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電子部品製造の基幹技術フォトマスク

フォトマスク 電子部品製造の基幹技術

A5判 324ページ 並製
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-501-32820-7 C3055
奥付の初版発行年月:2011年04月 / 発売日:2011年04月中旬

内容紹介

フォトマスクは半導体のウェーハ上に回路配線を形成するために用いる原版のこと。フォトマスクの製造技術の進歩はハイテク産業の進歩につながる。本書は次世代技術をささえるフォトマスク技術について,開発に携わる著者がわかりやすく,体系的にまとめたものである。半導体関連,ディスプレイ関連,マイクロマシン関連技術に携わる技術者,研究者におすすめ。

前書きなど

 本書はマスク技術に関する基本的な項目,内容を網羅した参考書である。1996年に同じ目的を持って出版した『超LSI,液晶,プリント板を支えるフォトマスク技術のはなし』を新規に書き下ろした。現在,各分野とも当時と比べると技術的に大幅に進化している。前書を活用いただいた方々や業界関係者から現在の技術レベルを盛り込んだ新版執筆のご要望もあり本書を執筆することにした。
 IC,LSIから超LSIに発展した半導体の進歩はフォトリソグラフィ技術によるパターンの微細化を抜きにして語ることはできない。そのリソグラフィ技術の中核としてフォトマスク技術が半導体の驚異的な発展の一端を担ってきた。現在フォトマスクにおいては,マスク製造に直接関連する課題だけでなく,半導体や電子部品の設計や製造に関わる課題が急増している。
 従来,LSIや電子部品の設計,製造に直接関する出版物では,フォトマスク関連の記述はマスク全体を俯瞰したものではなく断片的なものであった。本書は単にフォトマスクの技術紹介に留まらず,フォトマスク全般をカバーすることを目指して,マスク技術の変遷,次世代リソフラフィのマスクおよび今後の技術的,経済的な展望,業界の動向にも言及した。
 本書の想定読者は半導体ならびに電子部品分野の直接あるいは間接的に技術(回路,デバイス,プロセス,材料,装置など)に関係している方々である。また,マネージメントにかかわっている方々も考慮した。このような人々に業界動向も含めてマスク技術全般についての適切な参考書となることを執筆の目的とした。さらに直接マスク分野に関わっているエンジニアやマネージャの方々にも有益となる専門的な内容も盛り込んだ。
 本書では半導体デバイスのみならず,電子部品分野であるFPDとPWB,ならびにMEMSで使用されるマスクについて記述した。
 第1章は,「フォトマスク技術の基本」で,種類,仕様,品質などの基本を解説した本書の導入部である。第2章は,「半導体用フォトマスク」で,製造工程の実際を示すとともに,製造方法,評価方法の基本技術を解説した。第3章は「電子部品用マスク」で,FRD,PWB,MEMS用マスクの概要,特徴と製造工程を解説した。第4章では,現状の「先端フォトマスク技術」を独立して取り上げ,OPC,PSM,液浸露光,DFMなどについて解説した。第5章の「NGLマスク技術」では,次世代リソグラフィ(NGL)の有力な候補であるEUVリソグラフィ,電子線リソグラフィ,ナノインプリントのマスクについて解説した。第6章「マスク産業の現状」は,産業の問題点などについて言及し,第7章の「リソグラフィ技術の今後とマスク技術の見通し」では,マスク技術の展望を述べた。
 われわれ3人は半導体マスクを主体にフォトマスクに30年,40年携わってきている。その長年の経験と日頃の思いをこめてまとめたのが本書である。本書が,電子産業の発展に関わっている方々の一助になることを心から願っている。
 本書を執筆するにあたり友人,同僚,多くの関係者,および関連する会社,団体から数多くの有益な助言と貴重な資料を提供していただいた。ここに厚く御礼を申し上げる。
 2006年12月

 追 記
 本書は2006年末に(株)工業調査会から刊行され,幸いにも多くの読者から愛用されてきた。
 このたび東京電機大学出版局から新たに刊行されることとなった。東京電機大学出版局の吉田拓歩氏の貴重な提言と渾身の努力によって実現したことをここに厚くお礼申し上げます。
 本書が今後も読者の読者の役に立つことを心から願っている。
 2011年4月
 田邉  功
 竹花 洋一
 法元 盛久


当書籍は(株)工業調査会からの継続販売書籍です。

目次

第1章 フォトマスク技術の基本
 1.1 フォトマスクとは
 1.2 リソグラフィ技術とフォトマスク
 1.3 フォトマスクの基本
 1.4 データ準備
 1.5 パターン描画
 1.6 縮小転写と複製
 1.7 レジストプロセス
 1.8 遮光膜エッチング
 1.9 マスク洗浄
 1.10 マスク検査
 1.11 欠陥修正
 1.12 ベリクル技術
 1.13 その他の生産技術
第2章 半導体用フォトマスク
 2.1 半導体のリソグラフィ工程とフォトマスク製造工程
 2.2 マスクブランク
 2.3 フォトマスクの製作手配
 2.4 電子線描画技術
 2.5 レーザ描画技術
 2.6 電子線レジスト材料
 2.7 プロセス技術
 2.8 計測技術
 2.9 外観検査
 2.10 欠陥修正
 2.11 洗浄
 2.12 ペリクル
第3章 電子部品用マスク
 3.1 FPD用マスク
 3.2 PWB用マスク
 3.3 MEMS用マスク
第4章 先端フォトマスク技術
 4.1 半導体技術ロードマップとマスク技術
 4.2 超解像技術の概要
 4.3 OPC技術
 4.4 位相シフトマスク技術
 4.5 液浸露光世代のマスク技術
 4.6 リソグラフィとマスクにおけるDFM技術
 4.7 その他の注目技術
第5章 NGLマスク技術
 5.1 EUVリソグラフィ用マスク
 5.2 電子線リソグラフィ用マスク
 5.3 ナノインプリント用モールド
第6章 マスク産業の現状
 6.1 LSIマスク
 6.2 電子部品用マスク
 6.3 標準化(SEMIスタンダード)
第7章 リソグラフィ技術の今後とマスク技術の見通し
 7.1 リソグラフィ技術の将来予測
 7.2 半導体マスクの今後の課題
 7.3 電子部品用マスクの今後の課題
索 引


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