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 ホッブズ・ライプニッツ・ルソーの可能性不可視の「国際法」

不可視の「国際法」 ホッブズ・ライプニッツ・ルソーの可能性

A5判 608ページ 上製
定価:7,500円+税
ISBN978-4-7664-2570-3 C3032
奥付の初版発行年月:2019年01月 / 発売日:2018年12月下旬

内容紹介

▼我々の「負の国際法意識」を克服せよ。

啓蒙期「知の巨人」たちは「国際法」とは無関係なのか。現在の一般知識からは影となっている事実に焦点を当て、彼らの「法」「国家」「主権」理論を論理的に描き出す。

国際法史研究の深化を問う最高水準の研究。

本書の主題は、トマス・ホッブズ・ライプニッツ及びジャン=ジャック・ルソーの「法」「国家」「国際法」観念の考察である。

社会科学に関わる思想・理論史研究において、或る分野では高い評価を与えられ、重要な研究対象とされてきた思想家や著作家が、他の分野においては殆ど顧みられることがないままでいるという現象は決して稀なことではない。特定分野においてのみ研究対象として認識され、他の分野で看過されてきた思想家が論じた観念や理論が当該他の分野にとって実際に無意味なものであるならば、それは何らの問題も惹起しない。しかし、そのような観念や理論が無意味であるとの評価が一般的に共有された知識に基づく場合は、その評価自体が問題とされなければならない。

本書で対象とする3人の思想家について国際法学において生じている状況。これに著者は或る種の知的好奇心を抱き、事実に基づく論理的考察を開始する。その契機となった言葉が「負の国際法意識」なのである。

著者プロフィール

明石 欽司(アカシ キンジ)

九州大学大学院法学研究院教授。法学博士(ユトレヒト大学、1996年)。
1958年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業、慶應義塾大学大学院法学研究科修士課程修了、同博士課程中退。海上保安大学校助手・専任講師、在ベルギー王国日本大使館専門調査員、ブリュッセル自由大学国際法研究所研究員、新潟国際情報大学情報文化学部助教授、慶應義塾大学法学部助教授、同教授を経て、2016年より現職。
“Cornelius van Bynkershoek: His Role in the History of International Law” (Kluwer Law International, 1998)で第32回安達峰一郎賞を受賞。
主要著作として『ウェストファリア条約―その実像と神話』(慶應義塾大学出版会、2009年)ほか。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

凡 例

序 論


  第一部 トマス・ホッブズ:「国際法の否定者」か
 はじめに

第一章 予備的考察:国際法(史)概説書におけるホッブズの位置付け
 序
 第一節 国際法概説書におけるホッブズ
 第二節 国際法史概説書におけるホッブズ
 小括と若干の考察

第二章 ホッブズの「法」理論
 序
 第一節 ホッブズによる「法」の定義及び分類
 第二節 ホッブズの自然法理論の本質
 第三節 国家法と自然法の関係
 小括と若干の考察

第三章 ホッブズの「国家」及び「主権」理論
 序
 第一節 ホッブズの国家理論の概要
 第二節 ホッブズの「主権」理論
 小括と若干の考察

第四章 ホッブズの「国家間関係」観
 序
 第一節 「国家間関係」へのホッブズの直接的言及とそれに対する疑問
 第二節 ホッブズの論述に内在する「修正された自然状態」:その存在
 契機と永続
 第三節 ホッブズの社会契約理論と「修正された永続的自然状態」
 小括と若干の考察

第五章 ホッブズの「国際法」認識:「『国際法』と自然法は同一」であることを中心に
 序
 第一節 「国際法」への明示的言及と通説
 第二節 「『国際法』と自然法は同一」論の考察の前提:「条約」の法
 的地位と国家の擬制的人格
 第三節 「『国際法』と自然法は同一」であるのか
 第四節 「主権」・「主権者」・「国家」の関係を巡る問題」
 小括と若干の考察

第一部 まとめ


  第二部 ライプニッツ:「失われた環」
 はじめに

第一章 予備的考察:国際法(史)概説書及び国際法史研究におけるライプニッツの位置付け
 序
 第一節 「国際法」関連文献及び国際法概説書におけるライプニッツ
 第二節 国際法史研究におけるライプニッツ
 小 括

第二章 ライプニッツの「法」観念
 序
 第一節 ライプニッツの法認識を巡る若干の特色
 第二節 ライプニッツの法観念の基本的構成
 小括と若干の考察

第三章 ライプニッツの「国家」観念
 序
 第一節 「社会」
 第二節 国家観念を巡る諸問題
 第三節 国家の擬制的人格
 小括と若干の考察

第四章 ライプニッツの「主権」理論:“Suprematus” 観念の分析を中心として
 序
 第一節 「統治権」観念の錯綜
 第二節 “Suprematus”・“summa potestas”・“superioritas
 territorialis”・“Souveraineté”
 第三節 “Suprematus” 理論における帝国等族
 第四節 “Suprematus” の特質
 小括と若干の考察

第五章 ライプニッツの「国際法」観念
 序:ライプニッツの「国家間関係」観
 第一節 ライプニッツの「国際法」理論
 第二節 ライプニッツの「国際法」理論の内実
 小括と若干の考察

第二部 まとめ


  第三部 ルソー:「国際法」の構想とその挫折
 はじめに

第一章 予備的考察:国際法(史)概説書におけるルソーの位置付け
 第一節 国際法概説書におけるルソー
 第二節 国際法史概説書におけるルソー
 小括と若干の考察

第二章 ルソーの「法」・「国家」理論の概要
 序
 第一節 ルソーの「法」観念の概要
 第二節 ルソーの国家(社会)構成理論の概要
 小 括

第三章 ルソーの「国家間関係」観
 序
 第一節 国家間関係の発生と「自然状態」
 第二節 欧州の特殊性
 小 括

第四章 ルソーの「国際法」理論
 序
 第一節 「自然国際法」の存在可能性
 第二節 「実定国際法」の存在可能性
 第三節 ルソーの「戦争」観念と「戦争法」規範:「国際法」理論とし
 て理解可能か
 第四節 「欧州公法」と欧州諸国家間のシステム
 小括と若干の考察

第五章 ルソーの論証方法と理論における問題点
 序
 第一節 論証方法における問題点:方法論的矛盾
 第二節 理論的問題点:「一般意志」
 小 括

第三部 まとめ:「孤独な散歩者」の近代国際法学史上の地位


  結 論
 本書のまとめ
 内在的理解による「国家間関係」観・「国際法」観念の提示の更なる意
 義
 永続的課題としての我々の「負の国際法意識」の克服


あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引


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