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 「資源化」と総力戦体制の東アジア日本帝国圏の農林資源開発

農林資源開発史論II
日本帝国圏の農林資源開発 「資源化」と総力戦体制の東アジア

A5判 450ページ 上製
定価:3,800円+税
ISBN978-4-87698-260-8 C3061
奥付の初版発行年月:2013年02月 / 発売日:2013年02月下旬

内容紹介

20世紀初頭,両大戦の深化とともに日本の入植は樺太・満洲・南洋へと拡大し,著しく増えた内地の食料需要を補完する体制を構築した.かくして成立した「日本帝国圏」はどのように資源開発を展開したのか.帝国圏とはいかなる歴史的空間として捉えられるのか.組織化と動員の拮抗を軸に,農林資源化の歴史過程を具体的に解明する.

著者プロフィール

野田 公夫(ノダ キミオ)

京都大学大学院農学研究科教授
専攻:近現代日本農業史、世界農業類型論
主要業績
『戦間期日本農業の基礎構造農地改革の史的前提』文理閣、1989年
『歴史と社会 日本農業の発展論理』農山漁村文化協会、2012年

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき
日本帝国圏関連地図

序章 日本帝国圏の農林資源開発 −課題と構成− 野田公夫
 はじめに
 第一節 帝国圏農林業の役割 内地農林産物の海外依存
  一.日本「内地」における農林資源開発の限界
  二.内地農林産物需要の海外依存状況
  三.帝国圏農林業への期待
 第二節 帝国圏における農林資源開発の基本視角 二つの研究に学びつつ
  一.「満洲における森林消滅(安富・深尾編『「満洲」の成立』)」を素材に
  二.「朝鮮における植民地権力の緑化主義(井上編『森林破壊の歴史』)」を素材に
  三.本書の視角 再生産性と現場性という立脚点
 第三節 章別編成と諸論点
  一.第Ⅰ部 帝国圏という視座
  二.第Ⅱ部 帝国圏諸地域の農林資源開発

第Ⅰ部 日本帝国と農林資源問題

第一章 日本帝国圏における農林資源開発組織 −産業組合の比較研究− 坂根嘉弘
 はじめに
 第一節 日本帝国圏における産業組合の比較
 第二節 樺太における産業組合
  一.農林資源開発組織としての産業組合
  二.樺太産業組合数の推移と組織基盤
  三.組合員の職業別構成
  四.樺太産業組合の経営状況
  五.樺太産業組合界のリーダー
  六.産業組合の不振と樺太農村社会
 第三節 南洋群島における産業組合
  一.南洋群島の金融事情と産業組合令
  二.南洋群島産業組合の設立とその基盤
  三.個別組合の経営状況
  四.貸付事業
 第四節 農業の発展と産業組合
 おわりに
第二章 総力戦体制下における「農村人口定有」論 −『人口政策確立要綱』の人口戦略に関連して− 足立泰紀
 はじめに
 第一節 人口政策確立要綱における人口戦略
  一.人口問題・人口政策の経緯
   人口過剰論から人口不足論へ/『人口政策確立要綱』における人口思想
  二.『人口政策確立要綱』企画関係者における農業人口論
   農村の「人的資源の過剰と労力の不足」論/国土計画と人口増強戦略
 第二節  「農業人口定有」問題をめぐって
  一.「農業人口・農家割当て」論
  二.「小農経営」論からの危惧
 おわりに
第三章 日満間における馬資源移動 −満洲移植馬事業一九三九〜四四年− 大瀧真俊
 はじめに
 第一節 満洲移植馬事業の概要
  一.日中戦争以前
  二.「日満ニ亘ル馬政国策」
  三.事業計画
  四.事業実績
 第二節 軍馬資源としての移植 一九三九〜四〇年
  一.移植開始とその問題
  二.損耗馬の多発
 第三節 馬の大規模徴発による中断 一九四一〜四二年
  一.戦局の変化と移植馬事業
  二.北海道農法の導入
 第四節 役馬資源としての移植 一九四三〜四四年
  一.軍馬から役馬へ
  二.日本馬の不足
 おわりに
第四章 帝国圏における牛肉供給体制 −役肉兼用の制約下での食肉資源開発− 野間万里子
 第一節 近代における牛肉需要動向
 第二節 朝鮮牛輸移入の本格化
 第三節 内地における食肉資源開発
  一.肥育先進地としての滋賀県
  二.滋賀県における牛肥育技術
  三.県農会による肥育技術普及事業
  四.肉牛の理想
 第四節 肉牛としての朝鮮牛評価 畜産試験場肥育試験結果を中心に
  一.供試牛について
  二.飼料について
  三.増体について
  四.屠肉について
 おわりに

