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貨幣考古学序説

貨幣考古学序説

A5判 328ページ 上製
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-7664-1620-6 C3020
奥付の初版発行年月:2009年06月

内容紹介

▼出土銭貨(発掘調査によって発見された貨幣)を資料として、文献史料と合わせることにより、過去の貨幣流通状態や経済活動の復元を目指す「貨幣考古学」という新しい考古学を提唱。出土銭貨研究の用語や分析法を紹介し、現在どのような問題点があるか、またどのような展望が見えるのかを考察する。
▼海外での調査結果から、中国はもちろん、朝鮮半島、ベトナムでも日本と同じ銭貨が発見されることを指摘し、東アジア共通貨としての新たな側面を紹介する。

本書は、日本図書館協会選定図書です。


櫻木晋一(さくらき しんいち)
1953年生まれ。慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学。現在、下関市立大学経済学部教授。
主な著作・論文に、「中世の銭貨鋳造についての一考察」『古代』第103号(1997)、「中世出土銭貨研究の課題と展望」『考古学ジャーナル』 No. 526(2005)、「出土銭貨による中世貨幣流通の検討」『貨幣の地域史』(岩波書店、2007)など。

目次

刊行によせて   九州大学名誉教授 森本芳樹
はじめに

序論 
 1 和同開珎以前
 2 古代銭貨の時代
 3 中世の銭貨流通
 4 中・近世移行期
 5 近世の貨幣制度

第1部 貨幣考古学総論
第1章 貨幣考古学の確立
 1 貨幣考古学とは
 2 用語の概念規定
 3 出土銭貨のもつ資料的特性

第2章 セリエーション分析による編年
 1 セリエーション分析
 2 六道銭研究とセリエーション論
 
第3章 銭貨の技術史的研究
 1 銭貨の製作技術
 2 博多遺跡群の出土銭笵
 3 京都・鎌倉・堺の出土銭笵
 4 出土銭貨未製品
 5 金属組成の特徴と分析方法
 6 洪武通寳の金属組成
 7 寛永通寳と清銭の金属組成

第4章 貨幣考古学の課題
 1 古代の銭貨研究
 2 中・近世の銭貨研究
 3 貨幣考古学の視座

第二部 貨幣考古学各論
第1章 出土古代銭貨
 1 和同開珎以前
 2 九州の出土古代銭貨
 3 古代銭貨発行の目的・意義
 4 まとめ

第2章 出土六道銭研究
 1 六道銭とは
 2 九州における出土六道銭
 3 東京都港区の事例
 4 出土枚数と出土位置
 5 まとめと課題

第3章 一括出土銭について
 1 一括出土銭とその出土状況
 2 一括出土銭の時期区分
 3 一括出土銭からみた銭貨流通
 4 九州における一括出土銭
 
第4章 個別出土銭研究
 1 個別出土銭とデータベース
 2 博多遺跡群第102次調査の出土銭
 3 中世都市「博多」の個別出土銭
 4 各地の中世都市個別出土銭
 5 洪武通寳について
 6 九州・沖縄における無文銭の様相

第5章 近世の出土貨幣
 1 近世初期の撰銭と銭貨
 2 出土寛永通寳研究
 3 鳥居埋納の銭貨
 4 長崎の出土銭貨
 5 小倉城新馬場跡出土の清銭
 6 近世都市遺跡の調査事例から
 7 出土金・銀貨と今後の展望

第6章 海外での貨幣調査
 1 ベトナム一括出土銭調査
 2 イギリスの貨幣資料
 3 新安沖沈没船出土銅銭の用途および性格

終章 貨幣考古学の地平
 1 研究のまとめと方向性
 2 貨幣考古学の未来

あとがき
参考文献
著作リスト
図版一覧
索引


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