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ピグー 財政学

ピグー 財政学 A Study in Public Finance

A5判 338ページ 上製
定価:6,300円+税
ISBN978-4-8158-0969-0 C3033
奥付の初版発行年月:2019年12月 / 発売日:2019年12月上旬

内容紹介

公平原則から説き起こし、課税の原理、各種租税の比較、公債、雇用政策など、財政学の核心を明晰に論じた古典。実際的有用性の観点から今なお評価が高い、ピグー厚生経済学体系の三部作の一つを、重要論文とともに、第一人者が初めて邦訳し現代に問いかける。

前書きなど

1 あらゆる発達した社会には何らかの形態の政府組織がある。それは社会構成員全体を代表していることもあれば、そうでないこともあるが、とにかく個々の構成員に対する強制的権限をもつ。通常、政府組織は大きな権限をもつ単一の中央政府と、限られた権限をもつ多数の地方政府に分けられる。中央政府および地方政府には、それぞれ役割と責務があり、その詳細は地域によって異なる。これらの責務を果たすには経費が必要であり、したがって歳入の調達が必要になる。

2 現代ではこの一連の過程は、ほとんどもっぱら貨幣を媒介にしてなされる。確かに、政府はその必要とする資源を現物の形で調達することもある。例えばほとんどのヨーロッパ諸国では、平時でさえ兵士の用役は徴兵によって調達されるし、また例えばブルガリアのように、通常の行政サービスのための労働が同様にして調達される国さえある。戦時にはこうした徴用(commandeering)が、はるかに広範におこなわれやすく、ときには建物・自動車・馬・食料備蓄なども徴用される。第一次世界大戦の後半には、イギリス政府は国内産の羊毛と小麦をすべて徴用したし、第二次世界大戦中には、男性と同じく女性も国のために徴用された。

だがこうした手段を用いることは、実は、貨幣を用いることの代替手段には……

[本書「第I編」冒頭より]

著者プロフィール

アーサー・C・ピグー(アーサー シー ピグー)

Arthur Cecil Pigou(1877-1959)
イギリスの経済学者。ケンブリッジ学派の創始者A.マーシャルの後継者であり、「厚生経済学」と呼ばれる政策論分野を確立したことで有名。

本郷 亮(ホンゴウ リョウ)

1972年 大阪府に生まれる
2004年 関西学院大学経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)
現 在 関西学院大学経済学部教授
著訳書 『ピグーの思想と経済学』(名古屋大学出版会、2007年)
    『ピグー 富と厚生』(名古屋大学出版会、2012年)他

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡 例


財政学[第3版](1947年)

初版序文
第2版序文
第3版序文

第I編 一般関連問題

第1章 予備的考察(1~4節)
第2章 補償の原則(1~21節)
第3章 政府による非移転支出と移転支出(1~9節)
第4章 公営営利事業の資金調達(1~9節)
第5章 政府支出の範囲(1~6節)
第6章 財政上の公債の位置(戦時国債を除く)(1~5節)

第II編 税 収

第1章 課税の原理(1~8節)
第2章 租税体系と租税式(1~7節)
第3章 租税式どうしの相互作用(1~5節)
第4章 最小犠牲の原理と課税の分配面(1~10節)
第5章 最小犠牲の原理と等所得集団への課税告知(1~10節)
第6章 分配面と告知面の結合(1~5節)
第7章 貯蓄がない場合の均等犠牲所得税の構造(1~19節)
第8章 市場の調整不全を是正するための租税と補助金(1~6節)
第9章 各種支出への差別課税(1~25節)
第10章 所得税と貯蓄(1~7節)
第11章 所得の源泉ごとの差別課税(1~11節)
第12章 投資所得に課税するか、財産に課税するか(1~4節)
第13章 相続税と投資所得税(1~11節)
第14章 土地の公共価値への課税(1~8節)
第15章 独占利潤への課税(1~3節)
第16章 偶発利得への課税(1~11節)
第17章 内国税の国際的影響(1~4節)
第18章 対人税による外国人への課税(1~6節)
第19章 賠償賦課と交換比率(交易条件)(1~16節)
第19章の覚書
第20章 国際金本位制度下で賠償支払が物価に及ぼす影響(1~5節)
第21章 賠償受取国が賠償支払国から得る純歳入(1~4節)
第22章 輸入品ないし輸出品への一般的かつ均一率の従価税(1~14節)
第23章 保護関税(1~6節)

第III編 財政と雇用

第1章 序 章
第2章 総貨幣賃金と雇用の関係
 (貨幣賃金率の変化が総貨幣賃金に反作用を及ぼさない場合)(1~11節)
第3章 貨幣賃金率の変化が総貨幣賃金率に及ぼす反作用の含意(1~6節)
第4章 総貨幣賃金と総貨幣支出の関係(貨幣賃金率が一定の場合)(1~13節)
第5章 総貨幣支出と財政政策(1~17節)
第6章 雇用促進のために公的当局が総貨幣支出を増大させる主な方法(1~4節)
第7章 政府支出のタイミング(1~5節)
第8章 政府が不況期に在庫品を購入し、好況期にそれを販売すること
第9章 景気動向に応じた社会保険料の調整
第10章 不況期における雇用主への賃金補助(1~4節)
第11章 理論分析
第12章 総貨幣賃金の一度限りの増大
第13章 趨勢的変動(1~7節)


善の問題(1908年)


J.M.ケインズ氏の『雇用、利子および貨幣の一般理論』(1936年)


古典派の定常状態(1943年)


参考文献
訳者解題
訳者あとがき
人名索引


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