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 難民・強制移動研究の理論と方法「難民」をどう捉えるか

「難民」をどう捉えるか 難民・強制移動研究の理論と方法

小泉 康一:編著
A5判 408ページ 上製
定価:4,500円+税
ISBN978-4-7664-2607-6 C3031
奥付の初版発行年月:2019年10月 / 発売日:2019年10月中旬

内容紹介

▼人類は常に〈移動〉を強いられてきた
現在、<国境>で互いを隔てる国民国家システムは、グローバル化によって加速する<人の移動>に対処できず、国際機関による「恒久的解決」も妥当性を失っている。
私たちの知性と行動力は、客観性と真正性、そして倫理性を保持しつつ、変容する<避難>の姿と向き合えるだろうか。
世界は今、国家、国境、移住、ネットワークについて、新しい思考法を獲得するよう迫られている。

▼合意と協力を支える知的プラットフォームをめざして
本書は、難民・強制移動をめぐって現代社会で急速に高まる知的要請に応え、その研究領域、主要論点、分析視角・方法を学際的・国際的な視野から整理、基本文献から最新の研究事例までを包括的に紹介する。
そして、研究者・学生、政策担当者、自治体職員、NPO/NGO関係者、国際機関職員、メディア関係者など、各分野の人々が協働するための知的共通基盤を提供することをめざしている。

著者プロフィール

小泉 康一(コイズミ コウイチ)

大東文化大学名誉教授
 1973年東京外国語大学卒業、1977年同大学院修士課程修了。その後、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)タイ駐在プログラム・オフィサー、英オックスフォード大学難民研究所客員研究員、スイス・ジュネーヴ大学国際関係高等研究所客員研究員、大東文化大学国際関係学部教授などを経て、同大学名誉教授。
 主要業績に『変貌する「難民」と崩壊する国際人道制度:21世紀における難民・強制移動研究の分析枠組み』(ナカニシヤ出版、2018年)、『グローバル・イシュー:都市難民』(ナカニシヤ出版、2017年)、『多文化「共創」社会入門:移民・難民とともに暮らし、互いに学ぶ社会へ』(共編著、慶應義塾大学出版会、2016年)、Urban Refugees: Challenges in Protection, Services and Policy (共編著、Routledge、2015)、『グローバル時代の難民』(ナカニシヤ出版、2015年)、『国際強制移動とグローバル・ガバナンス』(御茶の水書房、2013年)、『グローバリゼーションと国際強制移動』(勁草書房、2009年)、『国際強制移動の政治社会学』(勁草書房、2005年)、『「難民」とは何か』(三一書房、1998年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき

序 章 難民・強制移動研究とは何か――分野や現状(小泉康一)
 はじめに
 1 現代世界の逃亡と庇護
 2 強制移動を形成する主要なテーマ
 おわりに

 第Ⅰ部 難民・強制移動研究を捉える視座と分析枠組み
第1章 難民・強制移動研究の理論と方法(小泉康一)
 はじめに
 1 研究の目的と範囲
 2 用語・概念と分類
 3 学際的な中範囲の理論をめざして
 4 学際研究――さまざまな学問分野からのアプローチ
 5 研究の方法
 6 研究と倫理
 おわりに
 
第2章 難民と人道主義――歴史的視点からのアプローチ(上野友也)
 はじめに
 1 人道とは何か
 2 第二次世界大戦と戦後処理
 3 冷戦と植民地解放
 4 冷戦終結後の現代
 5 難民支援の意味
 おわりに

 第Ⅱ部 移動のダイナミクス――発生要因とプロセス
第3章 紛争・政治対立と移動のダイナミクス――移民/難民の主体的な移動先選択(錦田愛子)
 はじめに
 1 多様化する「紛争」難民の現状
 2 移民政策と移動の過程についての先行研究
 3 移動の動機を探る――質的・量的研究の併用アプローチ
 4 なぜ、そこへ移動するのか――アラブ系移民/難民の移動の選好
 5 結論
 おわりに

