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 学問と政治のはざまで丸山眞男の教養思想

丸山眞男の教養思想 学問と政治のはざまで

A5判 566ページ 上製
定価:6,800円+税
ISBN978-4-8158-0953-9 C3010
奥付の初版発行年月:2019年07月 / 発売日:2019年07月上旬

内容紹介

「教養」が問い直される時代に――。教養と学問が関係することは、実は自明ではない。教養とは何か。また学問と思想はどのように関わるのか。知識人として、学者として、丸山が発し続けた問いと思考の展開を、遺された言葉の総体から精緻に読み解き、「丸山論」をこえて現代日本に提示。

前書きなど

丸山眞男(一九一四~九六年)が亡くなってからはや二〇年が過ぎたが、すでに生前から丸山に関する数多くの著書・論文が公にされていただけでなく、世を去ってからも、座談や書簡集、回顧談やインタヴュー、ヒアリング等の公刊が相次いでなされ、それに促されたかのように、丸山研究はますます活況を呈してきているかに見える。それには区々たる事情があると思われるが、「政治学者」あるいは「政治思想家」丸山が標的である限り、戦後の政治の動向やそれについての政治思想が主題となることが多いのは、まことに当然のことである。とりわけ、経済学の大塚久雄、法学の川島武宜と並ぶ「戦後民主主義」の旗手・丸山が頻繁に俎上にのせられ、近年ではナショナリスト(国民国家論者)丸山の功罪という捉え方も散見される。それらの少なくとも一部は、先鋭なイデオロギー的対立を含み、毀誉褒貶交々であるが、これまた丸山の政治思想を相手にする以上、やむをえないことかもしれない。それはともかく、このほか丸山の趣味や人間関係などに関する論稿も多々あるけれども、その「教養思想」を正面から探究しようとする研究はこれまでのところ存在していないようである。

おそらく唯一といってもよい例外は、竹内洋『丸山眞男の時代――大学・知識人・ジャーナリズム』(二〇〇五年)であろう。この作品は、「最後の教養人」であった丸山の思想を出版・読書や学生生活・学生運動などの知識……

[「はじめに」冒頭より]

著者プロフィール

西村 稔(ニシムラ ミノル)

1947年 滋賀県に生まれる。京都大学法学部卒業。岡山大学教授、京都大学
教授を経て、現在 京都大学名誉教授、岡山大学名誉教授。
著訳書 『知の社会史――近代ドイツの法学と知識社会』(木鐸社、1987年)
    『文士と官僚――ドイツ教養官僚の淵源』(木鐸社、1998年)
    『福沢諭吉 国家理性と文明の道徳』(名古屋大学出版会、2006年)
    W・ラカー『ドイツ青年運動』(人文書院、1985年)
    F・K・リンガー『読書人の没落』(名古屋大学出版会、1991年)
    M・A・マレー『魔女の神』(人文書院、1995年)ほか

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡 例

はじめに

第1章 戦後の学問と知識人
第1節 知識人と政治
a インテリとファシズム――お化粧的なヨーロッパ的教養
b インテリ像の変容
第2節 心情倫理と教養主義
a 抵抗の思想
b 二つの教養主義
第3節 実践との緊張関係
a 文化から政治へ――知識人の戦略
b 社会的使命
c 実践の方法論的地平
第4節 アカデミズムとジャーナリズム
a 『現代政治の思想と行動』
b 学者・知識人・市民

第2章 欧化問題から原型へ
 ―イデオロギーと「思想史」―
第1節 内発性
a 麻生義輝書評
b 内発性からの脱却――「日本の思想」
第2節 天皇制の病理現象から「原型」へ
a 日本の普遍的病理現象
b 内発性論批判
c 〈原型-原型突破の原理〉
第3節 和辻哲郎との対質
a 学問とイデオロギー
b 和辻哲郎と原型論

第3章 丸山の欧化主義
 ―「思想」としての原型突破―
第1節 イデオロギー鎖国から「精神的」鎖国へ
a 「御製」の思想――天皇制の欧化主義
b 戦後の鎖国
第2節 原型的思考様式とその克服
a 精神的鎖国から原型的思考様式へ
b 主体的決断
c 普遍主義の行方

第4章 欧化論と教養思想
第1節 大正教養主義
a 原点――阿部次郎
b 和辻哲郎の欧化論
第2節 法学部教養派と丸山
a 南原繁・田中耕太郎の欧化論
b 戦中・戦後の丸山
第3節 南原繁の影響と確執
a 南原政治哲学
b 日本と世界――欧化論

第5章 知識人から学者へ
 ―撤退の構造―
第1節 しつけと「型」
a 江戸の再評価
b 秩序と形式
c 文化と型
第2節 遊びとしての学問
a 「遊び」の意味
b 「変革」から「面白さ」へ
c ふたたび「知識人と学者」
第3節 教育の社会的使命
a 社会教育
b 学問の民衆化、もしくは民衆の学問化
c 丸山塾――教養思想の伝道


あとがき
人名・書名索引


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