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舞台の上の障害者

舞台の上の障害者

A5判 232ページ 上製
定価:3,200円+税
ISBN978-4-7985-0225-0 C3070
奥付の初版発行年月:2018年03月 / 発売日:2018年03月中旬

内容紹介

「健常者」と「障害者」、「排除」と「包摂」、「芸術」と「芸術でないもの」......不自由な身体を人前にさらしながら、彼/彼女らはさまざまな境界を越えてゆく。障害者による劇団やアート表現の現場を取材し、障害者の「生きる権利」と「表現する権利」を考えることで、今日の障害/障害者観に変革を迫る一冊。

著者プロフィール

長津 結一郎(ナガツ ユウイチロウ)

東京藝術大学音楽学部音楽環境創造科卒業。
同大学大学院 音楽研究科博士後期課程修了。
2016年4月より九州大学大学院芸術工学研究院
コミュニケーションデザイン科学部門助教。
博士(学術、東京藝術大学)。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 はじめに

 第1部 研究の背景と立場

第1章 研究の背景

  1 障害者の表現活動の何が問題か?
  2 先行研究・事例の概観
   (1)「障害」と「文化」をめぐるいくつかのトピック
   (2) 日本における障害者の表現活動、その歴史的な展開
  3 「福祉」「芸術」「療法」の融解  近年の新展開
   (1) 福祉施設での「表現」の現在  かがやきキラキラ仕事館、たけし文化センター
   (2) 創造的なセラピスト  音楽療法を事例にとって
   (3) 野村誠  現代音楽と「老人ホーム」
   (4) 小 括

第2章 障害者の芸術表現活動が抱える課題と問題提起

  1 「障害」の立ち位置  障害学における当事者議論をもとに
   (1) 障害学とはどのような学問であったか
   (2) 障害の「他者化」にどのように立ち向かうか  平等派/差異派の議論をもとに
  2 障害と芸術  精神科医から、芸術家から、福祉施設から
   (1) アウトサイダー・アート、アール・ブリュットの系譜
   (2) 何が「アウトサイダー」か?
   (3) 福祉施設からの芸術表現  日本における「アウトサイダー・アート」「アール・ブリュット」小史
   (4) 90年代以降の展開
  3 アウトサイダー・アートと障害の他者化
   (1) 障害者「自立支援」としての表現
   (2) 日本での受容と原義との距離
   (3) 人々がアウトサイダー・アートに希求するもの
   (4) 表現を通じた障害の「他者化」
  4 関係性への視点
   (1) アウトサイダー・アート市場への挑戦
   (2) こぼれ落ちるものと「齟齬」
   (3) 行為としての表現  アルス・ノヴァでの1日
   (4) 欠落する「関係性」の視点の価値化に向けて

 第2部 事例研究

第3章 「差異」と「共同」  マイノリマジョリテ・トラベル

  1 公演《ななつの大罪》
  2 エイブル・アート・ムーブメントとマイノリマジョリテ・トラベル
   (1) エイブル・アートとは
   (2) エイブル・アートの展開と批評
   (3) マイノリマジョリテ・トラベルのコンセプトと活動の変遷
  3 見世物小屋の「毒」  マイノリマジョリテ・トラベルとは何だったのか?
   (1) マイノリマジョリテ・トラベルの活動の意義  批評をもとに振り返る
   (2) 見世物小屋の「毒」
  4 マイノリマジョリテ・トラベルは誰のもの?
   (1) マイノリマジョリテ・トラベルの共同制作物としての一面
   (2) 障害者アートの範疇を超える「共同性」
  5 マイノリマジョリテ・トラベルの意義
   (1) マイノリマジョリテ・トラベルの意義とエイブル・アートの展開
   (2) 活動の継続の困難さと、参加者たちの新たな活動の萌芽

第4章 「関わり」から生まれる表現  森田かずよ

  1 義足と「歩く」こと  《アルクアシタ》
   (1)《アルクアシタ》
   (2) 自らの「リアル」を追求する
  2 表現者としての萌芽  母親にとっての「障害」の受容
   (1)「どうか娘が死にますように」から「あなたと私は別々の人間です」へ
   (2)「障害があるから余計に研ぎ澄まされる」
   (3)「私、ダンス教室はじめるわ!」
  3 伝え、向き合い、突き付ける  劇団「夢歩行虚構団」での7年間
   (1) 障害ではなくいかに「伝わる」か
   (2) 自らと向き合う関係性
   (3) 観客への「障害」の提示
   (4) 夢歩行虚構団を支えるスタンスと変化
  4 循環プロジェクト
   (1) 公演《≒2》と、プロジェクト開始の経緯
   (2) イコールになりきれないイコール  循環プロジェクトの理念
   (3) 向き合い、枷をはめ、しんどさをも抱きこむ  実際に起こった関係性
   (4) 常に新しい気持ちで向き合う  森田が得たもの
  5 小 括

 第3部 分析と考察

第5章 「障害」「健常」再考  思考実験を通じて

  1 異形の身体としての「障害」
  2 2つの主体の転覆  ジャック・デリダの「歓待」の思想
   (1)「歓待」の思想、その背景
   (2)「条件付き歓待」「絶対的な歓待」
   (3) 芸術を媒体とした「歓待」としての「襲撃」
   (4) 一瞬の「絶対的歓待」を求めて

第6章 障害者の芸術表現活動が持つ多元的な価値

  1 作品制作プロセスの中での関わり  「共同性」とその限界
   (1)「共同性」とその限界
   (2)「共犯性」、その概念モデル形成に向けて
  2 「共犯」の孕む課題  アートプロジェクトの議論を援用して
   (1) 非専門家が介入する表現の場
   (2) 共同の「ファシズム」「暴力性」
   (3)「抑圧的寛容」としてのアートプロジェクト
  3 「共犯性」から見える多元的な価値
   (1) 3つの主体と、3つの芸術的価値
   (2) 障害者との芸術表現活動の方途
   (3)「共犯性」の概念モデル形成に向けて
  4 本研究の今後の展望

補 章 アール・ブリュットの先へ

 おわりに

 索 引


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