第4章 環境および開発と難民・強制移動――開発事業に伴う立ち退きと生活再建(浜本篤史)
 はじめに
 1 強制移動としてのダム建設による立ち退き問題
 2 代表的な研究枠組みとモデル
 3 中国の経験をどう見るか
 おわりに――当事者の視点と隣接領域との接合

第5章 ジェンダーと難民・強制移動――抜け落ちる難民女性への視点(中村文子)
 はじめに
 1 難民危機の時代と難民女性の現状
 2 難民女性の被迫害要因
 3 国際社会の対応と課題
 おわりに

 第Ⅲ部 法制度と政策――国家の管理と国際組織
第6章 法・政治理論と強制移動――難民保護と国際法・制度の現在(池田丈佑)
 はじめに
 1 救う側の論理(1)
 2 救う側の論理(2)
 3 救われる側の論理
 おわりに

第7章 国際協調と国際機関――難民レジームの展開と新たな負担分担の模索(佐藤滋之)
 はじめに
 1 難民に関する国際協調はなぜ必要か
 2 難民問題に関する国際協調の萌芽
 3 第二次世界大戦後の難民レジームの成立
 4 UNHCRに見る国際協調を形作る「力」
 5 「規範」の形成とレジームの変容
 6 難民保護の新しいアプローチと「利益」のダイナミズム
 おわりに――国際協調と負担分担の未来

第8章 無国籍とは何か――削減条約の現代的課題における作用(新垣修)
 はじめに
 1 無国籍者と無国籍削減条約
 2 人間の新しいつくり方――国際代理出産と無国籍
 3 国籍剥奪と無国籍
 4 消えゆく島嶼国家と無国籍
 おわりに

 第Ⅳ部 難民の生活と社会――定住と共生、再構築への道
第9章 国内移動と国際移動(杉木明子)
 はじめに
 1 難民の移動と移動モデル
 2 国内移動
 3 国際移動
 おわりに

第10章 新たな人生に向き合う――難民の暮らしとメンタルヘルス(森谷康文)
 はじめに
 1 トラウマとは何か
 2 「一般化されたトラウマ」の採用――オーストラリアの政策と定住
 支援
 3 難民のトラウマとどのように向き合うのか――オーストラリアの定
 住支援を通して
 おわりに
 
第11章 メディアの機能と影響――治安と安全保障、彼らは負担か資源か(藤巻秀樹)
 はじめに
 1 メディアから見た難民
 2 報道を変えた難民政策
 3 新聞の社説に見る難民
 おわりに

第12章 定住と社会統合――アイデンティティの再確立(小泉康一)
 はじめに
 1 定住の目的と内容
 2 定住を支える制度的枠組み
 3 統合――用語と要因
 4 統合――難民の社会編入
 おわりに

 第Ⅴ部 地域研究――事例分析と研究手法、課題の発掘
第13章 ダルフール紛争における国内避難民支援と遊牧民(堀江正伸)
 はじめに
 1 遊牧民の置かれた状況
 2 ダルフール紛争と人道支援
 3 IDPと遊牧民
 4 新しいモルニでの生活手段
 5 外部者による再分類
 6 国際機関のめざす解決策
 おわりに

第14章 トルコにおけるシリア難民の受け入れ――庇護、定住・帰化、帰還をめぐる難民政策の特質と課題(伊藤寛了)
 はじめに
 1 先行研究と分析手順
 2 トルコにおける難民政策の史的展開
 3 一時保護体制下のシリア難民支援と実状
 4 人道主義に優先される実利主義
 おわりに

第15章 「脱北」元日本人妻の日本再定住(宮塚寿美子)
 はじめに
 1 帰国事業と日本再定住の脱北者
 2 日本人妻をめぐる研究動向
 3 日本人妻の北朝鮮での生活
 4 日朝関係の推移と日本人妻の日本再定住
 おわりに

索引
執筆者紹介


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