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江戸知識人と地図

江戸知識人と地図

A5判 400ページ 上製
定価:4,200円+税
ISBN978-4-87698-795-5 C3025
奥付の初版発行年月:2010年02月 / 発売日:2010年02月下旬

内容紹介

大国学者・本居宣長と,「ナゾのカルトグラファー」と呼ばれる正体未詳の人物・森幸安.18世紀日本のこの二人の知識人は,地図への驚くべきコミットメントをなしていた.彼らの営為を丹念に跡づけることを通じて,当時の教養における地理的知識の重要性,彼らの知的ネットワークが鮮やかに浮かび上がる,知的興奮に満ちた書.

著者プロフィール

上杉 和央(ウエスギ カズヒロ)

1975年香川県生まれ.京都大学博士(文学).

現在,京都府立大学文学部講師.

研究テーマは,地理的知識の歴史地理学.



主要業績

「近世における浪速古図の作製と受容」史林85-2, 2002年.

「一七世紀の名所案内記に見える大坂の名所観」地理学評論77-9, 2004年.

『地図出版の四百年-京都・日本・世界』ナカニシヤ出版, 2007年(分担執筆).

「宇治の景観認識の変遷について-平等院・茶を中心に」, 菱田哲郎編『南山城・宇治地域を中心とする歴史遺産・文化的景観の研究』2009年.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

口  絵



序 章 知識人たちの森へいざなう地図



凡  例



第一部 本居宣長の地理的知識



第一章 青年期宣長と地図

一 青年期宣長の位置づけ

  1 情報の受容、知識の形成

  2 研究対象としての宣長

二 稀代の空想都市図-「端原氏城下絵図」

  1 系図と地図

  2 京都図の影響-都市の構図

  3 京都への傾倒

  4「端原絵図」記載都市の形態

  5 松坂の経験・松坂の発見/6江戸の一年

三 「大日本天下四海画図」の作製

  1 日本の「かたち」-流宣日本図と「大日本天下四海画図」

  2 地名・人名の情報-道中図と「大日本天下四海画図」

  3 『大増補日本道中行程記』以外からの地名挿入

  4 『大増補日本道中行程記』に見える情報の取捨

四 青年期宣長の地理的知識



第二章 宣長の教育と地図

一 地図の教育的利用

二 宣長の修学-その全体像

  1 初等教育としての手習い

  2 謡曲の舞台

  3 青年期宣長の知的関心の推移

三 宣長の教育観

四 春庭の修学

  1 春庭の手習い

  2 春庭の修学

  3 「大日本天下四海画図」から「日本分域指掌図」へ

五 春庭の目覚め-自律的な書写活動

  1 署名の時期差

  2 春庭の地図作製

六 宣長と春庭-修学過程の違い

  1 親・師の関与

  2 知の受容、知の表現

七 地図好きな宣長と春庭のそれから



第三章 宣長と世界図-地図貸借と利用の観点から

一 宣長と地図

二 宣長の地図貸借のネットワーク

三 宣長の手にした世界図-秋成との論争より

  1 秋成の世界図利用

  2 宣長の世界図利用

四 世界図への接近

  1 世界図の画期

  2 知のネットワークと世界図

五 宣長の知的関心と世界図



第二部 江戸期最大の地図作製者、森幸安



第四章 「ナゾのカルトグラファー」の実像

一 森幸安をめぐって

  1 「ナゾのカルトグラファー」

  2 「ナゾ」解明の第一歩

  3 新たな森幸安像にむけて

  4 幸安の著した地誌

二 京都居住時代の実像

  1 幸安の職業

  2 幸安の御所体験

  3 各地の巡視

  4 図的関心の萌芽

  5 山州から摂州へ

三 「山州撰」に見る幸安

  1 「山州撰」執筆の契機

  2 「山州撰」の構成と既存書物との関係

  3 「再撰」の具体相

四 もう一つの京都地誌「皇州緒餘撰」

  1 「皇州緒餘撰」の構成

  2 「後撰」の意味

五 幸安実像の一端



第五章 森幸安の地誌と地図

一 幸安との再会

二 京都関係の地図・地誌

  1 幸安作製の京都・山城国関係地図

  2 地誌と地図

三 幸安の京都歴史地図の情報源

  1 「皇城大内裏地図」の建物配置と文字注記

  2 『山城名勝志』と京都歴史地図

四 京都歴史地図作製における幸安の姿勢

  1 本能寺域南辺の確定

  2 幸安による本能寺周辺の復原作業

  3 幸安の京都に関する地誌と地図の関係

  4 幸安の「時の断面」-歴史アトラス構想

五 地誌作成から地図作製へ



第三部 地図と一八世紀の社会



第六章 地図貸借から見える知識人社会

一 知識人の地図収集

二 吉賢と地図

  1 渡辺吉賢について

  2 地図資料について

三 吉賢の地図の収集206

  1 久保重宜、並河誠所

  2 宇野宗明(奈良屋九郎兵衛)

  3 橘守国

  4 武士との交流

  5 吉賢の旅行と他の地図収集家

四 吉賢所蔵図の利用

  1 幸安との関係

  2 吉賢の知名度

五 地図収集ネットワークの広がり

  1 空間的広がり

  2 身分・職業的広がり

  3 時間・世代的広がり

六 「図を好む」者たちのネットワーク



第七章 博物学と地図収集ネットワーク

一 文化としての地図収集

二 地図収集家の別の顔

  1 渡辺吉賢の薬物会出品

  2 「いとこのめる人」

三 知識人の博物学的関心と地図

  1 博物文化の牽引者たちの収集品

  2 地図を好んだ弄銭家

  3 博物学的探究と地図

四 宝暦の博物ネットワーク

  1 博物収集ネットワークの構造

  2 中心に位置する人物の個性

  3 紀行文「東海濟勝記」に見える博物収集ネットワーク

五 博物収集の文化と地図



第八章 三才須知-地図収集の政治・思想的背景

一 「地」「図」の重要性

  1 産地理解にむけた地理的知識の希求

  2 「正しさ」を求めた視覚文化

  3 収集文化の時代

二 享保期の廻村政策と地域社会

三 収集文化の思想的背景

  1 ベストセラー作家、貝原益軒

  2 天地人

  3 天地人の受容

四 収集文化を生み出した環境





あとがき

図表一覧

索  引


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