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日本の経済外交と中国

日本の経済外交と中国

徐承元:著
A5判 304ページ 上製
定価:2,900円+税
ISBN978-4-7664-1118-8(4-7664-1118-8) C3031
奥付の初版発行年月:2004年10月

内容紹介

日本政府が個々の国家との友好関係の確立・維持、あるいは争点の処理において経済的手段をいかに活用してきたのか。日本の対中政府資金供与における政策過程と経済手法、その影響を、1978—1997年の各内閣期ごとに検証する、気鋭の論考。


徐 承元(ソウ・スンウォン)
関東学院大学法学部法政策学科助教授
1966年、韓国・礼山生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了(法学博士)。高麗大学BK21東アジア教育研究団博士後研究員(2000年度)、高麗大学亜細亜問題研究所研究助教授(2001年度)を経て、2002年度より現職。
主要著作に、『中国政治と東アジア』(共著、慶應義塾大学出版会、2004年)、『北朝鮮経済改革研究』(共著、ソウル:フマニタス、2002年)、Rising Sun, Morning Calm: Friction between Japanese and Koreans Imperils American Security in East Asia (Co-authored/Co-work with Chung-in Moon, forthcoming) ほか。

目次


まえがき

第一章 日本経済外交への分析視角
——経済援助・経済制裁・日本型経済外交——
第一節 経済外交をめぐる諸概念
一 日本の経済と外交
二 経済パワーと影響力
三 経済外交の構成要素——経済援助と経済制裁
第二節 日本型経済外交とは
一 経済外交の中枢的手段——経済協力、政府開発援助
二 日本型経済外交のパフォーマンス
二国間関係の基盤
経済制裁に対する経済援助の優位
限られた政策手段と多数の政策目標
第三節 日本型経済外交の政策過程
一 政治過程としての「決定」
二 政策決定者のパースペクティブ 
三 政策決定者間の関係 
四 経済外交の運営方式における転換

第二章 中国の改革・開放と大平内閣による経済外交の始動
第一節 日中経済関係と経済的交換
一 中国の近代化路線と日本  
中国の対外経済政策の大転換と西側諸国の対中接近  
日本経済界と日中長期貿易取決め  
プラント契約保留問題への政府の介入  
二 分析(Ⅰ)——経済的交換の政策過程  
経済的相互補完性に基づいた経済的交換  
政策運営の弾力化  
第二節 大平内閣による対中経済外交の始動
一 日中政府間経済協力協議  
中国政府の公式政府借款要請  
日中政府間協議と経済協力案  
大平首相の訪中と近代化支援コミットメント 
二 分析(Ⅱ)——対中近代化支援コミットメントの形成 
対中コミットメントの「方法」  
対中近代化支援をめぐる政界の反応  
政府借款供与方式をめぐる政府内調整  
第三節 第二次プラント・キャンセル事件と経済外交の揺れ
一 第二次プラント・キャンセル事件と日本政府の介入  
中国のプラント契約中止通告と民間交渉  
中国のソフト・ローン要求と日中政府間協議  
二 分析(Ⅲ)——鈴木内閣の商品借款供与をめぐる政策過程  
自己拘束的コミットメント  
政治的決着としての商品借款供与決定  

第三章 相互依存の深化と中曽根・竹下内閣の経済外交拡大
第一節 中曽根内閣と経済外交の政治
一 中曽根首相訪中と第二ラウンド経済協力コミットメント  
中国の対日接近と日中首脳会談  
日中政府間協議と第二ラウンド対中経済協力案  
二 分析(Ⅳ)——対中政府資金供与拡大の政策過程(Ⅰ)  
相互依存の政治と利益の供与  
経済協力拡大の構図(Ⅰ)——第二ラウンド政府借款供与をめぐる政界の動き  
経済協力拡大の構図(Ⅱ)——総額拡大をめぐる政府内調整  
第二節 竹下内閣と大平型経済手法への回帰
一 竹下首相訪中と第三ラウンド経済協力コミットメント  
中曽根内閣時代の遺産  
第三ラウンド経済協力案  
二 分析(Ⅴ)——対中政府資金供与拡大の政策過程(Ⅱ)  
不均衡相互依存と経済外交  
経済協力拡大の構図(Ⅲ)——国際的責任分担と対中経済協力  
経済協力拡大の構図(Ⅳ)——竹下首相のステーツマンシップ  

第四章 天安門事件と宇野・海部内閣の経済制裁と制裁解除
第一節 天安門事件と経済制裁の採用
一 天安門事件と国際社会  
欧米諸国の対中制裁  
日本政府の対応——静観から共同歩調へ  
二 分析(Ⅵ)——第三次政府借款凍結の政策過程  
経済援助の経済制裁への転換  
慎重な対応を生み出した要因  
「抑制された対応」への転換  
第二節 ヒューストン・サミットと経済制裁の解除
一 海部内閣と政府借款凍結の解除  
凍結解除に向けた動き  
ヒューストン・サミットと政府借款凍結解除  
二 分析(Ⅶ)——第三次政府借款凍結解除の政策過程  
「橋渡し」役の必要条件  
凍結解除のタイミングをめぐる政府・与党間の軋轢  
凍結解除決定を引き出した要因  

第五章 中国核実験と村山・橋本内閣の経済制裁と制裁解除
第一節 村山内閣の無償援助凍結と表現的行為
一 「核実験・経済協力」をめぐる日中の攻防  
村山内閣の攻勢——核実験と経済協力  
中国側の反攻——戦後賠償と経済協力  
二 分析(Ⅷ)——無償資金援助凍結の政策過程  
経済援助と互酬性  
表現的行為としての無償資金援助凍結決定  
政府開発援助(ODA)大綱の対中適用  
対中経済協力見直し論への対応  
第二節 中国の核実験停止と経済制裁解除への道程
一 橋本内閣の無償資金供与凍結解除  
無償援助の凍結継続と経済制裁の拡大  
経済制裁の解除  
二 分析(Ⅸ)——政府資金供与凍結解除の政策過程  
対中政策運営における転換  
連立与党からの圧力  
政策運営方式における転換  

終 章
第一節 対中経済外交二〇年の軌跡
一 近代化支援コミットメントと経済援助の開始  
二 相互依存の政治と経済援助の強化  
三 天安門事件と外部的動因による経済制裁  
四 中国核実験と日本政府独自の経済制裁  
第二節 日本型経済外交の役割とその含意
一 経済協力の政治経済  
二 政策としての対中経済協力  
三 日本型経済外交と北東アジア地域ガバナンス
 
索 引


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