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市場・人格と民法学

市場・人格と民法学

A5判 464ページ 上製
価格:8,360円 (消費税:760円)
ISBN978-4-8329-6741-0 C3032
奥付の初版発行年月:2012年02月 / 発売日:2012年02月上旬
発行:北海道大学出版会  
発売:北海道大学出版会
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内容紹介

本書は、民法と憲法、民法改正、民事特別法制の意義、サブリース契約、遺言という民法学の重要論点を網羅した論考集である。
 1990年代以降の日本は、法システムの大きな変動期に入っている。変動を主導している価値は、大きくは2つに整理できるであろう。1つは市場の価値である。とりわけ市場の自由が称揚され、法は、市場の自由を支援するところに自己の役割を限定すべきものとされる。そのようにして、事前規制から事後規制への転換が語られ、規制緩和が法政策を主導する重要な理念となる。もう1つは人格の価値である。法は、現代社会における多様な個人に関わる多様な価値を考慮することを要請される。自由もまたそのような価値として重要な意味を持つが、それだけでなく、平等や生活・生存の価値も重要である。1990年代以降の日本法システムの変動は、これらの多様な人格的価値を法が支援するという要請にも主導されている。
 本書は、このような法システムの変動と2つの価値の相剋という問題状況を念頭に置きつつ、1990年代末から2000年代にかけて公表してきた諸論考から一定数のものを選び出して一書に編んだものである。

著者プロフィール

吉田 克己(ヨシダ カツミ)

1949年生.東京大学法学部卒,北海道大学法学研究科教授.『フランス住宅法の形成-住宅をめぐる国家・契約・所有権』(東京大学出版会,1997)『現代市民社会と民法学』(日本評論社,1999)『ジェンダーの比較法史学』(大阪大学出版会,2006,共著)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第Ⅰ部 日本法システムの変容と人格的価値
 第1章 90年代日本法の変容
 第2章 民事法制の変動と憲法
 第3章 憲法と民法--問題の位相と構造
 第4章 私人による差別の撤廃と民法学 
 第5章 家族法改正問題とジェンダー
 第6章 家族法改正で問われるべきもの
 第7章 民法改正と民法の基本原理

第Ⅱ部 特別法制と市場・人格
 第8章 借地借家法制の経済社会的分析
 第9章 定期借家権を考える
 第10章 市場秩序と民法・消費者
 第11章 労働契約と人格的価値

第Ⅲ部 サブリース契約と市場
 第12章 サブリース契約と借地借家法32条に基づく賃料減額請求
 第13章 サブリース最高裁判決の意義と射程
 第14章 賃料不減額特約と借地借家法11条1項に基づく賃料減額請求
 第15章 サブリース契約と正当事由

第Ⅳ部 遺言と公序--遺言処分と「相続させる旨の遺言」をめぐって
 第16章 「相続させる」旨の遺言--遺産分割不要の原則の検証
 第17章 「相続させる」旨の遺言・再考
 第18章 遺言による財産処分の諸態様と遺産分割


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