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 亜熱帯島嶼の生物多様性奄美群島の自然史学

奄美群島の自然史学 亜熱帯島嶼の生物多様性

水田 拓:編著
A5判 402ページ 上製
定価:4,500円+税
ISBN978-4-486-02088-2 C3045
奥付の初版発行年月:2016年02月 / 発売日:2016年02月中旬

内容紹介

日本の「辺境」といってもよい亜熱帯島嶼域、奄美群島は、世界に誇るべき生物多様性を有する生物学者にとっての“約束の地”だ。「奄美・琉球」の名で世界自然遺産登録を目指すこの地から、最前線の自然史研究の成果を発信。

著者プロフィール

水田 拓(ミズタ タク)

環境省奄美野生生物保護センター自然保護専門員。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第1章 奄美-その自然の概要    水田 拓 1
   1.はじめに 1
   2.奄美とは 2
   3.気候と地形 4
   4.地史と固有の動植物 8
   5.野生生物への人間活動の影響 10
   6.奄美の自然を守るために 13
   引用文献  15

第2章 中琉球の動物はいつどこからどのようにしてやってきたのか?
 -ヒバァ類を例として 皆藤琢磨 18
   1.琉球列島の動物の起源 18
   2.ガラスヒバァというヘビ 24
   3.ヘビ採りの難しさ 25
   4.奄美群島はいつ沖縄諸島と分断されたのか? 27
   5.中琉球まで伸びる更新世陸橋は存在したのか? 31
   6.新しい対立仮説 33
   引用文献  35

第3章 奄美群島固有のクワガタムシ類の自然史    荒谷邦雄・細谷忠嗣 36
   1.はじめに 36
   2.奄美群島固有のクワガタムシ 37
   3.奄美群島産クワガタムシの分布パターン 43
   4.奄美群島のクワガタムシの分子系統解析 44
   5.奄美群島のクワガタムシの系統地理 49
   6.奄美群島のクワガタムシに迫る危機 52
   7.世界自然遺産登録に向けた動き 54
   8.求められる採集マナーの向上 54
   9.おわりに 55
   引用文献  55

第4章 奄美群島における陸産貝類の多様化パターンと系統地理
 -沖縄との比較から    亀田勇一・平野尚浩 57
   1.はじめに 57
   2.琉球列島中部の陸産貝類相 60
   3.中琉球地域における分布境界と陸貝の遺伝的分化 62
   4.オキナワヤマタカマイマイ類の遺伝的分化と生殖隔離─沖縄と奄美の比較から 66
   5.おわりに 73
   引用文献  74

第5章 奄美大島で発見されたカンコノキとハナホソガの絶対送粉共生 川北 篤 77
   1.はじめに 77
   2.カンコノキとハナホソガの絶対送粉共生 78
   3.共生系の種特異性 81
   4.共生系の世界的多様性 85
   5.共生系の維持機構 88
   6.おわりに 91
   引用文献  91

第6章 居候して暮らす -南西諸島の干潟における共生二枚貝類の多様性   後藤龍太郎 93
   1.はじめに 93
   2.ウロコガイ上科二枚貝類とは? 94
   3.居候するウロコガイ上科二枚貝類 95
   4.南西諸島の共生ウロコガイ類 96
     4-1.甲殻類と共生するもの  96
     4-2.棘皮動物と共生するもの  102
     4-3.環形動物と共生するもの  105
     4-4.刺胞動物と共生するもの  109
   5.ウロコガイ上科以外の干潟の居候二枚貝 110
   6.おわりに 112
   引用文献  113

第7章 ところ変われば宿主も変わる
 -盗み寄生者チリイソウロウグモの宿主適応   馬場友希 117
   1.イソウロウグモとは? 117
   2.奄美大島の巨大なチリイソウロウグモ 118
   3.宿主利用はどこで変わるのか? 120
   4.奄美大島と本土の比較:仮説の発見 122
   5.形態の複雑な地理的変異 123
   6.閑話休題:奄美大島での調査生活 126
   7.クサグモの網では餌が盗みにくい? 餌獲得量の比較 128
   8.宿主の網をすばやく歩く:短い脚の適応的意義 132
   9.おわりに 134
   引用文献  134

第8章 しごく身近な野生動物  -ヤモリ類の多様性と出現環境   戸田 守 137
   1.ヤモリという生き物 137
   2.ヤモリ類の分布を概観する 138
   3.日本に固有のヤモリ類 140
   4.広域分布種 142
   5.種の侵入と種間干渉 145
   6.奄美群島におけるヤモリ類の出現環境 147
   7.ヤモリ調査の勧め 151
   引用文献  154

第9章 オーストンオオアカゲラとノグチゲラ
  -奄美群島と沖縄島における固有鳥類の分類と保全について 小高信彦 156
   1.はじめに 156
   2.奄美群島と沖縄島で繁殖する固有鳥類の分類と絶滅リスクの評価 157
   3.ノグチゲラとオーストンオオアカゲラの分類 165
   4.進化の続きを見るために 168
   5.おわりに 172
   引用文献  173

