.
平成17年10月
著者しるす


目次

第1章 システム設計への招待
 1.1 システムとは何か
 1.2 システム設計とは何か
 練習問題1
第2章 システム分析の手法
 2.1 予備調査・ニーズ分析
 2.2 システム導入目的と対象業務の設定
 2.3 現状調査
 2.4 現状分析
 練習問題2
第3章 システム開発体制の確立
 3.1 システム開発推進への組織化
 3.2 開発体制と開発スケジュール
 練習問題3
第4章 システム基本設計の手法
 4.1 システム基本設計の目的
 4.2 システム基本設計の作業概要
 4.3 システム基本設計の技法
 練習問題4
第5章 システム詳細設計の手法
 5.1 システム詳細設計の目的
 5.2 システム詳細設計の作業概要
 5.3 システム詳細設計の技法
 練習問題5
第6章 プログラム開発の管理手法
 6.1 プログラム開発の管理方法
解答と解説
仕様書索引
索引


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