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 混迷と和解歴史としての日教組 下

歴史としての日教組 下 混迷と和解

A5判 326ページ 上製
定価:3,800円+税
ISBN978-4-8158-0973-7 C3037
奥付の初版発行年月:2020年02月 / 発売日:2020年02月上旬

内容紹介

現代日本の歴史において重要な役割を果たしてきた日教組。膨大な非公開史料や関係者へのインタビューに基づき、リアルな日教組像を明らかにする学術的研究。下巻では、1980年代の労働戦線の再編から、教育運動の転換、文部省との「歴史的和解」まで、新たな路線選択の時代に迫る。

前書きなど

この下巻(第II部)では、一九八〇年代―九〇年代半ばの時期の日本教職員組合(以下、日教組)の変容を考察する。この時期の日教組は、外部の大きな状況の変化によって、運動のあり方にさまざまな行き詰まりが見られるようになっていった。組織内の混乱を伴いながら、新たな路線が模索され、選択されていったのが、この時期の日教組だったといえる。

一九八〇年代には、日教組の外側の労働界全体で起きていた労働戦線の再編の波を日教組もかぶり、「四〇〇日抗争」と呼ばれる主流派内の深刻な対立を経験し、さらには共産党系の反主流派単組のほとんどが離脱していくことになった。共産党系の単組のほとんどがいなくなって社会党系の単組を中心にした日教組は、一九八九年に新たに発足した日本労働組合総連合会(連合)に加入するとともに、現実主義的な観点から文部省との関係を改善する可能性を模索するようになった。運動方針の転換を模索していった日教組執行部の苦心と、いくつかの歴史的偶然とが重なって、一九九五年には文部省との関係が改善に至った。文部省と日教組の「歴史的和解」である。

……

[「序章」冒頭より]

著者プロフィール

広田 照幸(ヒロタ テルユキ)

1959年生まれ
1988年 東京大学大学院教育学研究科修了
南山大学文学部助教授、東京大学大学院教育学研究科教授などを経て
現 在 日本大学文理学部教授、日本教育学会会長
著 書 『陸軍将校の教育社会史』(世織書房、1997年、サントリー学芸賞)
    『教育言説の歴史社会学』(名古屋大学出版会、2000年)
    『ヒューマニティーズ 教育学』(岩波書店、2009年)
    『教育は何をなすべきか』(岩波書店、2015年)
    『教育改革のやめ方』(岩波書店、2019年)
    『大学論を組み替える』(名古屋大学出版会、2019年)
    『士族の歴史社会学的研究』(共著、名古屋大学出版会、1995年)
    『現代日本の少年院教育』(共編著、名古屋大学出版会、2012年)など

末冨 芳(スエトミ カオリ)

日本大学文理学部教授

筒井 美紀(ツツイ ミキ)

法政大学キャリアデザイン学部教授

田中 真秀(タナカ マホ)

大阪教育大学教育学部特任准教授

香川 七海(カガワナナミ)

日本大学法学部助教

植上 一希(ウエガミ カズキ)

福岡大学人文学部准教授

佐藤 晋平(サトウ シンペイ)

佐賀大学教育学部講師

小野 方資(オノ マサヨシ)

福山市立大学教育学部准教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第II部 混迷と和解

序 章 社会の変化と日教組
……………広田照幸
はじめに
1 日教組の運動の高揚と混迷
2 本巻の構成と資料・データ

第1章 1980年代の労働戦線再編の中で
……………広田照幸
はじめに
1 労働戦線統一への流れ
2 1980年代前半の日教組
3 日教組の400日抗争と路線選択
4 反主流派の離脱
おわりに

第2章 「400日抗争」の過程
…………広田照幸/末冨芳/筒井美紀/田中真秀/香川七海
はじめに
1 400日抗争前半期(1986年8月29日―87年3月13日)の展開
2 400日抗争後半期(1987年3月14日―88年2月3日)の展開
おわりに

第3章 1989年の分裂
……………植上一希
はじめに
1 なぜ分裂したのか
2 主流派幹部の情勢判断と運動論理
3 反主流派幹部の情勢判断と運動論理
おわりに

第4章 文部省との「歴史的和解」の政治過程
……………広田照幸
はじめに
1 和解の背景
2 なかなか進まない関係改善
3 和解のプロセス1――自社さ政権の成立と村山首相
4 和解のプロセス2――与謝野文相が動く
5 和解のプロセス3――文部省と日教組との協議
6 自民党と文部省の事情
おわりに

第5章 1990年代の路線転換と21世紀ビジョン委員会
……………佐藤晋平/広田照幸
はじめに
1 21世紀ビジョン委員会の設置
2 目的を規定したもの
3 最重要成果としての中間報告
4 最終報告の隠れた役割――歴史的「和解」の陰で
おわりに

第6章 1995年の運動方針転換への合意形成過程
……………小野方資/広田照幸
はじめに
1 組織内の合意形成に向けたストラテジー
2 運動方針案の作成過程
3 主流左派のインフォーマルな組織内での合意調達過程
4 第80回大会の議論
おわりに

結論に代えて
……………広田照幸
1 3つの課題と軌道修正
2 冷戦と日教組
3 戦後教育史の見直しに向けて

あとがき
初出一覧
参考文献
索引
執筆者一覧

【上巻主要目次】
はじめに
第I部 結成と模索
序 章 日教組の歴史を検証する
第1章 総評結成前の立ち位置の選択
第2章 1949年度中央執行委員の分類
第3章 労働戦線分裂と政治情勢変化の中で
第4章 法的地位の変化とその影響
第5章 マッカーサー書簡、政令201号と日教組
第6章 スローガン「教え子を再び戦場に送るな」の誕生
第7章 「教師の倫理綱領」の作成過程
結論に代えて
初出一覧
参考文献
索引
執筆者一覧


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