第Ⅱ部 帝国圏農林資源開発の実態

第五章 戦時期華北占領地区における綿花生産と流通 白木沢旭児
 はじめに
 第一節 中国綿花への期待
  一.統計的分析
  二.日中戦争期の期待
  三.一九四〇年「外交転換」後の期待
  四.中国綿花の用途
 第二節 中国綿花の生産・流通の実績
  一.日中戦争・太平洋戦争下の生産・流通量の減少
  二.食糧問題の深刻化 一九四〇年代
 第三節 綿花収買機構の再編
  一.日系商社の進出
  二.棉産改進会系合作社
  三.華北合作事業総会の設立
 おわりに
第六章 「満洲」における地域資源の収奪と農業技術の導入 −北海道農法と「満洲」農業開拓民− 今井良一
 はじめに
 第一節 北海道農法導入以前の試験移民における地域資源の収奪
  一.第一次開拓団「弥栄村」における森林資源の枯渇
  二.第三次開拓団「瑞穂村」における地主化
 第二節 他の開拓団および義勇隊における北海道農法の普及実態
  一.満洲への北海道農法導入の経緯
  二.北海道農法先進開拓団の農業経営と生活 第七次北学田開拓団を事例に
  三.他の開拓団および義勇隊における北海道農法の普及実態
 第三節 満洲現地農事試験場および普及員・農具の問題点
  一.満洲現地農事試験場における問題点
  二.普及員の問題点
   普及員の数/普及員としての能力
  三.農具の問題点
   北海道農具の不足状況(量的問題)/農具の質的問題
 第四節 農業開拓民側の問題点
  一.開拓民の新農法の受け入れ能力
   開拓民の農業に対する意欲の低下・喪失/開拓民の経済力の欠如/
   満洲農業に不慣れな開拓民
  二.開拓民のニーズ
 おわりに
第七章 植民地樺太の農林資源開発と樺太の農学 −樺太庁中央試験所の技術と思想− 中山大将
 はじめに
   課題/帝国の農学/方法と資料/画期と構成
 第一節 農林水産資源開発と拓殖体制(一九〇五年八月〜一九三七年六月)
  一.水産資源
  二.森林資源
  三.農地資源
  四.中央試験所の設置
 第二節 樺太庁中央試験所の技術と樺太拓殖体制
  一.農業部門
  二.畜産部門
  三.林業部門
  四.水産部門
 第三節 総力戦体制の構築(一九三七年七月〜一九四五年八月)
  一.国防体制
  二.中試新部門の設置
   化学工業部/保健部/敷香支所
  三.内地編入と孤島化
  四.北方資源開発と中試の思想
 第四節 樺太の資源動員と農学 むすびにかえて
  一.樺太の資源開発
  二.中試の技術
  三.中試の思想
  四.拓殖体制と総力戦体制
第八章 委任統治領南洋群島における開発過程と沖縄移民 −開発主体・地域・資源の変化に着目して− 森亜紀子
 はじめに
  一.背景と研究史
  二.課題と方法
 第一節 サイパン島・テニアン島の開発と製糖業の興隆 第Ⅰ期 一九二二〜一九三一
  一.南洋興発によるサイパン島の開発
  二.テニアン島の開発と製糖業の興隆
 第二節 パラオ諸島・トラック諸島・ポナペ島の開発と鰹節製造業の興隆および市街地化 第Ⅱ期 一九三二〜一九三六
  一.南洋興発の事業の多角化と鰹節製造業の興隆
  二.南洋庁植民地区画における蔬菜・鳳梨(パイナップル)栽培の萌芽
  三.商業の発達と移民のくらし
 第三節 パラオ諸島の南進拠点化と群島全域における熱帯資源開発および要塞化 第Ⅲ期 一九三七〜一九四三
  一.南洋群島開発計画の変容
   「南洋群島開発十箇年計画」の実施/新たな開発計画の樹立/
   東南アジア占領後における群島産業の位置づけ
  二.新興産業の勃興と南洋庁の植民地区画事業 パラオ諸島を中心に
   南洋拓殖および系列企業による熱帯資源開発事業/
   南洋庁・南洋拓殖による沖縄移民の募集/南洋庁の植民地区画事業
  三.南洋興発の製糖事業の変容 サイパン・テニアン・ロタ島を中心に
   製糖事業地の縮小/沖縄移民の人夫化
 おわりに
終章 帝国圏農林資源開発の実態と論理 野田公夫
 はじめに
 第一節 本書が明らかにしたこと
  一.帝国という視角から(第Ⅰ部)
  二.帝国圏農林資源開発の実態(第Ⅱ部)
 第二節 開拓農民の存在形態 帝国圏経営と開拓民私経済:二つの論理の対抗
  一.帝国圏農業資源開発をめぐる基本矛盾
  二.「内地延長的生活」という言葉
  三.樺太の農業開拓民 須田政美の証言
  四.満洲の農業開拓民 島木健作の観察
  五.農業開拓政策の根本矛盾 帝国経済的合理性vs私経済的合理性
  六.南洋群島移民の独自性
 第三節 一つの批判軸 上野満の「満洲」経験
  一.上野満の事例的意味
  二.満洲農業移民政策への批判
  三.上野満の開拓地経営
  四.上野の経験の例外性
 第四節 日本帝国農林資源開発をめぐる諸論点
  一.帝国圏諸地域の農林資源開発
  二.諸アクターの能動性について とくに開拓民の寄生的性格に注目して
 おわりに

あとがき
英文要約
索  引


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