大学出版部協会

 

アメリカの環境訴訟

北海道大学大学院法学研究科研究選書
アメリカの環境訴訟

A5判 394ページ
定価:5,000円+税
ISBN978-4-8329-6684-0 C3032
奥付の初版発行年月:2008年01月 / 発売日:2008年01月下旬

内容紹介

アメリカ環境法研究の第一人者が1970 年代から最近までの環境訴訟の動向を,原告適格論の流れに焦点を合わせて全体的,かつ簡明に叙述。 単なる判例紹介に止まらず,事件の背景や関連する法律の概要,当事者の歴史や沿革,活動内容,社会的評価等にも言及する.


著者プロフィール

畠山 武道(ハタケヤマ タケミチ)

1944年 北海道旭川市生まれ
1967年 北海道大学法学部卒業
1972年 北海道大学大学院法学研究科博士課程修了
1973年 立教大学法学部専任講師。その後,同助教授,教授
1989年 北海道大学法学部教授
2005年 上智大学大学院地球環境学研究科教授,現在にいたる
主  著
『アメリカの環境保護法』北海道大学図書刊行会,1992年
『環境法入門』〈共著〉日本経済新聞社,初版2000年,第2版2003年,第3版2007年
『環境影響評価実務—環境アセスメントの総合的研究』〈共著〉信山社,2000年
『自然保護法講義』北海道大学出版会,初版2001年,第2版2004年
『生物多様性保全と環境政策—先進国の政策と事例に学ぶ』〈共著〉北海道大学出版会,2006年)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第一章 アメリカ環境訴訟手続
 第一節 裁判制度のあらまし
  一 二本立ての裁判制度
   二 事物管轄権
   三 対人管轄権
   四 裁判地
 第二節 司法審査訴訟の種類
   一 個別制定法による司法審査訴訟
   二 一般制定法による司法審査訴訟
   三 制定法によらない司法審査訴訟
 第三節 司法審査訴訟と訴訟要件
   一 司法判断適合性とその根拠
   二 司法判断適合性の内容
   三 行政救済の完了(exhaustion of administrative remedies)
   四 第一次的管轄権(primary jurisdiction)
 第四節 環境訴訟の手続
   一 トライアル前手続
   二 トライアル(正式事実審理)
 第五節 環境訴訟と司法審査規定
   一 連邦環境法の司法審査規定
   二 APA(連邦行政手続法)の司法審査規定(条文番号は、合衆国法典による)
   三 市民訴訟規定とAPA

第二章 合衆国における原告適格法理の変遷
 第一節 政府を被告とする訴訟と私権訴訟モデル
 第二節 行政国家の到来と原告適格法理の登場
   一 公的規制の増加と司法権の反発
   二 司法消極主義の支配と「法的権利」テスト
   三 新たな受益者の登場と「法的に保護された利益」テスト
   四 連邦行政手続法の制定と「法的損害」規定
 第三節 市民運動の台頭と原告適格論
   一 司法積極主義への転換
   二 公益の代弁者としての環境団体──ハドソン川揚水式発電所事件
 第四節 原告適格の拡大と新たな混迷の始まり──「事実上の損害」テストへの転換
   一 フラスト対コーエン事件
   二 データ処理サービス団体連合会事件
   三 「事実上の損害」テストの意義と評価
 第五節 環境の時代の原告適格論
   一 ミネラルキング渓谷事件──事実の経過
   二 訴えの提起と下級審裁判所判決
   三 最高裁判所判決
   四 SCRAP事件判決と原告適格の究極の拡大
 第六節 保守化の時代の原告適格論
   一 憲法訴訟・納税者訴訟等における原告適格の制限
   二 原発訴訟の原告適格──デューク電力会社事件
   三 小括
   四 余録──日本捕鯨協会事件

第三章 スカリアの時代と現代原告適格論の完成
 第一節 スカリア裁判官の原告適格論
 第二節 全米野生生物連盟事件(ルハンⅠ判決)
   一 事実の概要
   二 最高裁判所判決
 第三節 野生生物の防衛者事件(ルハンⅡ判決)
   一 事実の概要
   二 最高裁判所判決
   三 ルハンⅡ判決(スカリア理論)の評価と批判
 第四節 現代原告適格論の構造
   一 原告適格要件の定式化
   二 「事実上の損害」の態様
   三 「事実上の損害」の発生要件

第四章 利益の圏内テストとライプネス
 第一節 利益の圏内テスト
   一 利益の圏内テストの意義
   二 環境訴訟と利益の圏内テスト
   三 市民訴訟条項と利益の圏内テスト(ベネット対スピア事件)
 第二節 ライプネス(紛争の成熟)
   一 ライプネスの意義
   二 環境訴訟とライプネス
   三 国有林管理計画を争う訴訟
   四 オハイオ森林協会事件

第五章 手続違反を主張する者の原告適格
 第一節 NEPA訴訟の原告適格
   一 NEPAとNEPA訴訟
   二 問題の整理
   三 ルハンⅠ・Ⅱ判決以前の控訴裁判所判決
   四 全米野生生物連盟事件(ルハンⅠ判決)
   五 野生生物の防衛者事件(ルハンⅡ判決)
   六 ルハンⅡ判決以降の控訴裁判所判決
   七 判例の分析と要約
 第二節 エイキンズ事件

第六章 レイドロー事件判決とその波紋
 第一節 レイドロー事件
 第二節 レイドロー事件以後の控訴裁判所判決
   一 「事実上の損害」に関する控訴裁判所判決
   二 「手続的損害」、「情報的損害」に関する控訴裁判所判決
   三 規則制定を争う原告の「損害」立証の程度
 第三節 レイドロー事件以後の最高裁判所判決

第七章 市民訴訟と原告適格
 第一節 市民訴訟の概要
   一 市民訴訟の意義
   二 市民訴訟の沿革
   三 主要な市民訴訟条項
 第二節 市民訴訟の手続的要件
 第三節 市民訴訟の原告適格
   一 「事実上の損害」の要否(ルハンⅡ判決)
   二 団体の原告適格
   三 過去の違法行為に対するペナルティの賦課
 第四節 スチール会社事件
 第五節 市民訴訟と訴訟手続上の制約
 第六節 市民訴訟の推移と評価

第八章 動物に原告適格はあるのか
 第一節 種の保存法と捕獲禁止規定
   一 種の保存法と「捕獲」の禁止
   二 ESAの捕獲禁止規定
 第二節 ハワイ島マウナケアにて
   一 パリラ(キムネハワイマシコ)
   二 事件の発端
   三 パリラⅠ判決
   四 パリラⅡ判決
   五 パリラⅢ判決
   六 パリラⅣ判決
 第三節 スイートホーム事件
   一 事実の概要
   二 最高裁判所判決
 第四節 フロリダ海岸のウミガメ
   一 ウミガメの直面する過酷な生存状況
   二 アカウミガメⅠ判決
   三 その後の本案審理
   四 アカウミガメⅡ判決
   五 アカウミガメⅢ判決
   六 アカウミガメ判決の波紋
 第五節 パリラⅣ判決を引用して動物の原告適格を認めた判決
   一 マダラウミスズメ事件
   二 アカウミガメ事件
 第六節 原告適格を否定された動物達
   一 ハワイガラス(アララ)
   二 イルカ(愛称カマ)
   三 オポッサム
   四 ギンザケ
   五 判例集に登場するその他の動物達
 第七節 そして、クジラ・イルカ

初出一覧
判例索引
事項索引


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。