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 批評の根源と臨界の認識クリティカル・モーメント

クリティカル・モーメント 批評の根源と臨界の認識

四六判 466ページ 上製
定価:3,800円+税
ISBN978-4-8158-0630-9 C3098
奥付の初版発行年月:2010年02月

内容紹介

相対主義という時代の趨勢に精神をゆだねるままでよいのか——。西欧近代からその伝統へと遡り、俗語文学と古典、政体と主体、キリスト教と異教のトポス、人文主義と国家、歴史と他者、の諸局面で、「臨界」の認識を跡づけることにより、「批評」の根源的な力を回復する。

出版部から一言

留学先でふと聞こえてきた奥村チヨの歌声から、古代ギリシャの超越的世界まで——。本書は、現代の思想や批評理論にみられる(文化的・歴史的)相対主義と反相対主義のあいだの深淵に立ちすくむことなく、西欧近代からその伝統へと遡り、洒脱さとしなやかさ、該博な知識と鋭い洞察をもって、文学・哲学のテキストのうちにヨーロッパの「クリティカル・モーメント」を読み解いたものです。すなわち、神をも対象とするにいたった西洋的批評精神を、俗語文学と古典、政体と主体、キリスト教と異教のトポス、人文主義と国家、歴史と他者、といった局面で捉え、いわば「臨界」での姿態からその行方を考えます。巨大ながらも根本的なテーマに挑んだ、著者のオリジナリティあふれる力作と申せましょう。


目次

   第Ⅰ部 古典と臨界

第1章 俗語文学と古典
   1 外国文学研究の臨界
   2 国民文学研究の衰退
   3 古典の効用

第2章 新歴史主義のニヒリズム
   1 「新歴史主義」——傾向と対策
   2 文化の詩学

第3章 反「文化相対主義」の光
   1 アメリカン・マインドの終焉
   2 シカゴ・コネクション
   3 アラン・ブルームのシェイクスピア

   第Ⅱ部 政体と臨界

第1章 月のヴァレーリアあるいは『コリオレイナス』
   1 理論と臨界
   2 月のヴァレーリア
   3 息の構造

第2章 政体と主体と肉体の共和原理あるいは『ジュリアス・シーザー』
   1 政 体
   2 主 体
   3 肉 体

第3章 イアーゴーの庭あるいは『オセロー』
   1 イアーゴーの庭
   2 世俗的公共圏というプロット
   3 「楽園」と自然と「ウィル」

   第Ⅲ部 トポスと臨界

第1章 楽園の伝統と世俗化
   1 楽園の広がり
   2 二つの楽園
   3 歴史と自然

第2章 噂・名声の女神の肉体性
   1 ミルトン、ウェルギリウス、ボエティウス
   2 「スキピオの夢」
   3 「政治的美徳」

第3章 チョーサーとイタリア
   1 ダンテ転倒
   2 ペトラルカとボッカッチョ

   第Ⅳ部 人文主義と臨界

第1章 アルベルティーノ・ムッサートの『エチェリーノの悲劇』
   1 ある桂冠授与式
   2 エチェリーノ・ダ・ロマーノ
   3 ブルクハルトの影の下に
   4 『エチェリーノの悲劇』
   5 狂気と政体

第2章 トマス・モアの人文主義
   1 時代の子
   2 モア思想の特質
   3 『ユートピア』
   4 信仰と政治の相克

第3章 エドマンド・スペンサーの『妖精女王』
   1 二つの歴史的パースペクティヴ
   2 語りのアイロニー

   第Ⅴ部 歴史と臨界

第1章 古代ギリシアの顕現
   1 ギリシアとは何か
   2 ギリシア像のレヴォリューション
   3 襲いかかる古代ギリシア

第2章 近代とその超越あるいはレーヴィット=シュトラウス往復書簡
   1 1964年
   2 1930年代-40年代
   3 1946年の「近代論争」
   4 結びにかえて

第3章 カール・レーヴィットと日本
   1 西洋と東洋
   2 補遺:カール・レーヴィット『1936-41年の旅日記』抄訳

結 語


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