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 功利主義とプラグマティズムベンサムの言語論

ベンサムの言語論 功利主義とプラグマティズム

A5判 512ページ 上製
定価:8,500円+税
ISBN978-4-7664-2449-2 C3010
奥付の初版発行年月:2017年08月 / 発売日:2017年08月中旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

よりよき世界の表象をめざして

プラグマティックな言語論がベンサムの功利主義思想の哲学的基礎にあることを明らかにし、心理学、倫理学、法学、政治学など人間と秩序全般にわたる彼の厖大な思索を統一的に把握する。

功利主義の定礎者ジェレミー・ベンサム。本書は、彼の思想体系の基礎にプラグマティックな言語論があることを初めて明らかにし、心理学、倫理学、法学、政治学など、人間とその秩序全般にわたる彼の厖大な思索を詳細に読み解く。「法の科学」にもとづく若き日の法治国家構想から、包括的な社会改革理論の構築とその実践に邁進する晩年にいたるまで、〈フィクションの発明を通じた、実在世界のよりよき組織化〉をめざし続けた彼の理論的成果を統一的に把握する視座を確立し、道徳理論としての功利主義研究に新境地をひらく大著。

著者プロフィール

高島 和哉(タカシマ カズヤ)

1971年福井市生まれ。東京大学文学部仏文科卒。早稲田大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得満期退学。論文博士(学術)。早稲田大学社会科学総合学術院助手等を経て、現在、明治大学兼任講師。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序論
  第1節 本書の目的と意義
  第2節 本書の研究に関わる先行研究の状況
  第3節 本書の構成

第一部 ベンサム思想体系の哲学的基礎
 第1章 言語論と論理学
  第1節 〈方法〉の改革者
  第2節 科学方法論としての論理学
  第3節 哲学的前提をめぐる問題
  第4節 言語論のプラグマティズム的含意
   1 パラフランシス
   2 実態の分類
   3 現実的実体とフィクション的実体の関係性
   4 認識の発展を支えるフィクション
   5 言語の論理的歴史
  第5節 科学観と科学方法論

 第2章 快楽主義心理学と功利主義倫理学
  第1節 快楽主義心理学
   1 快苦に対する人間の従属
   2 それは「利己主義的」理論か?
   3 動機の種類と快苦の源泉
   4 「最良の判定者」テーゼと人間の不合理性をめぐる洞察
  第2節 功利主義倫理学
   1 「功利性の原理」のパラフランシス的説明
   2 「ヒュームの功利主義」に対する批判
   3 原理の名称と定式の変遷
   4 「功利性の原理」の正当性
   (1) 「禁欲主義の原理」に対する批判
   (2) 「共感と反感の原理」に対する批判
   (3) 「功利性の原理」は万人にとって同意可能な原理か?
   (4) 「快楽-苦痛」の量は万人にとって検証可能な基準か?
  第3節 快楽主義心理学と功利主義倫理学の関係性

 第3章 言語論の思想史的考察
  第1節 「言語論的転回」の先駆者か? 「プラグマティズム的転
      回」の先駆者か?
  第2節 啓蒙期言語思想の一系譜
   1 ベーコン
   2 ロック
   3 コンディヤック
   4 トゥック
  第3節 ベンサムの独創性

第二部 ベンサムの「法の科学」と「自由な国家」の構想
 第4章 「批判的法学」とコモン・ロー批判
  第1節 一八世紀後半のイギリス法の状況と法学者ベンサムの課題
  第2節 「批判的法学」と功利性の原理
   1 法の功利性、周知性、明示された合理性
   2 「誠実」の義務とベンサム版「自由の原理」
   3 立法の四つの副次的目的
   4 立法論のリベラルな性格
  第3節 コモン・ロー批判
   1 コモン・ロー理論に対する批判
   2 コモン・ローという法の形態に対する批判

 第5章 「普遍的法学」と論理学
  第1節 法的諸概念の定義と「秩序化」
   1 プラグマティズム的な定義としての「法=主権者命令」説
   2 「義務」、「権利」、「正義」、「自由」の定義
   3 「法の科学」における形而上学=論理学としての「普遍的法
     学」
  第2節 犯罪の自然的分類
   1 法の「刑法的部分」と「民法的部分」
   2 違反行為の「自然的分類」

 第6章 人権宣言批判と「自由な国家」の構想
  第1節 人権宣言批判の諸論点
  第2節 人権宣言批判の核心
  第3節 功利性の原理と「自由な国家」の構想

第三部 ベンサムの民主主義理論と「言葉の戦争」
 第7章 幻惑と謬論
  第1節 「シニスター・インタレスト」と「幻惑」の発見
  第2節 『謬論の書』における「言葉の戦争」
   1 政治的謬論との戦い
   (1) 「権威の謬論」との戦い
   (2) 「危険の謬論」との戦い
   (3) 「遅延の謬論」との戦い
   (4) 「混乱の謬論」との戦い
   2 謬論が普及する政治的・社会的背景
   3 謬論の生成・普及のメカニズム
   4 「言葉の戦争」の困難さ

 第8章 幻惑とデオントロジー――私的倫理論の発展
  第1節 私的倫理という問題
  第2節 初期の私的倫理論
  第3節 「イデオロギー」としての実定道徳
  第4節 『デオントロギー』と『行為の動因の一覧表』における私的
      倫理の構想
   1 「デオントロジスト」と後期私的倫理論のアウトライン
   2 〈道徳言語の批判と改革を通じた実定道徳の脱幻惑化〉
     という企て
   (1) 幻惑による実定道徳の堕落
   (2) 言語を濫用する独断主義者たち
   (3) 幻惑の所産としての「言語の不完全さ」
   (4) 道徳的・心理学的諸概念の再定義
   (5) 〈動機の善し悪し〉という誤った観念
   (6) 動機に関する批判的・感情喚起的な呼称に対する批判
   (7) 行為の動因の一覧表
   3 〈魅力的な功利主義像の提示を通じた実定道徳の適正化〉とい
     う企て
   (1) 「容易になった道徳」としての功利主義
   (2) 功利主義における〈徳の理論〉
   (3) 〈善行≒慎慮〉論の必要性
   (4) 「他者に関わる慎慮」・「共感的サンクション」・「一般好
      意基金」
  第5節 統治功利主義から包括的功利主義へ

 第9章 『憲法典』の民主主義理論と多数者専制問題
  第1節 『憲法典』における代議制民主政体の構想
  第2節 代議制民主政体の正当化論と「シニスター・インタレスト」
      をめぐる問題
   1 功利主義的正当化の諸形態
   2 普遍的利益・特殊的利益・「シニスター・インタレスト」
   3 「シニスター・インタレスト」をめぐる問題
  第3節 「立法権の全能」をめぐる問題
  第4節 世論法廷と私的倫理論

補論 デューイとベンサム
  第1節 はじめに
  第2節 『哲学の再構成』におけるデューイの思想
   1 プラグマティズムと「哲学の再構成」
   (1) 哲学の起源と歴史
   (2) プラグマティズムの認識観
   (3) 哲学の再構成
   2 功利主義やベンサム思想への評価
   (1) 功利主義一般に対する評価
   (2) ベンサムの思想に対する評価
  第3節 デューイのプラグマティズムとベンサム思想の比較
   1 両者の類似点
   2 両者の相違点

結論

 あとがき

 索引
 ジェレミー・ベンサム略年譜
 参考文献


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