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 ―近代移行期の長州経済数量経済史の原点

慶應義塾大学産業研究所選書
数量経済史の原点 ―近代移行期の長州経済

A5判 248ページ 上製
定価:5,800円+税
ISBN978-4-7664-2024-1 C3033
奥付の初版発行年月:2013年03月 / 発売日:2013年03月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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在庫あり

内容紹介

地域経済の本源的能力とは何か

▼長州・山口のプロト工業化から近代化への過程を丹念に追い、人々の生産と消費の実態を鮮やかに描き出すとともに、幕末から明治に至る内発的「開化」のメカニズムとその後の停滞・挫折の遠因を解き明かす記念碑的論考集。

▼シンポジウム「経済学と経済史の架橋――西川俊作教授の業績をめぐって」報告論文と、数量経済史研究会発足当時に関する西川教授へのヒアリング原稿を特別収録。

著者プロフィール

西川 俊作(ニシカワ シュンサク)

1932年滋賀県生まれ。1955年慶應義塾大学経済学部卒業、1961年同大学院経済学研究科博士課程修了、1972年同大学商学部教授(産業研究所所員を兼担)。経済学博士。1990~1996年同大学福澤研究センター所長。1998年同大学名誉教授。2010年1月没。
著書に、『地域間労働移動と労働市場』(有斐閣、1966年)、『数量経済史入門』(共著、日本評論社、1975年)、『江戸時代のポリティカル・エコノミー』(日本評論社、1979年)、『日本経済の成長史』(東洋経済新報社、1985年)、『福沢諭吉と三人の後進たち』(日本評論社、1985年)、『日本経済史 産業化の時代 上下』(共編、岩波書店、1990年)、『福沢諭吉の横顔』(慶應義塾大学出版会、1998年)、『長州の経済構造』(東洋経済新報社、2012年)など。

牛島 利明(ウシジマ トシアキ)

慶應義塾大学商学部教授

斎藤 修(サイトウ オサム)

一橋大学名誉教授

上記内容は本書刊行時のものです。

【著者】
西川 俊作(にしかわ しゅんさく)

【編者】
牛島 利明(うしじま としあき)

斎藤 修(さいとう おさむ)

【寄稿者】(目次順)
尾関 学(おぜき まなぶ)
岡山大学大学院社会文化科学研究科准教授

攝津斉彦(せっつ ときひこ)
武蔵大学経済学部専任講師

原 洋之介(はら ようのすけ)
政策研究大学院大学特別教授

尾高煌之助(おだか こうのすけ)
一橋大学名誉教授、法政大学名誉教授

目次

編者はしがき

第I部 数量経済史への視座
 第1章 数量経済史事始――QEH25年私記
  1 はじめに
  2 『防長風土注進案』と長州のプロト工業
  3 1840年代長州の《経済表》
  4 19世紀後半の長州・山口県――工業化の挫折?

 第2章 《経済表》と経済発展――幕末防長の地域経済表
  1 投入・産出表化した経済表
  2 ケネー経済の発展
  3 1840年代の地域経済表
   3.1 美弥・経済表
   3.2 三田尻・経済表
   3.3 前山代・経済表
  4 残された課題

第II部 地域経済の変容
 第3章 長州・山口県の産業発展
  1 注進案(1840年頃)と物産表(1874年)
  2 人口1人あたり物産高――1840~74年
  3 1909年物産高の推計と1874~1909年の間の1人あたり物産高
    の成長
  4 緩慢な工業化とその原因

 第4章 18-19世紀における長州のプロト工業化
  1 人口増加と経済成長
  2 3つのプロト産業
   2.1 製紙業
   2.2 木綿織
   2.3 製塩
  3 上関と三田尻の場合
  4 19世紀後半の非工業化

 第5章 18-19世紀における長州藩の宰判別人口増加
  1 18-19世紀の趨勢とその屈折
   1.1 幕府人口調べ
   1.2 地下上申から注進案まで
   1.3 戸籍帳による補完
  2 戸籍増減,平均世帯規模の上昇
  3 人口の増加と停滞――その説明
   3.1 生産力の拡大
   3.2 非農所得の比重と1人あたり可処分所得
   3.2 地域分業と地域間流動

第III部 消費と教育投資
 第6章 移行期の長州における穀物消費と人民の常食
  1 序説
  2 移行期における長州
  3 穀物の出来高と供給――1840年代と1887年
  4 注進案における1人あたり穀物消費量
  5 農間余業・非食支出ならびに米市場
  6 穀物消費および栄養価の変化
  7 兵食データとの比較検討
  8 「人民常食比例」データとの比較
  9 結論
  付録――種子・酒造米の推計

 第7章 寺子屋・私塾の経済学
  1 その数と分析
  2 幕末期におけるその急増
  3 就学率の推計
  4 注進案による傍証――授業料
  5 ささやかだが“大いなる遺産”

第IV部 西川経済史学の評価と展望
 第8章 日本経済史の視点
  8.1 所得勘定体系と消費  (尾関 学)
  はじめに――橋を架けること
  1 KEOの実証経済学と経済史
  2 勘定体系の重要性――国民経済計算と『防長風土注進案』
  3 食糧カロリー摂取量の推計――徳川から明治への移行期について
  おわりに――西川の架けた橋
  8.2 移動と労働市場  (攝津 斉彦)
  1 はじめに
  2 長州の労働市場
  3 近代日本の労働市場
  4 長州の労働市場,ふたたび
  5 おわりに

 第9章 開発経済学の視点――過剰就業論を題材として(原 洋之介)
  序――本章の課題
  1 西川による過剰就業の実証の変遷
   1.1 大川の過剰就業論
   1.2 過剰就業の存在の実証――農業労働限界生産力と生存水準と
      の比較
  2 西川の議論を巡る若干の論点
   2.1 労働投入データ
   2.2 農業限界生産力と比較されるべき賃金とは
   2.3 農家過剰就業論のエッセンス
   2.4 ルイス・モデルとは
  3 経済史と地域研究的開発経済学

 第10章 産業連関分析の視点――推計と解釈  (斎藤 修)
  はじめに
  1 産業連関表あるいは《経済表》
   1.1 最初の問題意識
   1.2 改訂の軌跡
  2 19世紀経済の産業連関表
   2.1 長州13部門表の投入係数
   2.2 他の産業連関表との比較
  3 経済史研究における産業連関表構築の意義

 第11章 福沢研究の視点――経済学・経済史との架橋(牛島 利明)
  1 福沢研究者としての西川
  2 福沢諭吉の経済論――通貨論をめぐって
   2.1 エコノミスト福沢の独創性と経験主義
   2.2 「時評」としての経済論
  3 福沢諭吉の経営論――慶應義塾と時事新報社
   3.1 福沢と事業経営
   3.2 慶應義塾の経営問題
   3.3 時事新報社社主としての福沢
  4 おわりに

 補章 数量経済史研究会事始――西川俊作氏ヒアリング要旨
    (尾高煌之助 編)
  1 事始のことはじめ
  2 濫觴
  3 事始
  4 成長と拡大
  5 長州の経済発展について

 初出一覧
 索引


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