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 体外受精の源流からiPS時代へ生殖・発生の医学と倫理

生殖・発生の医学と倫理 体外受精の源流からiPS時代へ

A5判 206ページ 上製
定価:2,300円+税
ISBN978-4-87698-972-0 C1047
奥付の初版発行年月:2010年09月 / 発売日:2010年09月下旬

内容紹介

人が生命を操作できる時代、その先駆、体外受精をいち速く成功させると共に、倫理性を保証するための制度(施設内倫理委員会)を初めて確立した著者が、生殖医学が拠るべき思想を示す。生命の絶対観から生命の相対観へ、そして生殖の尊厳の思想に立った倫理へ——当事者本人ならではの貴重な資料も開陳し、医学・医療の未来を展望する。



*推 薦*

日本最初の医学部倫理委員会をたちあげ、黎明期にあった体外受精を定着させてきたパイオニア医学者による包括的な記録である。新しい生殖技術が社会的に認められるために必要な方策を考えぬき、道を切り拓いてきた当事者として、その過去を客観的に記録しようとする誠実さにあふれている。重厚な体験の上で、生殖医療の生命倫理問題を展望しており、生殖技術がさらに拡大する今後の社会を考えるための、またとない貴重な素材である。

米本昌平(東京大学先端科学技術研究センター・特任教授)

著者プロフィール

森 崇英(モリ タカヒデ)

京都大学名誉教授

NPO法人・生殖再生医学アカデミア・理事長

医療法人愛寿会・同仁病院・理事長/病院長



 1933年,徳島県に生まれる.1960年,京都大学医学部卒業.米国留学・生殖内分泌学と生殖免疫学の研究に従事し,1981年に徳島大学医学部産科婦人科学教授に就任,翌1982年,我が国最初の医学倫理委員会の設立に参画,1983年から京都大学医学部婦人科学産科学教授.1993年には,第8回世界体外受精会議会長を務める.

 1997年より,醍醐渡辺クリニック・不妊センター長,日本生殖再生医学会・理事長,国際体外受精学会(ISIVF)・初代会長などを歴任,現在に至る.

 この間の研究に対し,1970年に近畿産科婦人科学会・学術奨励賞,日本医師会・医学研究助成賞を,1997年には国際不妊学会創立30周年記念功労賞を,2005年にはアメリカ生殖免疫学会 Blackwell/Munksgaard 賞を受賞.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに



第1章 体外受精の歴史と現在

1 体外受精とは

2 体外受精の概略史

  精子説か卵子説か

  実験体外受精学の展開

3 ヒト体外受精の研究

4 ヒト胚の取り扱いに関する倫理問題

  アメリカ留学

  留学先での見聞

  ケンブリッジ学派の体外受精研究とキリスト教会の軋轢

  前胚Pre-embryo

5 日本における体外受精



第2章 徳島大学・体外受精プログラムの立ち上げ

1 エドワーズ博士との出会い

2 素朴な自問自答

3 体外受精プログラムの分担課題

4 臨床応用への基本理念

    —厚生省審議官のアドバイス

5 理念具体化の方法論

  1)私的諮問方式

  2)診療科レベルでの実施基準方式

  3)学会/研究会レベルでの実施基準方式

  4)施設単位の審査委員会方式

  5)国レベルの審査機構

6 手続論具体化の根拠

7 文部省からの示唆



第3章 医学部倫理委員会の発足

1 設置までの経緯

2 文部省への報告

3 倫理委員会規則の教授会承認と委員会の発足



第4章 体外受精プログラムの審査と判定

1 委員会審議の方式と経過

2 専門委員の意見

3 倫理委員会判定

4 判定に盛り込まれた諸原則

  医療行為との認定

  安全確保の原則

  生命倫理保持の原則

  自発的意思決定の原則

  プライバシー擁護の原則

  公開の原則

5 体外受精の実施に関する国会での議論

  徳島大学における倫理委員会設置に対する評価について

  体外受精の実施基準の作成について

  その他

6 産婦人科学会の見解作成に対する役割



第5章 体外受精プログラムの実施と成果

1 徳島大学プログラム妊娠成功第1例の公表

2 出生第1例の公表

3 体外受精の10年間凍結の提案



第6章 無断受精実験事件

1 事件の発端

2 NHKの放映とマスコミの反応

3 受精実験と胚の法的地位に関する国会での議論

  体外受精の臨床実施の倫理面と無断体外受精実験について

4 わたしの言い分

    —朝日新聞編集委員の取材に応じて

5 顛末

6 実名報道事件



第7章 徳島大学体外受精プログラムの果たした役割と意義

1 生命倫理に対して

2 生殖医療・医学研究に対して

3 「生」の生命倫理に対する認識



第8章 生殖医学・医療の倫理審査体制

1 倫理審査体制の混在

2 パブリック・コメントとアンケート

3 学会レベルの倫理委員会

4 国レベルの倫理委員会

5 倫理委員会の日本型役割分担

6 生殖医療・生殖医学研究に対する規制の現状



第9章 生殖生命倫理の未来像

1 生殖医学の医学特性と倫理特性

2 生殖医学の生命観

3 生殖生命倫理の思潮

4 人の生命の始期

5 生殖の尊厳

6 生殖生命倫理の人間的原理



資料編

1 ローマ法王庁報道・共同通信

2 ワーノック報告—抜粋

3 ヒポクラテスの誓い

4 体外受精についてのアンケート調査用紙

5 体外受精についてのアンケート調査報道

6 ヒト受精と発生学研究に関する英国医学研究評議会声明

7 アメリカ生殖医学会・体外受精に関する倫理声明

8 ヘルシンキ宣言

9 体外受精で児を得た患者の手記

10 徳島大学プログラム・出産第1例 報道関係者宛の患者手記

11 日本生殖再生医学会・理事会内倫理委員会



引用文献

参考図書

あとがき

索  引


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