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公務員労働基本権の再構築

公務員労働基本権の再構築

A5判 358ページ
定価:5,300円+税
ISBN978-4-8329-6601-7(4-8329-6601-4) C3032
奥付の初版発行年月:2006年02月 / 発売日:2006年02月下旬

内容紹介

公務員制度改革が進められるなか,公務員の労働基本権に対する制限・禁止の理論的解明は喫緊の課題であるといえる.本書は,公務員の労働基本権保障を適正手続保障という新たな観点から捉え直し,従来の学説と判例の二項対立状態を止揚する理論的枠組みを提示する.

著者プロフィール

渡辺 賢(ワタナベ マサル)

1958年生まれ。北海道大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。法学博士。北海道大学法学部助手、北海道教育大学岩見沢校助教授、帝塚山大学大学院法政策学部教授などをへて、現在、大阪市立大学法学部教授。

主要論文
「手続的デュー・プロセス理論の一断面:合衆国移民法制を素材として(1)〜(8・完)」(北大法学論集40-3,40-4,41-2,42-1,42-3,42-5,43-6,46-1)
「難民の人権と平和的生存権」深瀬忠一他編『恒久世界平和のために:日本国憲法からの提言』(勁草書房、1998年)
「産業医の活動とプライバシー」保原喜志夫編著『産業医制度の研究』(北海道大学図書刊行会、1998年)
「公務員の労働基本権:団交権に関する一考察」高見勝利他編『日本国憲法解釈の再検討』(有斐閣、2004年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき
序  論
第一部 公務員の労働基本権
はじめに
第一章 現行法制度の形成史
 一 敗戦直後から政令二〇一号公布・施行前まで
 二 現行制度の形成
第二章 最高裁判例・学説の概要
 一 判例理論の展開
 二 学説の批判の概要
第三章 今後の展望
 一 判例理論の到達点の確認と代償措置論──ひとつの解釈上の課題
 二 判例理論における労働基本権保障の憲法上の位置づけ
 三 制度改革の動向
 四 公務員の勤務関係における集団的労使関係秩序形成の意義
おわりに

第二部 適正手続保障としての労働基本権
はじめに
第一章 憲法二八条をめぐる議論の系譜と公務員制度史の展開
第一節 憲法二八条と制憲過程
第二節 戦後改革期における公務員制度改革に現れた思考
第三節 憲法二八条論の系譜
第四節 新たな視点への示唆
第二章 制度上の問題点の確認
第一節 団結権
第二節 団体交渉権・協約締結権
第三節 争議権
本章のまとめ
第三章 適正手続保障としての公務員の労働基本権
はじめに
第一節 労働基本権をめぐる議論の概況と留意すべき視点
 一 公務員の争議行為禁止規定をめぐる論点と判例状況の概観
 二 判例理論の動向に関する留意点
 三 従来の学説
 四 考察のための一般的視点
第二節 全農林警職法事件最大判から名古屋中郵事件最大判へ──労働基本権制限の根拠と憲法二八条
 一 全農林警職法事件最大判のいう「公務員の地位の特殊性・職務の公共性」論の限界
 二 名古屋中郵事件最大判と財政民主主義・議会制民主主義の要請
第三節 勤務条件の決定システムとその特徴──争議行為禁止規定の合憲性
 一 はじめに
 二 私企業労働者の労働条件の法的構造
 三 非現業公務員の勤務条件決定内容とその主体──具体的制度に即して
第四節 代償措置論の諸相−−労働基本権保障とアカウンタビリティ
 一 法令違憲論の中での代償措置論と適正手続保障としての労働基本権
 二 適用違憲論の中での代償措置と適正手続保障としての労働基本権
 三 裁量濫用論
おわりに

第三部 公務員の勤務条件決定システムと団体交渉
第一章 行政機関の多様性と労働条件決定システム──独立行政法人を素材として
はじめに
第一節 非現業公務員の勤務関係と職員団体の「交渉」
 一 制度の確認
 二 「交渉」の態様
 三 「交渉」の類型
第二節 独立行政法人の労働条件決定システムと「交渉」
 一 制度の確認
 二 想定される「交渉」──独立行政法人を中心に
第三節 それぞれの「交渉」の対比
 一 独法移行前における「交渉」の性格と法的許容性
 二 独法移行後における「交渉」の性格と法的許容性
 三 交渉ルールの構成要素
 四 交渉過程における不利益救済
む す び──憲法二八条の団体交渉権論への示唆
第二章 非現業公務員の勤務条件決定システムと団体交渉権──視点の提示
第一節 判  例
第二節 学説と視点の提示
第三章 公務員の勤務条件と団体交渉事項──合衆国・ドイツに関する比較法的検討
第一節 合衆国の法状況
 一 合衆国における一般的状況と団体交渉事項
 二 合衆国法制度上の団体交渉のパターン
 三 管理権理論
 四 主権理論及び民主主義的参加理論と団体交渉
 五 協約の効力に関する制度のパターン
 六 わが国の議論にとって合衆国法の議論が有する意義と限界
第二節 シュレスビヒ・ホルシュタイン州職員代表共同決定法違憲決定
 一 はじめに
 二 公務員制度のあり方
 三 勤務条件決定システムと公務員の関与(Beteiligung)システム
 四 シュレスビヒ・ホルシュタイン州職員代表共同決定法違憲決定を取り上げる理由
 五 シュレスビヒ・ホルシュタイン州職員代表共同決定法違憲決定
 六 若干のコメント
第四章 公務員の団体交渉権論再検討の試み──相関関係論に基づく弾力的団体交渉権理論
第一節 比較法的知見の要約
第二節 公務員の団体交渉権再検討の試み
 一 ありうる団体交渉パターンのモデル
 二 団体交渉事項の区分
 三 相関関係論に基づく弾力的団体交渉権理論
まとめにかえて

補論 人事院(全日本国立医療労組)事件



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