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 台湾ノートパソコン企業の成長メカニズム圧縮された産業発展

圧縮された産業発展 台湾ノートパソコン企業の成長メカニズム

A5判 244ページ 上製
定価:4,800円+税
ISBN978-4-8158-0703-0 C3033
奥付の初版発行年月:2012年07月 / 発売日:2012年07月上旬

内容紹介

ノートパソコン生産の世界シェア90%以上という驚異的な発展――。低コストの下請企業としてグローバルな産業内分業に組み込まれた後発の台湾メーカーが、先進国企業との相互作用の中から急激な成長をとげたメカニズムを、粘り強いインタビュー調査と明快な分析枠組みによって解きあかす。

第29回(2013年度)「大平正芳記念賞」受賞

前書きなど

1980年代末以降の東アジアでは、直接投資の増加と国際的な生産委託・企業間提携の拡大が並行して進み、国境を越えた産業内分業がそれ以前の時期にもましてさらにいっそう活発になった。グローバルな分業の進展は、先進工業国企業と東アジアの後発工業国の地場企業とのあいだの製品・中間財取引の拡大をもたらし(Ng and Yeats[1999], Jones, Kierzkowski and Chen[2005], Hiratsuka and Uchida eds.[2010])、前者から後者への技術や情報の流れを引き起こして、東アジアの地場企業に新たな成長の機会を創り出した。

だが、後発工業国企業にとって、国境を越えた産業内分業への参加は、自動的な成長の道筋を保証するものではない。たとえ後発国の企業が、低コストでの下請生産の担い手として国際分業のネットワークに首尾よく参入し、そのなかでの成長を開始することができたとしても、それがより付加価値の高い経済活動へのステップアップにつながり、持続的な企業成長を保証するものになるとは限らない。むしろそれは、後発国企業が、製品のコア(中核)技術や販路を掌握する先進国企業との非対称的な力関係のなかに組み込まれ、後ろから追い上げてくるさらなる後発工業国企業との激しい競争にさらされながら歩む長く険しい道のりの始まりである。

本書は、1990年代半ば以降、米国・日本企業からの受託生産を通じて、短
……
(「序章 後発国企業の驚異的発展」冒頭より)

著者プロフィール

川上 桃子(カワカミ モモコ)

1968年 宮城県仙台市出身
1991年 東京大学経済学部卒業、アジア経済研究所入所
2008年 東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
2011年 東京大学より博士(経済学)学位取得
現 在 アジア経済研究所在台北海外調査員
著 書 『東アジアのIT機器産業』(共編、アジア経済研究所、2006年)
    The Dynamics of Local Learning in Global Value Chains :
     Experiences from East Asia

    (共編、Palgrave Macmillan、2011年)他

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 章 後発国企業の驚異的発展
   ――本書の課題とアプローチ
1 分析の課題と対象
2 台湾パソコン産業に関する先行研究の成果と限界
3 本書のアプローチ
4 本書の構成

第1章 産業アクター間関係と能力構築
   ――分析の枠組み
1 ノート型パソコン産業のアクター間関係への視点
2 企業成長、能力構築への視点
3 分析の枠組み
4 分析の方法

第2章 原型と前提
   ――前史としてのデスクトップ型パソコン産業
1 デスクトップ型パソコン産業の発展と技術的支配権の推移
2 台湾におけるパソコン産業の発展

第3章 単線的な産業アクター間関係の成立
   ――2000年代初頭まで
1 ブランド企業とインテル――付加価値とり合いのダイナミクス
2 ブランド企業と台湾企業――受託生産取引の急増
3 単線的なアクター間関係の成立

第4章 「情報の受け手」としての能力構築
   ――台湾企業のキャッチアップ型成長
1 受託生産企業としての能力とその進化
2 ブランド企業からの情報の取り込みを通じた能力構築
3 「顧客の多様性の利益」を通じた能力構築の加速
4 小 括――キャッチアップ期の能力構築と企業成長

第5章 鼎状の産業アクター間関係への展開
   ――2000年代初頭以降
1 インテルによるプラットフォーム戦略の完遂
2 台湾企業の対中投資と生産能力の飛躍的拡大
3 ブランド企業の役割の縮小と鼎状のアクター間関係の成立

第6章 「情報の出し手」への発展過程
   ――台湾企業による「価値ある提案能力」の構築
1 上位企業への生産の集中化
2 台湾企業の「価値ある提案能力」
3 ブランド企業とのインタラクションを通じた提案能力の構築
4 インテルとのインタラクションを通じた提案能力の構築
5 小 括――「情報の出し手」への発展

終 章 発展モデルの可能性
   ――総括と展望
1 本書のファインディング
2 分析枠組みの有効性と限界
3 産業発展の新局面――台湾発ブランド企業の興隆の可能性
4 結 語――発展モデルの可能性

あとがき
参考文献
インタビュー企業リスト
図表一覧
索 引


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