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中東欧・ロシアとラテンアメリカネオリベラリズムの実践現場

地域研究のフロンティア2
ネオリベラリズムの実践現場 中東欧・ロシアとラテンアメリカ

菊判 366ページ 上製
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-87698-272-1 C3331
奥付の初版発行年月:2013年03月 / 発売日:2013年03月下旬

内容紹介

新自由主義は,途上国における超インフレの解消等,一定の成果を挙げたものの,多くの国で格差を拡大させた。なぜ,かくも新自由主義は世界を席巻 したのか。冷戦下でのアメリカの戦略として導入された南米,社会主義崩壊後の「空白」地帯への浸透として広がった東欧を舞台に,政策化し実行したアクターのリアルな姿を分析し,新自由主義を歴史化する。

著者プロフィール

村上 勇介(ムラカミ ユウスケ)

1964年生まれ 京都大学地域研究統合情報センター准教授
ラテンアメリカ地域研究,政治学専攻
最近の業績は,Per en la era del Chino: la poltica no institucionalizada y el pueblo en busca de un salvador (2a. edicin),(Instituto de Estudios Peruanos, 2012),Dinmica politico-econmica de los pases andinos (editor),(Instituto de Estudios Peruanos, 2012)他。

仙石 学(センゴク マナブ)

1964年生まれ 西南学院大学法学部教授
比較政治学,中東欧比較政治経済専攻
最近の業績は,『ポスト社会主義期の政治と経済—旧ソ連・東欧の比較』(林忠行と共編)(北海道大学出版会,2011年),「中東欧諸国におけるケア枠組みのジェンダー的側面—女性に期待される役割が国により異なるのはなぜか」日本比較政治学会編『ジェンダーと比較政治学(日本比較政治学会年報13号)』(ミネルヴァ書房,2011年)他。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき

序 章 ネオリベラリズムの比較研究—意義と目的 [村上勇介・仙石 学]
Ⅰ ネオリベラリズム/新自由主義とは
Ⅱ 「ネオリベラリズムの実践」をめぐる問題群
Ⅲ 本書の目的と構成

第1部 自由主義指向経済学の伝播

第1章 「グローバル・リベラリズム」とロシア—上からの啓蒙の実験 [上垣 彰]
Ⅰ 外国人アドヴァイザーと「グローバル・リベラリズム」
Ⅱ 上からの啓蒙としての「グローバル・リベラリズム」
Ⅲ 思想史の中の「グローバル・リベラリズム」
Ⅳ 今後の課題
第2章 「シカゴ・ボーイズ」とチリ—ネオリベラリズム「理念」の形成と浸透 [竹内 恒理]
Ⅰ シカゴ・ボーイズの発生
Ⅱ アメリカによる知的ヘゲモニーの構築戦略
Ⅲ アメリカのアカデミズム援助戦略とシカゴ・ボーイズ
Ⅳ ネオリベラリズム政策の浸透

第2部 政治過程に対するネオリベラリズムの影響

第3章 過去の克服としての「新自由主義なるもの」—エストニアの社会正義観と改革党の成功 [小森 宏美]
Ⅰ 政策選択をめぐる複数の要因
Ⅱ エストニアの社会経済政策
Ⅲ 社会の反応と知識人からの異議申し立て
Ⅳ 社会経済政策と社会正義観
第4章 スロヴァキア政党政治における「第二世代改革」—遅れてきた新自由主義の「成功」と「定着」 [林 忠行]
Ⅰ スロヴァキアでの新自由主義の発現
Ⅱ スロヴァキアにおける経済自由主義の受容
Ⅲ 第一次ズリンダ内閣とスロヴァキア民主キリスト教連合の結成
Ⅳ 2002年選挙と経済自由主義
Ⅴ 第二次ズリンダ内閣の社会経済改革
Ⅵ 2006年選挙以降
第5章 中東欧諸国における「ネオリベラリズム的改革」の実際—「さらなる改革」が求められるのはいかなる時か [仙石 学]
Ⅰ 中東欧諸国における「第2世代改革」—「市場経済への転換」を超えるネオリベラル的改革とは?
Ⅱ 中東欧諸国における「第2世代改革」の実施状況—2000年代における政策変更に注目して
Ⅲ ネオリベラル的改革をめぐる対立の「争点化の形」—「第2世代改革」の存否を分けるもの
Ⅳ 「改革の争点化の形」という視点の有効性—ラテンアメリカとの比較から
第6章 ネオリベラリズムと政党—ラテンアメリカの政治変動 [村上 勇介]
Ⅰ ネオリベラリズムの浸透と政治への影響
Ⅱ ネオリベラリズムの浸透とその帰結
Ⅲ 政党への影響
Ⅳ 政党政治の定着へ向けて
第7章 新自由主義の功罪と「左傾化」—背景と実際 [上谷 直克]
Ⅰ ラテンアメリカにおける「左傾化」
Ⅱ 左傾化の政治的背景を探る—新自由主義は民主政治にいかなるインパクトを与えたのか?
Ⅲ 「左傾化」現象は,人びとのいかなる心情や態度を反映しているのか?—「左傾化の理由」をめぐって
Ⅳ 左派政権の政策選択と実績(パフォーマンス)について
Ⅴ 政策選択の収斂と,現実主義的な有権者

第3部 ネオリベラル的経済運営の実際

第8章 ロシアにおける私有化政策—「資本主義企業化」の実態 [安達 祐子]
Ⅰ 私有化政策の問題点
Ⅱ ロシアの私有化の独自性・特殊性
Ⅲ ソ連型企業の私有化と「資本主義企業化」
Ⅳ 事例研究その1—アルミニウム工場の私有化
Ⅴ 事例研究その2—石油会社ユコスの私有化
Ⅵ 90年代私有化の政策的含意
第9章 ブラジルの新自由主義—「幸運な自由化」はなぜ可能だったか [浜口 伸明]
Ⅰ ブラジルにおける新自由主義の登場
Ⅱ コロル政権の力ずくの自由化(1991〜92年)
Ⅲ カルドーゾ政権の無防備な自由化(1995〜2002年)
Ⅳ ルーラ政権の幸運な自由化(2003〜10年)
Ⅴ ブラジルにおける民主主義と新自由主義

*   *   *

終 章 「ネオリベラリズムの実践」を比較する—複雑な現実から見えてくるもの [仙石 学]
Ⅰ 中東欧・ロシアとラテンアメリカを比較する—これまでの研究から
Ⅱ 新興民主主義国における「ネオリベラリズムの実践」—本書の議論から
Ⅲ 残された課題に向けて

索 引
執筆者紹介


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