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 フィリピンの民主主義と道徳反市民の政治学

サピエンティア30
反市民の政治学 フィリピンの民主主義と道徳

四六判 442ページ 上製
定価:4,200円+税
ISBN978-4-588-60330-3 C3331
奥付の初版発行年月:2013年03月 / 発売日:2013年04月上旬

内容紹介

膨大な数の市民が立ち上がり、マルコス大統領の独裁政治に終止符が打たれてから約30年。貧富の差が拡大し、選挙のたびに票の売買が取りざたされるこの国に、「正しい」民主主義は根付かないのだろうか。著者はスラムに暮らし、したたかでたくましい庶民の声に耳を傾けて、新たな共同性の可能性を探る。国民の分断が進む日本社会に本書は参考となるに違いない。

著者プロフィール

日下 渉(クサカ ワタル)

1977年埼玉県生まれ.早稲田大学政治経済学部卒業.九州大学大学院比較社会文化学府博士課程単位取得退学.博士(比較社会文化).京都大学文学研究科グローバルCOE研究員,京都大学人文科学研究所助教を経て,現在,名古屋大学大学院国際開発研究科准教授.
主な業績:「秩序構築の闘争と都市貧困層のエイジェンシー──マニラ首都圏における街頭商人の事例から」『アジア研究』53(4), 2007: 20-36頁(第6回アジア政経学会優秀論文賞受賞);「フィリピン市民社会の隘路──「二重公共圏」における「市民」と「大衆」の道徳的対立」『東南アジア研究』46(3), 2008: 420-441頁;Governing Informalities of the Urban Poor: Street Vendors and Social Order Making in Metro Manila, The Politics of Change in the Philippines, Yuko Kasuya and Nathan Quimpo (eds.), Pasig City: Anvil Publisher, 2010, pp. 362-390;「フィリピン──「争われる民主主義」の挑戦」『東南アジア現代政治入門』 清水一史・田村慶子・横山豪志編著,ミネルヴァ書房,2011: 57-78頁など.

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序章 フィリピン民主主義と道徳政治
第1節 民主主義の社会的条件は何か
第2節 調査の対象と方法
第3節 本書の構成

第1章 分析枠組みの提示
第1節 フィリピン社会と政治の変容
第2節 二重公共圏のヘゲモニー闘争

第2章 二重公共圏の形成
第1節 言語の分断
第2節 メディアの分断
第3節 生活空間の分断
第4節 調査地の概要

第3章 ピープル・パワーをめぐる道徳的対立
第1節 民主化を勝ち取った国民の連帯
第2節 市民デモと大衆デモの激突
第3節 道徳的市民の勝利と暴徒への恐怖
第4節 金持ちの独善と貧者の敗北

第4章 選挙をめぐる道徳的対立
第1節 ポピュリズムと金による票集め
第2節 大衆に抑圧される市民の票
第3節 金持ちに裏切られる貧者の票
第4節 有権者教育の逆説

第5章 都市統治をめぐる道徳的対立
第1節 国家規律と貧困層の軋轢
第2節 市民による貧困の犯罪化
第3節 生活と尊厳を守る貧困層の抵抗
第4節 貧困層の生活基盤を合法化する挑戦

第6章 道徳的ナショナリズムの再興
第1節 アロヨ政権の腐敗と暴力
第2節 階層を越えた「国民の敵」
第3節 大統領選挙における道徳と貧困の闘争
第4節 道徳を希求する国民の再形成

終章 道徳政治を越えて
第1節 フィリピン政治理論への寄与
第2節 道徳政治の台頭とその逆説
第3節 民主主義の隘路を打開するために

あとがき


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