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他者のロゴスとパトス

他者のロゴスとパトス

四六判 304ページ 上製
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-472-30295-4(4-472-30295-0) C3010
奥付の初版発行年月:2006年09月

内容紹介

自分を明らかにしようとすれば、そこには必ず他者の存在がある。現代社会において、他者は親しく身近な存在であるとともに、近よりがたく疎遠な存在でもある。人間や社会を考える上でキーとなる他者という存在に、哲学・倫理学などロゴスの観点や、また宗教・文化・文学・演劇・音楽などのパトス的な視点から重層的に迫る。


目次

はじめに  三井善止
第一章 他者の本来性とその成立基盤  三井善止
 1 自己の成立と他者
 2 他者の台頭
 3 汝としての他者
 4 「交わり」における他者
 5 自覚における自己と他者の関係
第二章 他者との対話としての哲学  納富信留
 1 「他者」についての哲学史的反省
 2 「言葉」を語りかける哲学
 3 ゴルギアスの「弁論術」
 4 ソクラテスの「対話」
 5 プラトンの「対話篇」
 6 「言葉」の強さと弱さ
第三章 カント哲学における他者の問題  山口修二
 1 問題の所在
 2 多元主義の存在論(前批判期)
 3 世界市民の論理学(『純粋理性批判』)
第四章 「他なるもの」としての近代  岡本裕一朗
 1 ハイデガーにおける「近代との対決」
 2 ハーバマスのコミュニケーション理論
 3 「他なるもの」は超克されたか
第五章 他者問題とクオリア  河野哲也
 1 他者問題とクオリア
 2 クオリアと認知科学
 3 クオリアは脳が生み出したものではない
 4 内的な質と観察に基づかない知識
 5 クオリアは存在するか
第六章 他者論としてのフィランスロピア 土井健司
 1 フィランスロピアと他者の問題
 2 古典期ギリシアにおけるフィランスロピア
 3 フィランスロピアと古典期の哲学
 4 ヘレニズム期・帝政期におけるフィランスロピア
 5 ユダヤ教思想におけるフィランスロピア
 6 古代キリスト教におけるフィランスロピア―偽クレメンス『講和集』
第七章 ルターの神学思想と他者  小田部進一
 1 『キリスト者の自由』について
 2 他者としての神との関係性
 3 他者としての隣人との関係性
 4 宗教改革的神学の社会的帰結
第八章 移民をめぐる文化多元主義と他者 池田 智
 1 多民族社会における他者と他者化
 2 日本のさらなる多民族化はありえるか
 3 文化多元主義とは
 4 文化多元主義の二分化
 5 他者化なき文化多元主義への懸念
第九章 他者としてのユダヤ人  今井夏彦
 1 途方にくれる主人公
 2 群集の誕生
 3 国民国家の形成
 4 『旧約聖書』
第十章 「他者」とハーヴァード  森 良和
 1 アメリカ大陸の「他者」
 2 植民地とハーヴァード
 3 「他者」の教化に向けて
 4 インディアン・カレッジの成立
 5 ジェイムズとササモン
 6 カレブとジョエル
 7 ウォムポスとエリーザー
 7 衰退と廃止、および最後の学生
第十二章 演劇芸術における「他者」  法月敏彦
 1 演劇における「他者」の所在
 2 登場人物としての他者 [戯曲]
 3 他者を演じる [演技]
 4 他者に同化する [観客]
 5 現代演劇における「他者」の本質
 6 レアリア(言語外現実・背後文化)
第十二章 他者との融合としての「演奏」  笹川隆司
 1 「音楽演奏」の美学
 2 「他者」との対峙と同化
 3 即興的演奏と時間


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