第10章 トゲネズミ類の生息状況,とくにトクノシマトゲネズミについて
  -人との出会いと生物調査 城ヶ原貴通 175
   1.はじめに 175
   2.トゲネズミとの出会い,調査の始まり 176
   3.トゲネズミとは? 178
   4.トゲネズミの生息情報 181
   5.2011年12月,初めての徳之島調査 183
   6.徳之島苦戦記 185
   7.トクノシマトゲネズミの現状とこれから 187
   8.新たな挑戦としてのケナガネズミの生息状況調査と島民参加型調査 189
   引用文献  191

第11章 日本一かっこいいオットンガエルの生き様 岩井紀子 193
   1.はじめに 193
   2.オットンガエルに会える場所を知る 196
   3.マッチョなオスと美人のメス 197
   4.オスがメスより大きいカエル 199
   5.マッチョなオスはなんのため 200
   6.5本目の指 204
   7.一年の動き 205
   8.律儀で長生きなオットンガエル 207
   9.日本一かっこいいカエル 209
   引用文献  211

第12章 ウケユリたんけんたい,奄美の森を行く 宮本旬子 212
   1.はじめに兎の目ありき 212
   2.アレクサンドラ王妃のユリ 213
   3.アマミ・シンドローム 214
   4.種の誕生 218
   5.種の消滅 220
   6.距離感と重量感 223
   7.100年後の森 226
   引用文献  229

第13章 交通事故は月夜に多い
 -アマミヤマシギの夜間の行動と交通事故の関係 水田 拓 230
   1.はじめに 230
   2.研究の発端 232
   3.野生動物の交通事故 235
   4.アマミヤマシギの行動を調べる 236
   5.交通事故の実況見分 239
   6.交通量を調べる 241
   7.アマミヤマシギの交通事故,その傾向と対策 243
   8.月を見上げて野生動物に思いを巡らせる 246
   引用文献  248

第14章 危機におちいる奄美群島の止水性水生昆虫たち
  -湿地環境の消失・劣化と外来生物の影響  苅部治紀・北野 忠 250
   1.はじめに 250
   2.奄美群島のおける止水性種の衰退 251
     2-1.奄美群島の湿地の盛衰  251
     2-2.止水性種の危機的状況  254
   3.外来種問題 262
     3-1.外来魚  262
     3-2.アメリカザリガニ  263
     3-3.外来水草 ホテイアオイ  266
   4.まとめ 267
   引用文献  269

第15章 好物は希少哺乳類  -奄美大島のノネコのお話  塩野﨑和美 271
   1.ノネコってなんだ? 271
   2.ノネコによる在来種捕食の問題 275
   3.ノネコの食性を調べる 277
   4.ノネコの獲物たち 280
   5.ノネコの好物 282
   6.希少哺乳類を好む訳は 285
   7.希少種とノネコとイエネコの未来 286
   引用文献  287

第16章 奄美から世界を驚かせよう
 -奄美大島におけるマングース防除事業,世界最大規模の根絶へ
橋本琢磨・諸澤崇裕・深澤圭太 290
   1.マングースはなぜ奄美大島に放されたのか? 290
   2.マングースの跋扈と生態系への影響 292
   3.マングース防除事業の開始 294
   4.奄美マングースバスターズ 296
   5.マングース根絶の可能性と在来種への防除効果 303
   6.世界最大規模の外来食肉獣の根絶へ 309
   引用文献  311

第17章 外来哺乳類の脅威  強いインパクトはなぜ生じるか? 亘 悠哉 313
   1.はじめに 313
   2.最大の脅威:マングース 315
   3.主食は天然記念物:ノイヌ 319
   4.景観の破壊者:ノヤギ 324
   5.見えないインパクト 329
   引用文献  330

第18章 奄美大島の生態系における微量元素(重金属類を含む)レベルと分布
渡邉 泉 332
   1.微量元素(重金属類)とは 332
   2.奄美大島での微量元素(重金属類を含む)の分布 333
   3.奄美大島を含む南西諸島の生態系における微量元素の分布 341
   4.アマミノクロウサギなど奄美固有の哺乳類の微量元素蓄積 347
   5.おわりに 347
   引用文献  349

第19章 与論島の両生類と陸生爬虫類  残された骨が物語るその多様性の背景
中村泰之 351
   1.はじめに 351
   2.与論島の両生類と陸生爬虫類:在来種の生息種数はなぜ少ない? 354
   3.岩陰の骨 355
   4.固有亜種ヨロントカゲモドキ 359
   5.岩陰の堆積はいつ,どのように形成された? 362
   6.伐採・水田の消失・外来の捕食者 363
   7.ニホンイタチの導入 364
   8.生物多様性とその背景にある歴史 366
   9.アカマタとオキナワキノボリトカゲ:約60年ぶりの生息確認 368
   引用文献  368

編者あとがき  371
事項索引  373
和名索引  377
学名索引  383


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