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 株式会社としての覚醒満鉄経営史

満鉄経営史 株式会社としての覚醒

A5判 504ページ 上製
定価:9,500円+税
ISBN978-4-8158-0945-4 C3021
奥付の初版発行年月:2019年03月 / 発売日:2019年04月上旬

内容紹介

満州経営の全方位的担い手とみなされた巨大植民地企業が、国策会社化の挫折と満州国成立後の解体的再編をへて、鉄道を主軸とした市場志向の企業として覚醒する姿を、株式市場への対応からとらえ、終戦まで異例の高収益企業であり続けたメカニズムを解明、日本帝国主義の先兵とする満鉄理解を大きく書き換える。

前書きなど

本書は、南満州鉄道株式会社(以下、満鉄)の経営について、日本の株式市場メカニズムとの因果関係を明らかにしつつ、社員=職員層の能力・技能・認識・活動の点から歴史実証的に解明するものである。

本書が解明しようとすることは、満鉄に関する先行研究が、課題として明示的に掲げてきたものではない。むしろ、過去30余年間の先行研究が構築してきた経済・経営の「歴史像」において、潜在的に、または、暗黙のうちに前提とされてきた事柄を課題として捉えなおすことに、本書は取り組もうとしている。その意味で本書は、満鉄史研究の歴史学的アプローチそのものの対象化をも試みている。そこでこの序章では、多分に迂回的な方法ではあるが、満州における植民地支配の歴史研究と中国東北地域史研究を本書の視点から整理し、これを満鉄史研究に重ね合わせることで、満鉄の「歴史像」の今日的到達点を浮かび上がらせ、そこに潜む課題を析出したい。

 1 侵略と支配の歴史研究から

1) 政治的・経済的支配という「基点」

なぜ、日本の国家権力が、アジア諸国を侵略し、支配するようになったのか。この問いは、戦後民主主義という同時代的な熱気の中で、日本の植民地研究における分析視角を定めるように作用してきたといえよう。なかでも、柳沢遊や岡部牧夫による植民地研究のサーベイが再評価してきたように、井上晴丸と宇佐美誠次郎が提示した理論的分析は、その初発として大きな影響力をもって…

[「序章」冒頭より/注は省略]

著者プロフィール

平山 勉(ヒラヤマ ツトム)

1971年生まれ
2003年 慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
映画専門大学院大学映画プロデュース研究科准教授、慶應義塾大学
経済学部研究助手などを経て
現 在 湘南工科大学工学部総合文化教育センター教授、博士(経済学)

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡 例

序 章 満鉄の歴史的位置づけを問いなおす
1 侵略と支配の歴史研究から
2 地域史の中の東北経済
3 満鉄史研究
4 本書の課題と分析視角

第Ⅰ部 「国策会社」としての挫折

第1章 満鉄経営を担った人々
 ―課長級以上社員の分析―
はじめに
1 満鉄の組織と人事異動
2 満鉄社員会の制度と本部役員人事
3 社員会機関誌『協和』の特性
おわりに

第2章 社員の経営参画
 ―課長級以上の人事異動と社員会の活動―
はじめに
1 満鉄社員会の設立
2 1930年職制改正と満州事変
3 満鉄改組問題と東京支社
4 社員会の体制化
5 満州重工業の設立
おわりに

第3章 「国策会社」の統計調査
 ―慣習的方法による達成と限界―
はじめに
1 後藤新平という端緒――調査活動の始まり
2 調査活動の拡大
3 統制政策立案への挑戦
4 調査基盤の脆弱性
5 調査活動の専業化
6 調査方法の改善と失敗
7 国策調査との不協和――満鉄調査の硬直性
おわりに

第Ⅱ部 株式市場の中の満鉄

第4章 満鉄の資金調達と民間株主
 ―1933年増資とその制度的前提―
はじめに
1 満鉄と株主の良好な関係
2 1933年増資と第二新株の発行
おわりに

第5章 満鉄改組と株式市場
 ―変動する民間株主と満鉄の対応―
はじめに
1 第二新株発行後の民間株主の動態
2 満鉄株の放出と引受の要因
3 株主の声と経営の合理化
おわりに

第6章 株式市場の拡大と零細株主の参入
 ―満鉄株をめぐる訴訟の分析―
はじめに
1 事件と訴訟の経過
2 法廷の外の原告と被告
3 株式市場の拡大の「実態」
おわりに

第7章 経済統制下の満鉄経営
 ―1940年増資と株式市場からの反応―
はじめに
1 統制の展開と満鉄の増資
2 株主と東京支社の認識
3 満鉄の相対的位置の変化
おわりに

終 章 「調査部史観」を超えて
1 各章の概要
2 本書の成果

巻末付表
文献一覧
あとがき
図表一覧
索 引


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